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ノウハウ・ツール
公開日2020/08/13

絶滅の危機にあるクッキーに代わる、プライバシーを遵守したユーザートラッキング

分析ツールセットによって、クッキーを読み取る代わりに、ユーザーIDに関連付けられたユニークな識別子を使用すべきである。その実行方法と、プライバシーを遵守する方法を学ぼう。

 

ウェブサイト分析では20年以上にわたり、ユーザートラッキングのために永続的にクッキーを活用してきた。この無害なコードは大幅に改良され、ユーザーのIPアドレスやIPとブラウザの組み合わせにおいて利用されてきた。このようなクッキーの使用は、最初に導入されて以来、プライバシー法とパラノイア(妄想)の焦点となっている。では、どのような代替手段があるのだろうか?

 

自社ウェブサイトやモバイルアプリケーション上で、ユーザーアカウントやログインの作成を要求している場合、クッキーベースのトラッキングからユーザーIDトラッキングへの移行を計画すべき時期にきている。簡単に言えば、分析ツールセットにクッキーを読ませる代わりに、ユーザーIDに関連付けられたユニークな識別子を使用し、この識別子を介してユーザーをトラッキングすべきである。通常、識別子はログインIDである。

 

高度なトラッキングのための準備

ステップ1

デプロイしたユーザーIDに、個人識別情報(PII)が含まれていないことを確認しなければならない。多くの場合、サイトはユーザーに個人電子メールアドレスをログインIDとして使用したり、アカウント番号を使用したりするよう要求する。これらは、PIIである。このようなケースに当てはまる場合、既存アカウント、および、新規アカウントの作成時に、ランダムかつユニークなクライアント識別子を割り当てるのが有効である。

 

ステップ2

開発者に依頼し、ユーザーIDのデータ層へのプッシュを開始する。そうすることにより、新しいトラッキング方法を実装する準備ができ次第、分析ソフトウェアが読み取るべき変数が存在することになる。この要素の可変名は、分析ソフトウェアによって異なるため、分析ソフトウェアを確認する必要がある。

 

ステップ3

分析ソフトウェア内に新しいビュー/ワークスペースを作成し、ユーザーIDによってユーザーをトラッキングするように設定。依然として、ほとんどの分析パッケージは、ログイン前のユーザー行動をトラッキングするために一時的なクッキーを設定し、セッションを関連付けるだろう。この方法で、ログインする前においても、ユーザーがサイトで何をしているか、ログインしないサイト訪問者が何をしているかを知ることができる。

 

ユーザーIDによるユーザートラッキングのメリット

精度の向上

クッキーの使用は、多くの点で欠陥がある。ユーザーがデバイス間(デスクトップからモバイル、タブレット、オフィスコンピュータからホームコンピュータへ)へ移行した場合、同じユーザーとして追跡することがでないからだ。その結果、ユニークユーザー数が膨らんでしまう。

 

また、ユーザーがクッキーを削除した場合はどうなるのだろうか(ブラウザを閉じるたびに、すべてのクッキーを削除するウイルス対策ソフトを利用している可能性が高い)。これもまた、ユーザーカウント数データが膨らむ原因となる。

 

ユーザーIDによってユーザートラッキングを行うことで、サイトのユニークユーザー数をより正確に把握することが可能となる。

 

クロスデバイス・トラッキング

これが、おそらく、ユーザーIDによるユーザートラッキングの最大のメリットの1つである。ユーザーが、自社サイトやモバイルアプリをどのように利用しているかを知ることができるからだ。どのくらいのユーザーが、複数のデバイスを組み合わせて使用しているかを把握することが可能である。注文手続きは、別のデバイスで実行するが、ショッピングカートに商品を追加するためだけに使用するデバイスタイプについて、特定の好みがあるかもしれない。

 

アナリティクスインサイトの向上

強化されたアナリティクスデータを利用できることで、新たな強力なインサイトを得ることができる。その新しい知識を活かし、より有効に社内リソースを活用し、ユーザー体験の強化にフォーカスし、ユーザーフローを最適化することで、より大きな利益を生み出すことができる。

 

実例

以下に述べる例は、ユーザーIDによるユーザートラッキングの有効性を示している。

 

概要デバイスのオーバーラップ

次図は、アカウントの何%が、どのタイプのデバイスを使用しているか、そして、複数のデバイスを組み合わせて使用しているかを示している。例えば、66.6%がデスクトップのみを使用しているのに対し、15.8%はモバイルとデスクトップを組み合わせて使用

している。

 

 

ユーザー行動 – デバイスフロー

取引に至るまでに使用しているデバイスフローをレビューすることで、ユーザーIDを使用し強化されたアナリティクストラッキング手法から最も有効なインサイトを得ることができる。

 

