Amazonでのビジネスで成功を手にすることは不可能ではないが、年々難易度は上がってきている。必要なのは、フォーカスすること、そして決断だけである。第一に、ビジネスオーナーは自身の考え方と全体の目標を変える必要がある。新しいベンチャー事業が0ドルからスタートし、最初の30日間で10万ドルの売り上げを達成することは、素晴らしく聞こえるが現実的ではない。

既にこの記事をお読みになっている読者の方であれば、Amazonには「セラー」と「ベンダー」の2種類が存在していることはご存知だろう。そして従来Amazonが注力していたAmazonによる卸販売形式のベンダーから、ここ数年でグローバルのAmazonのトレンドは完全にモール出店形式のセラーにシフトしてきている。

しかし、セラーによって長期的に自社ビジネスをどのように成長させ、進化させたいのかという部分について、時間をかけて検討していかないと、成功を収めることは難しい。セラーはAmazonのプラットフォームについて学びを深め、成功を収めた会社を見習って、成功したビジネスの内部システムがどのように構築されたかを自社システム開発に役立てるために理解すべきである。

 

自社戦略を練る

Amazonのマーケットプレイスは、驚くべき速度で成長している。昨年のホリデーシーズンには、米国だけで1億人以上のプライムメンバーが実に1,260億ドルの買物をした。会員数は増加し続けており、Amazonプラットフォームが今後も定着することは明らかである。信頼できるAmazonブランドとパートナーを組むことを望むセラーにとっては、さらなる成長の可能性が生まれているのだ。

 

<参考>

Amazon、サイバーマンデーの売上がプライムデーを超える

 

Amazonのマーケティングサービスと同ウェブサイトが生み出す膨大な量のデイリートラフィックを利用することで、セラーは、迅速かつ効率的な方法で、完全に自動化されたロケーション自律型のビジネスを開発することができる。

Amazonで他事業者より注目を得たいセラーは、Amazon向けのマーケティング戦略を実行する必要がある。これを達成する一つの方法として、Amazonのマーケティングエージェンシーと提携することが挙げられる。これらのエージェンシーは、事業ごとの観点と展望から検討し、それぞれの事業に特化した戦略を練ることを専門としている。セラーは、自社内でチームを組むか、またはAmazonのマーケティングや広告エージェンシーを務める専門家チームに仕事をアウトソーシングするかを選択することができるのである。

 

同時に複数の異なるクライアントから学んでいる(そして、これらクライアントの個別のニーズに適用することも学んでいる)エージェンシーの専門家と協力することで、セラーは多大な利益を得ることができる。そしてほとんどの場合、エージェンシーと提携することによる効果は数ヶ月で目に見えるようになるという。

 

セラーは、月間売上目標の数字に注目することをやめ、かわりに、デイリーの収益にフォーカスすべきだ。日々の収益こそが、年度末に合算され、大きな額となるのである。結局のところ、ビジネスをグローバルな視点から見つめ、短所や障害を解消・改善し、商品の写真を充実させ、利用者により関連性が高く視覚的にアピールできるコンテンツを提供することが、効率的な方法なのである。

 

5つの賢い戦略

以下は、フルフィルメント by Amazon(FBA)を活用したいセラーのためのいくつかのヒントである。

 

  1. 長期戦で勝負する

これは、ビジネスのいずれの要素も一体となって成長すべきであることを意味する。Jeff Bezos氏(Amazon創業者兼CEO)が好きか嫌いかは別として、彼は小売業界を完全に様変わりさせることとなる会社を作った人物である。Amazonの成功は、Bezos氏の長期的なビジョンによるものだ。短期的な勝利のために動くのではなく、Amazonの創業者は20年かけて独自のビジネスを完成させた。Bezos氏の成功を再現したいセラーは、長期的に持続可能なビジネスを発展させることを目指し、彼の事例を踏襲すべきであろう。

 

  1. Amazonシステムと勝負しようとしない

Amazonで粗悪品を販売しても意味がない。結局のところ品質が重要であり、セラーは、人為的に自社商品を売り込むことではトップランキングを獲得することはできない。ショッピングに関しては、Amazonは素晴らしい商品を提供するよう努めており、それこそが、「何か購入したい」と消費者が考えた際に、このプラットフォームを利用し続けている理由である。Amazonのシステムは最高品質の商品とセラーに報いるように設計されているので、プロモーション戦略を実行する前に、提供商品の品質を完全なものにしておくことが、極めて重要なのである。

 

