競合他社のコンテンツ戦略を理解することで、検索結果において最も重要な分野で競合他社を上回ることができるだろう。

 

午後10時、競合他社が一体何をしているか把握しているだろうか?

 

このメッセージは、「Do you know where your children are」というPSA(パブリックサービスアナウンスメント/公共広告)が80年代および90年代の親にもたらした効果と同様に、懸念と不安感を呼び起こす。まさに市場における地位を争っているブランドにとってみれば、特にそうであろう。

 

競合他社分析は、ビジネスの成功に不可欠な要素である。これは、特に、検索マーケティングとSEOにおいてオンラインブランドにも当てはまることだ。ポジショニングやマインドシェアにおいて、いつ、市場シェアを競合他社に奪われているのかを把握するには、四半期、または年間におよぶ調査が必要になる可能性がある。しかし、検索結果を見れば、競合他社が自社を上回り始めたことはすぐにわかるだろう。

 

検索エンジンが検索者に表示する検索結果の決定方法は、アルゴリズムに大きく左右される。検索結果は絶えず更新されるので、SEO対策を放置すれば、すぐに競合他社に追い抜かれてしまうだろう。

検索結果における損失を軽減し、また、成長の機会を見つけるには、競合他社の戦略をモニターする必要がある。そこで最初に着手すべき1つは、競合他社のコンテンツ分析である。

 

コンテンツギャップを特定するための競合他社コンテンツ分析

競合他社に注目することは重要である。なぜなら、自社のコンテンツ戦略におけるギャップと、自社ページの問題点がどこにあるのかを見つけ出せるからである。

 

初めに、競合他社が最重要視しているページを特定する。それらのページの特定方法は、Screaming FrogのようなSEO対策ツールを使用して、どのページが内部リンクを最も多く貼られているかを確認することである。内部リンクは、検索エンジンに対し重要度を示しているため、内部リンクを多く設置しているページが、競合他社が最も重要だと考えているということになる。競合相手が最重要としているページをレビューし、自社サイトに追加する必要がある関連性の高いページがあるかどうかを判断すべきである。

 

競合他社のコンテンツ分析から自社の損失機会を見つける効果的な方法の1つは、競合他社サイトへオーガニックトラフィックを誘導しているページを特定することである。SEMrush(サーチエンジン・マーケティング・ツール)やAhrefs(SEO分析ツール)などのツールを使用すれば、獲得したオーガニックトラフィックの割合に基づいてトップページを簡単に特定することが可能である。

 

競合他社サイトのトラフィックのかなりの割合を占めるページを特定する。そのコンテンツのテーマを自社サイトでカバーしていない場合、そのトピックに関する独自ページを制作するのに何が必要かを検討するのは価値があることだろう。さらに、競合他社コンテンツの内容が乏しく、効果的に構成されていない場合、または、自社で同等以上のコンテンツを制作可能だと確信できる場合は、検索サイト訪問者をより多く獲得する絶好のチャンスを見つけたことになる。

 

競合他社のトップページと、それらのページに関連付けられたキーワードを分析する。そして、自社コンテンツを精査し、オーガニックトラフィックの新しいソースを制作するために埋めるべきギャップがあるかどうかを確認しよう。

 

コンテンツ改善のための競合他社コンテンツ分析

競合他社コンテンツを分析することで、自社の既存ページを改善することも可能である。

競合他社のトップページを分析する際には、キーワードだけにフォーカスするのではなく、ページの構造と構成を精査して、そのパフォーマンスが優れている理由を理解する必要がある。

ページの内容は掘り下げられているか?そして、その綿密さが上位ランキングの要因ではないか?または、そのページは特定の質問に迅速かつ簡潔に回答しているか?もしくは、その両方だろうか?

これらは、競合他社ページがランキングしている理由や、さらに、自社ページのパフォーマンスの改善方法を理解したいと考えているならば、答えを見つけなければならない重大な問題である。

 

使用するコンテンツのフォーマットと種類にも注意を払う必要がある。コンテンツは、画像やスクリーンショットで分割されているだろうか?箇条書きとサブヘッダーを使用し、閲覧しやすいページになっているか?ページに、ビデオまたはオーディオコンテンツがあるだろうか?繰り返しになるが、競合他社のトップページを見つけ、そこには、ショートビデオが埋め込まれているとする。ショートビデオ・コンテンツの有無が、競合他社コンテンツと自社のコンテンツのパフォーマンスの差の要因となっていないだろうか?