最も一般的なデバイス(ユーザー数に基づいた)のパスが、デスクトップのみとモバイルのみの2つであることは驚くべきことではないかもしれない。しかし、私にとっても、クライアントにとっても、驚きだったのは、3番目のパスである。デスクトップ→モバイル→デスクトップというデバイスパスは、約3%のユーザーしかたどっていないが、全トランザクションの約8%、生み出された全収益の9%以上を占めている。

 

タブレットの利用が全体的に非常に少ないことも少し驚きであった。もちろん、デバイスの組み合わせは、クライアントによって異なる。

 

アシストコンバージョン

クッキーの使用をやめることで、アシストコンバージョン(コンバージョンに貢献している間接的効果)に関するデータの質が大幅に向上する。例えば、何人がモバイルデバイスを使用してメールを読み(メールを開封した時点で簡単にトラッキングでき、ユーザーIDに帰着させることが可能)、クリックしてサイトを訪れ、プロモーションされているアイテムを閲覧して評価しているか(ショッピングカートに追加する可能性もある)というデータを入手できる。そして、何人が、少し検討した後に、デスクトップからログインして取引を完了させているかについても知ることができる。

 

例えば上記レポートが示すように、売上を生み出す上で、オーガニック検索トラフィックがどのような役割を果たしたかを調査することにより、SEO施策に、客観的により正確な値を割り当てることができる。(このケースにおいて)オーガニック検索が生成したトラフィックからの即時売上のソースは、販売サイクルにおけるアシストとして総収入の1.3%となっているが、総収入の10.4%以上の役割を果たしている。

 

ユーザーインサイトの強化

この例では、クライアントは、顧客がアカウントに複数のログインを持つことも許可している。本質的には、ユーザーIDは顧客/クライアントを表し、単一のユーザーを表すものではない。このクライアントは、彼らの顧客組織内の複数の人々が、ユニークなログインと権限(誰が注文できるか、誰が製品の詳細を確認するだけか、誰がカートを確認し、または、追加できるが、発注はできないかなど)を必要とするB2B業界でビジネスを行なっている。ユーザーIDによるトラッキングとアナリティクス内でのユニークなログインIDの記録の両方を活用することで、これらの追加的なインサイトを得ることができる。

 

上記のレポートでは、部門別に、収益をブレイクダウンしているだけでなく、異なる部門のユーザーがどのようにサイトを利用しているかを示している。1の領域では、ユーザーIDとログインIDは、ほぼ1:1の関係である。しかし、ディビジョン3では、1:4以上であり、すべての顧客に対して、平均すると4以上のログインがディビジョン3で使用されていることを意味する。

 

このデータを活用して、より効果的なマーケティングを行うにはどうすればいいだろうか?部門ごとに違いがあることを理解し、複数ログインを持つ顧客と、単一アカウント/ログインを持つ顧客に対しては、異なる方法でターゲティングし、慎重に作成されたメールマーケティングを実行することが有効である。

 

また、データをさらに掘り下げると、どのログインIDが、特定の商品をレコメンドするだけの人(ただ、商品を確認する)であるか、特定の商品リクエストをするだけの人(ショッピングカートに追加するが、発注は行わない)か、注文を処理するだけの人か、また、すべてのプロセスを完了する人かを明らかにすることが可能となる。それぞれに対し、異なるメッセージングで異なるマーケティングを行い、マーケティング効果を最適化する必要がある。詳細な分析を行うことにより、このようなオーディエンス定義を得ることができる。

 

ユーザーIDによるトラッキングは、自社に適しているか?

ユーザートラッキング方法を変更するかどうかを決定するのは難しい選択である。まず、自社のサイト/モバイルアプリでは、ユーザージャーニーの比較的早い段階でログインする必要があるのか?ユーザーIDによるトラッキングは、ユーザーがサイト/アプリにログインした後に、ユーザーインタラクションの大半が行われるeコマースサイトやサイトに最適である。

 

単に情報を共有し、「contact us(お問い合わせ)」タイプのリードを生成することを目的とした一般的なウェブサイトを運営しているのであれば、ユーザーIDトラッキングへ切り替えるべきではないだろう。

もし、自社サイトが、一般的な情報サイトと登録ユーザーセクションの組み合わせであれば、切り替えを検討した方がいいかもしれないし、登録ユーザーセクションのみを対象に変更することも可能である。

 

この変更を行った場合、クッキーを使用する他のアナリティクスビュー/ワークスペースの実行はやめるべきではなく、継続すべきである。2つの異なるビューを運営することで、最終的には2つの間の違いを調整することが可能となり、報告の際に容易にユーザー数の劇的な減少の理由を説明することができるだろう。もちろん、最初に切り替えを実行する際には、すべてのユーザーが初回ユーザーとなるので、新規訪問者のトラフィックが大幅に増加することを覚えておくべきである。

 

ユーザーIDトラッキングへの変更を決定した場合は、法務部門と変更が及ぼす影響を確認しなければならない。法務部門は、プライバシーポリシーを更新する必要があるかどうかを判断するだろう。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の7/30公開の記事を翻訳・補足したものです。

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