ベルギーの2019年の市場規模については2つのデータが公表されている。まず、SafeShops.be(eコマース協会)のデータに基づいているものから見ていこう。

 

ベルギーのオンラインストアは、2019年に82億ユーロ(約9,700億円)の総売上高を生み出した。これは、1年前の状況と比較して17%の増加である。ベルギーのオンラインショップで生じた売上の4分の1は、同国外の買い物客によるものであった。

 

ベルギーのeコマース業界は順調に成長している。長年ベルギー人買い物客の間では、海外ショップがより人気であったことは認めざるを得ないが、ベルギーのeコマースウェブサイト数とオンライン取引数は増加しているのだ。

 

ベルギーでのオンライン販売業者数は29,231社

決済サービスプロバイダーから提供された取引データに基づく最新のEコマースバロメーターの調査では、ベルギーのオンライン販売業者数は、昨年20%増加し、29,231社となった。しかし、オンラインショップ数は増えているものの、ベルギーのeコマース売上げの大部分を占める販売業者の割合はまだ比較的少ない。この調査によると、eコマース総収益の87%を生み出すオンラインストア数は、1,000未満であるとのことだ。

 

オンライン取引額はすべてのセグメントで増加

オンラインストアを収益に基づいてセグメント毎に分類すると、すべてのセグメントが成長していることが分かる。そして、大手企業は依然としてかなり大きな割合を占めているが、小規模なオンラインストアは、昨年33%の成長を示し、マイクロオンラインストアは49%近くも成長した。

 

 

この調査報告について、eコマース協会SafeShopsと共同出版したThe House of MarketingのLucas De Dycker氏は、次のように述べている。

「今年は再び二桁成長を遂げている。それは素晴らしいことであり、ベルギーでもeコマースがまだ拡大していることを示している。日々、13の新たなオンラインショップが加わり、3件の取引が行われ、その平均売上高は96ユーロ。消費者と小売の双方において、eコマースに対し強い自信が生まれている」。

 

支出額の最大はイギリス人、最少はオランダ人

ベルギーのオンラインストアで生み出される82億ユーロの4分の1は、外国人買い物客によるものであった。ベルギーの店舗における他国からの購入のトップ5は、フランス、オランダ、イギリス、ドイツと米国である。オランダ人の平均注文額81ユーロは最少であったのに対し、イギリス人は最も多く支出している(平均:136ユーロ)。

 

2019年にベルギーで最も好まれた支払い方法はBancontact(銀行発行のデビットカード兼用のキャッシュカード)で、次にクレジットカードが続く。「ベルギーの文化では、デビットカードがより多く使用されている。しかし、高額になるとクレジットカードが使われる。クレジットカードの平均支出額は、デビットカードより72%高い」と、調査報告の著者は語る。

 

 

続いてBeCommerce Market Monitor(ベルギーにおけるオンライン消費者支出のベンチマーク調査)に基づいた値を見ていこう。

 

ベルギーのeコマースは、2019年にすべての国内記録を更新した。昨年、ベルギーのオンラインショッパーは、114億6,000万ユーロ(約1.37兆円)を支出。これは、前年より9億ユーロ増加している。ベルギー人は、平均13.4回のオンラインショッピングを行い、合計で1億1,290万件のオンライン購入につながっている。

 

eコマースは小売り成長の推進力

「eコマースはこれまで以上に、ベルギーの小売業界の成長にとっての重要な推進力となっている。成長の約半分は、オンラインによるものである」と、BeCommerceのマネージングディレクターであるSofie Geeroms氏はコメントしている。BeCommerceが行った調査によると、昨年ベルギー人は、平均して1,363ユーロをオンラインで支出したという。

 

「ベルギー人は2019年に、平均して1,363ユーロをオンラインで支出した。」

 

旅行の航空券と宿泊(パッケージ旅行ではないもの)は、オンラインで最も人気のある商品カテゴリーであり、このカテゴリーにおける支出の87%はオンラインが占めている。これに続くのは、イベントやアトラクションのチケット(79%)とパッケージ旅行(65%)である。「実際には、これら3カテゴリーに対する支出に変化はない」と、Geeroms氏はコメントしている。

 

ベルギーのeコマースは、健康や美容などのカテゴリーにおいて、より成長が見られる。2019年の健康や美容カテゴリーは、2018年と比較すると、25%成長した。

 

「健康や美容は2019年に25%成長した。」

 

 

フランドル地方の消費者はワロン地方より多く支出する

ベルギーのeコマースは、依然として、主にオンラインでお金を使うフランドル(ベルギー北部)の消費者によって、推進されている。2019年の最終四半期のオンライン支出は、この地域でのみ増加した(11%の増加)。ワロン地方での同期間における支出は、2%減少している。

 

スマートフォンの人気は高まっているものの、ほとんどのeコマース決済はノートパソコンで行われている。昨年のスマートフォン使用率は、2018年と比較して54%も増加した。現在では、オンライン支出全体の12%が携帯電話で行われている。ベルギーの消費者がオンラインで高額決済をする必要があるとき、依然として、最も人気のあるデバイスはノートパソコンとデスクトップであることは間違ない。

 

「ベルギー人は、高額な買い物ではノートパソコンを使い続けている。」

 

※当記事は欧州のニュースサイト「Ecommerce News Europe」の3/5公開の記事と欧州メディア「Ecommerce News Europe」の3/16公開の記事を翻訳・補足したものです。