ラゲッジメーカーのCalegoは、COVID-19流行前に開発した戦略が、UGCの重要性が高まるなかで実際に効果を発揮していると語った

UGCを活用したブランド認知向上やコンバージョン促進は、デジタルマーケティング担当者にとって新しい戦術ではない。しかし、COVID-19が流行する現在では、以前とは異なるレベルの成功を収めている。

 

例えば、パンデミック中、iFLYのラゲージやアクセサリーを製造するカナダのメーカーCalegoは、UGCを活用し2億5,000万個以上のフェイスマスクを売り上げた。

また、顧客レビューを収集し配信したことで、約800万個の「iFLY Smart Kit」を販売するという成功を収めた。これは、飛行機を利用する旅行者の安全性と快適性を向上させるゴム手袋やワイプなどのアイテムを集めた低価格キットである。

 

同社が「iFLY Smart Kit」のコンセプトを開発したのは、旅行セイフティギアをめぐる環境が大きく変化した2017年である。

 

「COVID-19 前に、このアイテムの評価やレビューを収集することができた」と、Calego社の社長であるDavid Rapps氏。「実際のところ、この商品は売れていなかった。しかし、製品に問題がないことは明らかであったし、購入者からは高い評価を得ていた」。

 

COVID-19 前は売れていなかったが、ユーザー生成レビューから、顧客が何を好んでいるのか、何を嫌っているのかを、私たちは知ることができた」とRapps氏。そして、多くのポジティブなフィードバックから、保護用品や快適性向上アクセサリーへの需要が高まっている今、「iFLY Smart Kit」の販売にさらに投資する価値があると判断した。

 

これは、UGC活用の場が増えてきたことを意味する。GoogleやAmazonは巨大だが、WalmartTargetのような大型小売店向けの他の小売マーケットプレイスでも、Calegoなどのブランドへの有意義なレビューを促進している。また、ソーシャルメディアでは、製品やブランドに関するUGCが次々と生み出されているが、新しいプラットフォーム(Hello, TikTok)や ストーリーズ のようなコンテンツフォーマットによって、ユーザーが活用可能な選択肢がさらに増加している。

 

その結果、どうなったか?ファネルの最上層である認知フェーズが、かつてないほど拡大しているのだ。

 

オンラインの世界

オーディエンスや購買層が長年にわたって存在しているソーシャル上でのコンテンツやメッセージングのマネージメントは、新しいものではない。しかし、世界的なパンデミックにより、オンラインが、これらのマーケティング担当者にとって重要なセグメントへの唯一の販売経路となった。オンラインで過ごす時間が増加すれば、レビューなどのUGCへのエンゲージメントも高まる。

 

実際、UGC管理・分析プラットフォームを提供するPower Reviews社の分析によると、2020年のレビューへのエンゲージメント(検索、フィルタリング、クリックしてレビューの全体を表示し読むなど)は、平均で50%増加している。

 

そして、エンゲージメントの増加が、より高いコンバージョン獲得にもつながっていることが、同調査で判明している。レビューと何らかの関わりを持った買い物客のコンバージョン率は、パンデミック前は4.25%だったのに対し、2020年には約5.3%となった。さらに、2020年には、コンバージョン率が7%を超えた時期もあった。

 

築き上げてきたものの活用

Rapps氏は、5年以上前に、消費者直販ブランドによるeコマースが拡大し始めているのを目の当たりにし、iFLYの認知度を向上させる方法を模索していた。GoogleやFacebookの広告料が高騰するなか、Rapps氏は、iFLYの顧客がシェアするレビューや評価などのコンテンツを活用し、少額のマーケティング予算で認知度を高めることを決断した。2015年、Calegは、同戦略実行へのサポートとして、ショッパーエンゲージメントプラットフォームでありUGCのスペシャリストであるBazaarvoiceを起用した。

 

「私たちには、店舗やWalmartオンラインストアで購入する多くの買い物客や顧客がいる。彼らとコミュニケーションをとる方法を考えるべきである」と語るRapps氏。「私たちは、購入客や顧客に評価やレビューを依頼した。2016年までに、サードパーティ小売業者を通じて販売しているにもかかわらず、評価とレビューで1位のラゲッジブランドになること、それが使命だった」。

 

Rapps氏によると、Calegoは、非常に効果的に評価やレビューを収集したという。シンジケーション(口コミなどの提供)を通じて、同社のラゲージ製品だけで約25万件のレビューを表示した。

 

Calegoは、Bazaarvoiceプラットフォームを利用し顧客と連絡を取り、購入商品のレビューを依頼する。そして、Bazaarvoiceが、そのレビューをウェブ上のどこかの第三者サイトにシンジケートし、その表示されたレビューを見た人に影響を与えることができる。

 

BazaarvoiceのCEOであるKeith Nealon氏は、次のように述べた。「2005年までのeコマースでは、商品詳細ページはすべてブランドが編集したコンテンツで埋め尽くされていた」「その後、最初は、UGCは、評価やレビューという形で商品詳細ページに登場するようになった。消費者は、消費者の言うことを何よりも信用する。人々は、その商品について、他の人が何を感じ、経験しているのかを知りたがっている」。

 

現在、ブランドは、商品ページに掲載した消費者の体験を、購買のダウンファネルがますます容易になっているFacebookやPinterestなどのソーシャルメディアでも利用している。そして、ソーシャルメディアは、消費者が製品を最初に発見するオンライン上で、より簡単かつ迅速に購入できる製品を紹介するため、本質的に、購買サイクルは短縮化されている。

 

「ブランドは、消費者が行き交うこれらのすべての場所に登場したいと考える。そうして、消費者ジャーニーを管理し、購買者行動の変化をナビゲートする」と、Nealon氏。

 

適切な戦略とツールを持つことが、UGC活用を成功させる秘訣である。「認知、コンバージョン、購入のすべてのフェーズで、コンバージョンをサポートする技術スタックが必要となる」と、Nealon氏は付け加えた。

 

Calegoと同社のiFLYブランドにとって、UGCは、信頼性においても重要な意味を持つ。実際の顧客からのフィードバックは、ブランドにとって魅力的なだけでなく、大手小売店パートナーの目にも留まる。なお、Calego製品は、2013年からWalmartでも販売されている。

 

「UGCは、かつてないほど重要となっている」と、Rapps氏。「小売では、より優れたコンテンツを得ることが非常に重視されている。小売業者が ‘ファーストパーティコンテンツ’ を好むのは、オーガニックなコンテンツが機能するからである」。

 

Rapps氏は、ソーシャルでの動画コンテンツの人気が高まるなか、Calego製品を使用しながら旅する旅行記を公開する、顧客のタグ付き投稿に特に興味を持っているという。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の5/5公開の記事を翻訳・補足したものです。