 

一方で、競合他社ページを分析するだけで終わってはいけない。競合他社がランキングされている検索結果を精査し、そこに表示されている他のページも分析する必要があるのだ。それらのページは、従来競合他社とは見なしていないブランドのページかもしれないが、検索結果における可視性という点では競合しているページなのである。また、これらのページは、自社の既存コンテンツを調整および改善する方法について、さらに深いインサイトを提供してくれる。

 

競合他社や現状の検索結果ページから収集できる情報には、次のものも含まれる。

 

  • 検索エンジンが特定のトピックに関連付ける主要なインテント
  • 関連性が高く関係があるサブトピックまたは質問
  • 関連するSERP(ユーザーが検索エンジンで検索したキーワードの検索結果を表示するページ。サープ)機能。(リッチスニペット/ユーザーが検索結果画面からどのページをクリックするか、その判断を助けるための視覚的にページ内容が想像できるような情報、ナレッジグラフ/検索結果の画面に、テキストのみが表示されるだけでなく、場所、 人物、作品など検索キーワードに対しての属性に基づいた検索結果が表示される機能、ローカルパック/ローカルキーワードで検索すると表示される、地図情報を元にした検索結果、など)
  • 信頼できる外部ソースと関連性のある引用

 

これらの情報を使用すれば、ターゲットとするクエリに最適な回答を提供するためにページを更新するのに必要なすべてのツールを手にしたことになるだろう。

 

ここまで完了すれば、自社コンテンツと検索結果表示1ページ目にランキングされているページとの差は、バックリンクだけかもしれない。ただし、MajesticMozなどのバックリンクツールを使用し、それらのトップページにリンクしているサイトを特定することができる。自社ページを検索結果1ページ目にランキングされているページのクオリティレベルまで改善すれば、それらのページへのリンクを設置しているサイトが、同様に自社サイトへのリンクを設置する可能性が高くなるだろう。

 

リンク可能なアセットのコンセプト考案のための競合他社コンテンツ活用

バックリンクについて言えば、競合他社コンテンツの分析は、リンクを張られる価値のあるコンテンツのアイデアを生み出すためにも有効である。

これまでは、オーガニックトラフィックに基づいて競合他社ページを精査したが、ここで紹介したツールの多くを使用して、バックリンクから競合他社のトップページを特定こともできる。最もトラフィックの多い競合他社ページを分析して、なぜランキングが高いのかを理解したように、トップリンクページを分析して、多くのバックリンクを引き付ける理由を知ることができるのだ。

 

バックリンク分析によって、自社のニッチにおいてリンクと関心を生み出す多くのトピックを知ることができる。また、競合他社ページのバックリンク・プロファイルを掘り下げ、どのようにリンクが設置されているかを確認することができる。そして、どのタイプのページおよびWebサイトが、そのコンテンツにリンクを張っているかについてのインサイトを得ることができるのである。

 

たとえば、競合他社が、多数のWebサイトで引用される興味深い統計につながる独自の研究を行なっているかもしれない。自社ではその研究を同じようにすることはできないが、それを分析し、高い関心が向けられる要因を特定し、直接的に関係がない、もしくは補完的なリサーチを実施するためのアイデアの出発点とすることは可能である。もしその研究を自社で再現したとしても、他サイトが引用を目的として検索する際には、競合他社のサイトを見つける可能性が高い。

 

もちろん、競合他社の優れたアイデアを改良する「スカイスクレイパーテクニック」として知られる手法も1つの選択肢である。しかし、このアプローチでは通常、多大な投資が必要となる。

バックリンク分析において重要なことは、リンクが貼られる価値のあるトピックを特定し、リンクを張る価値がある競合他社ページの特性を維持しつつ、独自の方向性を持つことである。

 

競合他社コンテンツ分析がもたらすメリット

コンテンツマーケティングは、デジタルマーケティングの成功に不可欠な要素であると同様に、検索エンジンが常に「優れたコンテンツを制作する」ためのアドバイスを提供してくれるため、SEOの成功においても極めて重要である。しかし、一貫して、質の高いコンテンツアイデアを生み出し、適切に実行することは困難であろう。特に、自社コンテンツを、競争が激化するSERPにおいて上位にランキングさせることを目標とする場合はなおさらである。

 

ここで、幸いなことに自社の競合相手が手助けとなるのだ。競合他社コンテンツ分析から、以下の項目を学ぶことが可能である。

 

  • 競合他社が重要と判断しているページとトピック
  • 競合他社が検索からオーガニックトラフィックを獲得する方法
  • 現在の自社コンテンツマーケティング戦略のどこにギャップが存在するか
  • 低投資コンテンツでどのようなチャンスを生み出すことができるか
  • 既存コンテンツを改良して検索パフォーマンスを向上させる方法
  • 自社のニッチにおいて、どんなトピックが関心とバックリンクを生み出すか
  • 他ウェブサイトが自社スペース内のコンテンツにどのようにリンクを張っているか、また、リンクを張っている理由

 

競合他社のコンテンツ戦略を理解することで、検索結果において、最も重要な分野で競合他社を上回ることができるだろう。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の9/30公開の記事を翻訳・補足したものです。