バイドゥ株式会社は、北京市、上海市など中国在住の中国人2,000人を対象に、中国国内における越境ECサイトの利用実態に関するアンケート調査を実施。その「中国人越境EC利用実態」レポートの一部を紹介する。

 

「周囲の人のすすめ」が越境ECサイト利用に最も影響

越境ECサイトを利用し始めたきっかけとして最も回答が多かったのは「周囲の人のすすめ」であり、とりわけ女性では過半数のきっかけとなっている。また、「海外ブランドの商品を使ってみたかったから」「興味がある商品があったから」といった回答が続いており、越境ECサイト購入金額が高くなるほど、これらを利用のきっかけとしている人が多い。また、「海外旅行に行った際の商品が良かったから」という回答は2割程度で、越境ECサイト購入金額・1年以内の利用回数、世帯年収が高い人ほど、海外旅行が越境EC利用のきっかけとなっていることが明らかとなった。中でも、全体の約5割が海外旅行の際「日本製品が良かった」と回答しており、北京・天津/広東省の女性では6~7割と旅行中に気に入る商品に出会ったことが越境ECサイト利用に繋がる場合もある事がわかった。

 

中国人が越境ECサイトで購入する商品は日本製品が最も多い

越境ECサイトでどこの国の商品を購入することがあるのか、あてはまるものを全て選択してもらった結果、最も多いのは日本(58.0%)であり、次いで韓国(52.5%)アメリカ(48.4%)であった。全体の53.6%は日本以外の国からも購入しているものの、日本からのみの購入者は4.4%だ。逆に、日本製品を購入していない人は42.0%であった。さらに、日本の商品購入について居住地別でみると、北京・天津在住者によるものが多く、重慶・四川省在住者は少ない傾向にある。また、日本商品の購入率は、越境ECサイト利用回数別では差はみられないものの、購入金額別にみると、購入金額が高いほど日本商品の購入率が高いことがわかった。なお世帯年収別では日本商品購入に特に傾向はみられない。

 

約9割の人が自動翻訳されたサイトで購入

越境ECサイトの表示言語別にサイトの利用状況について、日本語が自動翻訳されたサイト、日本語のサイトが必要な情報だけ翻訳されているサイト、日本語のみのサイト、英語のみのサイト、繁体字のみのサイト別に質問した。

この結果、全て日本語のサイトにおいて、商品の買い物・閲覧をする人は49.7%であった。一方、日本語が自動翻訳されているサイトの利用は89.4%、必要な情報のみ翻訳されている場合は76.5%であった。また、英語のみの場合は70.8%、繁体字のみの場合は78.0%であった。このことから、日本語が自動翻訳されているサイトが最も利用されるものの、必要な情報のみ翻訳されているだけでも、英語のみのサイトや繁体字のみのサイトと同程度利用されることが明らかとなった。

 

今回の調査から、中国人が越境ECサイトを利用するきっかけとして「周囲の人からのすすめ」が最も多く、購入する商品は近隣国(日本、韓国)のほかアメリカのものが上位である事が分かった。また、サイトの表示言語に関しては、必要な部分のみ日本語から翻訳されているサイトも、英語、繁体語のみのサイトと同程度利用されることが明らかとなった。越境EC利用のきっかけとして、所謂口コミの影響力が強いものの、旅行をきっかけにしている人は、越境ECを利用する時点で目当てにしている商品が既にあることが伺われる。日本の実店舗における販売と越境ECとの関連を持たせた販売をすることでよりユーザーの目に留まることが期待されるだろう。