かねてから「ブラックフライデー(サンクスギビングデーの翌日の金曜日)」が年末小売商戦シーズンの“幕開け”と見なされてきたが、eコマースの出現や顧客からのより早い時期のセールの要求に小売業者が対応し始め、「サンクスギビングデー」が最も急成長を見せる売上日の1つに浮上してきた。

 

米国ソフトウエア会社AdobeのAdobe Analyticsによる最新データによると、サンクスギビングデーのオンラインでの支出額は前年比28.6 %増。米国の東部標準時間午後5時の時点で、17億5千万ドル(13億6千万ポンド)に達した。その支出のほとんどはモバイル経由でなされており、小売サイトへの全アクセス数の54.4%がモバイルからである。

 

この高い伸び率を基にAdobeが予測したところでは、最終的なサンクスギビングデーのオンライン総小売支出額は前年比29 %増で過去最高の37億ドルに達する見込み。現時点で今年11月の1日当りのオンライン売上高は10億ドルを越え、そのうちの2日は1日で20億ドルを越えており、11月1日から22日までのオンライン支出額は計380億ドルに上った。

 

スマートフォンのアクセス数が過半数を占める一方で、閲覧と購入との間に未だ壁があり、スマートフォンでの売上は全体の36.7%にとどまる。この数値は昨年度の29.1%から増加しているものの、顧客は依然デスクトップのような大型パソコンからオンライン購入することにより信頼感を抱いているようだ。デスクトップからのアクセス数は36.5%ではあるが、その売上は52.8%を占めた。また、顧客がウェブ上の買い物かごに商品を入れているにもかかわらず、その商品の購入手続きを完了せずにそのままになっていることが原因で、小売業者は売上見込み額を約43億ドル多く読み間違えているという。

 

「スマートフォンは、オンライン小売サイトへのアクセス数の過半数を占め、またその記録的な売上額でサンクスギビングデーの話題をさらった」とAdobe Digital Insightsの取締役Taylor Schreiner氏は発言。「顧客は、これからブラックフライデーに焦点を向けるので、彼らがこの期間のみ有効なセール価格を大いに利用し、オンライン売上げの新記録を樹立してくれることを期待したい」。

 

ブラックフライデー後半とサンクスギビングの週末、そしてサイバーマンデー。モバイルが、オンライン小売の中心的存在としてその地位を強固なものにしていくことを実証する、さらなる統計が見られそうだ。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の11/23公開の記事を翻訳・補足したものです。