ヨーロッパのeコマース企業Zalandoとドイツに本社を置くスポーツ用品メーカーAdidasが提携し、パリでのマルチチャネル施策の試験運用を開始した。消費者は、フランスのAdidasのオンラインショップにて注文すると、同日、または翌日にその商品を受け取ることができるという。この配送はZalandoが担当する。
ZalandoとAdidasによると、今回の試験運用では、いかに「物流を効率的に運用させるか」についてのテストを行っているとのこと。Zalandoにとっては、これがマルチチャネルモデルの初めての試験となる。同社は、2019年8月頭からスタートしたこの試験運用において、同社のプラットフォームと提携ブランド各社が、より綿密に、そしてより簡単に連携する方法を模索する。
より早い配送とブランド表示がない配送ボックス
このサービスを利用したAdidasの顧客は、今回の提携が単なる戦略ではなく、配送時間の短縮につながっていることをすでに実感している。注文商品は、同日の2時間以内か、遅くとも翌日の夕方までには配達されるが、「これらの商品はごく一般的なパッケージで梱包される」とZalandoは説明。同社の配送センターで梱包されるという注文商品の梱包には、ブランド名が書かれていない配送ボックスが使われるという。
試験運用によって同日配送エリアが広がる
「今回の試験運用は、我々のプラットフォーム戦略において重要なステップになる」と、ZalandoのJan Bartels氏は語る。「我々の顧客の利益となるような、相乗効果を生み出す刺激的なアプローチを試すため、Adidasと再び力を合わせることができてとても満足している。Adidasの顧客は、より迅速に商品を受け取ることが可能となり、また、Zalandoの顧客も、この試験運用によって同日配送エリアが拡張されることで恩恵を受けることができるだろう」。
「我々はやはり“ファッションプラットフォーム”だ」
Bartels氏は、Zalandoのeコマースオペレーションで他社ブランドをサポートすることによって、自社eコマースプラットフォームから顧客が離れることは危惧していない。彼は、ほとんどの買い物客が依然として、多様なブランドからの商品購入を希望していると考えているからだ。同氏は、国際ニュース通信社ロイターに対し、「我々は、カニバリゼーション(共食い現象)を恐れていない。マルチブランド小売業において、我々は強力な提案をしている」と語る。「サードパーティーの配送プロバイダにはなりたくない。我々は、やはり“ファッションプラットフォーム”であるのだ」。
こうしたロジスティクス、および広告サービスの提供は、中核となるオンライン小売業務よりも収益性が高いため、今回のような提携は将来的にZalandoの利益改善につながるであろう。
※当記事は欧州メディア「Ecommerce News」の8/19公開の記事を翻訳・補足したものです。