  1. 商品と最新の傾向に注意する

今日では、多くの商品が中国で製造されている。ある商品を提供するセラーが、類似する商品を扱う他事業者と直接的に競合している、という場合も多い。そのような状況下、セラーが競争力を高めたければ、通常は利幅での勝負となるだろう。これは、今日の経済状態においては特に考慮すべき重要な側面である。

コスト削減と収益最大化のため、セラーは最新の財政動向を常に把握し、地理的な関係が製品製造に与えうる影響を考慮すべきなのである。タックス・ウォーはまだ色濃く、海外の製造工場に依存するいかなるビジネスにも影響を及ぼす可能性があるのだ。

 

  1. 別の国からの商品を検討する

現在、中国から商品を購入しているセラーは、将来的には米国の輸入品に対して25%以上多い支払いが求められる可能性がある。現行の商取引法では、特に大量生産、低利益率のビジネスモデルに悪影響を与えうる。過去、このタイプのビジネスモデルは大いに利益が出たが、それは現在では当てはまらないかもしれない。この影響を打ち消すためにセラーは、製造業において「ポスト中国」とにわかに認識されるようになった、ベトナムなどの他国に商品輸入先を移すことを検討すべきなのかもしれない。

 

  1. リスティングの最適化を超える

最新のプロモーション手法を活用し、クリエイティブになろう。Amazonは、商品を宣伝しプロモーションを行うセラー向けに、有料のソリューションを提供するビジネスも行っている。Amazonの広告プラットフォームはまだ比較的新しいため、いくつかのプロセスやフィーチャー、機能は理解が難しいかもしれない。Amazonのセラーダッシュボードに精通し、柔軟に対応することで、セラーは最適化されたプロモーション戦略を創造的に実施し、コストを抑えて収益を増加させることができるだろう。

 

Amazonのエコシステムを理解する

目標とするAmazonのSEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)を達成するために、セラーは、適格かつ人気のある商品の在庫目標レベルを確保するサービスを利用することが可能だ。最適水準の在庫を提供することにより、Amazon物流サービスとマーケティングサービスによって、その商品が有利にランク付けされることが確実になる。

 

例えば、以下のようなAmazonの在庫管理プロモーションがある:

「プロモーションは2019年6月1日に開始し、2020年1月31日まで継続。ディスカウントの適格性と資格認定は、該当セラーのFulfillment Network SKUまたはFNSKUに基づく。FNSKUとは、Amazonがフルフィルメントセンター(物流拠点)で該当セラーの在庫を特定するために用いる固有のアルファベットコードのこと。あるFNSKUでなされた注文は、別のFNSKUからは履行できないため、適格性と資格認定はASIN(Amazon独自の商品識別番号)レベルのデータではなく、本件商品在庫に基づく」。

 

なおディスカウントは、(米国のソーシャルニュースサイトのredditが概要を示している通り)二つのステップで行われる。

第一ステップ:対象商品を決定する

商品は二つの異なる方法でディスカウント対象となる。

・販売速度で対象となる方法:ディスカウント審査の対象月に、商品が60個以上、FNSKUがスタンダードサイズであるものが売れた場合、ディスカウントの対象となる。例えば、7月にFNSKUが60個販売されれば、7月は在庫費用のディスカウント対象となる。

 

・自動的に対象となる方法:Amazonにより毎月、Restock Reportにて自動的に対象商品が指定される。例えば、7月に新たに対象となるFNSKUは、6月のRestock Inventoryレポートにフラグが立てられる。このレポートには、今月と翌月のFNSKUの適格性を示すフィールドと、フィールドごとに持つべき在庫目標レベルが含まれている。

 

第二ステップ:目標在庫レベルを維持して対象製品を認定する

ディスカウントの対象となるには、セラーは自社対象製品の目標在庫レベルを月間で少なくとも21日間、維持する必要がある。対象製品は目標在庫範囲オプションのいずれかを維持することで資格が得られる。

 

 

このような、Amazonのエコシステムとマーケティングサービスに関する、深い理解を組み合わせた前向きな戦略によって、セラーは学習曲線を跳び越え、他者より抜きん出ることができるのだ。

Amazonのエコシステムの爆発的な成長は、現代の小売業界のあり方を完全に変貌させた。これは、市場で成長し成功を収めるという千載一遇のチャンスを、あらゆるビジネスに提供しているのである。

 

※当記事は米国のニュースサイト「E-Commerce Times」の7/18公開の記事を翻訳・補足したものです。