ベルギーの郵便BpostとファッションECであるZalandoはベルギー国内にて、消費者の自宅内宅配と、自宅内受取りサービスのテストを実施。試験では、留守の際に宅配業者が自宅内に入ることを消費者が許容できるかどうかを試すことも目的であった。テストは成功したが、まだ克服すべきハードルはたくさんある。

 

Bpostのイノベーション部門であるFuturelabは、Zalandoに対し、自宅内宅配に関する試験を一緒に行うことを提案。2社はこの実験に興味のある参加者を募集し、実験を開始した。

 

もし犬が逃げたらどうするのか?

実験では、BpostとZalandoはペットを持つ世帯を除外した。それは、テスト段階において消費者の飼うペットに対応する責任があまりにも大きかったからだ。この件についてBpostのFuture Lab VP、Patrick Leysen氏は、「これは将来的に解決しなければならない事項なので、今の段階でこれらの問題を発見できたことは望ましいことであった」と語っている。

 

ペットの問題は、アントワープ地域での試験中に遭遇したいくつかのハードルの1つに過ぎなかった。克服すべきもう一つの重要な事項は、依然として人々が見知らぬ人を家に入れることを非常に警戒する可能性があるという事実である。BpostとZalando両社は、今回の試みが技術的なテストだけでなく、顧客が自宅内宅配サービスに対しどのように対応するかという準備状況を調べる意味もあったと述べている。

 

「技術面よりも感情にフォーカスした実験」

ZalandoのRemko Bakker氏は、次のように説明している。「実験は、技術ではなく顧客の心理に焦点を当てている。1990年代のeコマースを振り返って見ると、一般の人々がオンラインクレジットカードの支払いを心から受け入れる前に、顧客の感情を変化させなければならなかった。IoTやスマートホームテクノロジーが普及する過程でも、それと同じよう経験を辿るだろう」。

 

BpostとZalandoの実験方法

今回のテストでは、参加者の自宅フロントドアにNukiのスマートドアロックと、Nestのスマートドアベルを取り付けた。また、配達に関する最新情報を継続的に入手できるアプリを使用した。参加者はこのアプリを通して宅配業者の映像を見ることができ、彼らと話をしたり、遠隔操作でドアを開けたりすることもできた。

 

この実験中に発見したもう1つの興味深い問題は、非常に多くのタイプの“ドア”が存在するということである。Patrick氏は「非常に基本的なことと思われたが、結局それが障害となることがわかった」と言及。Remko氏は、「ドアは、電話やテレビのように、新しいモデルにたびたび交換されることはないだろう。そして、賃貸社会では、ドアの所有者は必ずしも家の住人ではないこともポイントだ」と加えている。

 

※当記事は英国メディア「E-Commerce News Europe」の12/14公開の記事を翻訳・補足したものです。