インフルエンサーマーケティングを試してみたいと思っても、大きな予算を割り当てる余裕がないことも。ここでは、多額の予算を準備しなくても成果をあげる方法について、有益な9つの方法を提案をしたい。

 

インフルエンサーマーケティングに注目が集まる現代。一方、「インフルエンサーマーケティングを試すことに興味はあるが、躊躇している」という複数の企業も。彼らは少ない予算しか確保できない、もしくは、全予算を大規模なキャンペーンにかける準備がないということだ。

 

インフルエンサーマーケティングを始めたばかりであれば、コストを低く抑えながらも大きなインパクトを与えることが可能な方法がいくつかある。小規模な予算でキャンペーンを完結させれば、多額の投資を行う前に、何が効果的で何が機能しなかったかを学ぶことができるだろう。

 

自社のファンからスタートさせる

Seasoned Influenceが、マイクロインフルエンサー(1000人~10万人程度のフォロワーを有するインフルエンサー)100人を調査した結果、ブランドへの親和性があるかどうかがインフルエンサーへの報酬額の決定に最も大きな影響を与える要因であることが判明した。ブランドとの親和性を持つ人を見つけるには、自社のフォロワーの中にマイクロインフルエンサーがいるかどうかを確認すればいい。

 

そして彼らにコンタクトを取り、ブランドと提携したり、投稿することを条件に自社製品を無料で受け取ることに興味がないかどうか打診したりするのだ。自社のファンである彼らは、ブランドと提携することを非常に誇らしく思うだろう。彼らが報酬を期待していないわけではないだろうが、より少額の報酬で協業することが可能かもしれない。

 

自社のファンであるインフルエンサーを起用することにより、“オーガニックに”同様のインフルエンサーとつながることができるだろう。1人のマイクロインフルエンサーを起用したキャンペーンを実施すれば、他のインフルエンサーも提携に興味を示し、企業にコンタクトしてくる可能性があることも分かっている。

 

自社がまだ無名でファンがいない場合は、獲得していけばいいのだ。まず、マイクロインフルエンサーに自社製品を提供し、商品を知ってもらう必要がある。そして、彼らにスポットライトを当てる方法を考える。ファンとの関係構築をスタートさせるために、インタビューシリーズや、彼らを招待してサイトのイベントを企画することもできるだろう。

 

最適な人材を見つける

インフルエンサーの報酬額に影響を与える要因は、ブランドとの親和性の次に、キャンペーンがインフルエンサーの専門分野とどの程度整合性があるか、という点である。起用するインフルエンサーを探すときは、彼らが生み出すコンテンツ内容に細心の注意を払うべきだ。そして、自社と類似の商品について投稿しているか、自社がターゲットとする顧客層とマッチしているかという条件を満たすインフルエンサーを探さなければいけない。

 

インフルエンサーを厳密に選択すればするほど、より良い結果に結びつく。たとえば、米国大手洗剤メーカーであるCloroxは、「ママ」全員をターゲットとしているわけではないだろう。2人以上の子どもがいるママで、過去にClorox製品ユーザーが興味を示すような掃除に関するDIYのヒントを投稿しているようなインフルエンサーを探していると考えられる。

 

アフィリエイトとインフルエンサーマーケティングを組み合わせる

ブロガーへの報酬は、工夫をして決める必要がある。独自のアフィリエイトオファーを提供することができれば、実際にコンテンツからコンバージョンが獲得された場合にインフルエンサーは追加収入を得ることができるため、前払い報酬レートを抑えて交渉することが可能だ。

 

アフェリエイトプログラムを提供することにより、長期的に見れば、さらなるコストがかかる可能性がある。しかし、望ましい結果が得られなくてもインフルエンサーに報酬を払わなくてはならない、というリスクは回避できる。現在インフルエンサーは、最大限の効果を生み出すコンテンツを制作することに対してインセンティブを与えられており、期待に添えた場合はさらに追加の依頼を受ける可能性が高くなる。

 

エンゲージメントにフォーカスする

インフルエンサーの虚偽のフォロワーやエンゲージメントの問題は、よく耳にする話だろう。1日中インフルエンサーを評価していると、偽のエンゲージメントは“腫れた親指”のようにひどく目立つものである。エンゲージし、かつ信頼できるオーディエンスを獲得しているかどうか見分ける重要な指標は、インフルエンサーのコンテンツに寄せられた「コメント」である。インフルエンサーのソーシャルチャネルにおいて、読者が質問しているかどうか、本質を突くコメントを残しているか、他の人をタグ付けし、タグ付けされた人にもそのコンテンツが確実に表示できるよう設定しているかなどを確認すれば良いのだ。インフルエンサーの価値を、獲得しているフォロワー数だけで判断してはいけない。

 

個人的には、10万人のフォロワーがいるがエンゲージメント率が2%のインフルエンサーよりも、20,000人のフォロワーしかいないが10%のエンゲージメント率を誇るインフルエンサーと協業したいと考える。依然として、フォロワー数が多ければ、より広範にリーチしエンゲージメントも獲得できるのは事実だ。しかし、フォロワー数がそれほど多くないインフルエンサーほど、フォロワー一人一人に対する影響力はより大きく、より親密な関係を築くことができる。また、支払う報酬は少額で済む場合が多い。

 

自社のスポンサードコンテンツへの高いエンゲージメントを獲得する方法の1つは、エンゲージメントに応じた報酬制にすることである。すでに、獲得したエンゲージメントに基づいて報酬を支払うインフルエンサーエージェンシーやネットワークは存在している。インフルエンサーは始めのうちはこうした方式に懐疑的になるかもしれないが、近い将来には標準となっていくだろう。

 

有料ソーシャル広告を用いてコンテンツ効果を増幅させる

当たり前だが、インフルエンサーがシェアしたコンテンツを宣伝するのには、コストがかかる。しかし、その投資の効果は高い。投稿コンテンツを宣伝するための費用をブロガーに支払うことにより、そのコンテンツを、確実にターゲットとする人々に閲覧させることができるのだ。投稿を宣伝するためにたった25ドルしか投資しなくても、さらに何千人もの人がその投稿を目にすることになるだろう。有料で起用するインフルエンサーの人数を減らすことによって、予算を確保し、協業するインフルエンサーの投稿の宣伝に当てることができる。

 

リターゲティングのためのデータを収集する

インフルエンサーマーケティングは、エンゲージし、かつ信頼できるオーディエンスにリーチできるという点で高い価値がある。自社製品を一度目にしたオーディエンスに対しては、リターゲティングし、呼び戻すべきだ。オーディエンスは、複数回購入しているブランドから、再度購入する可能性が高いものだ。

 

自社サイトにFacebook Pixel(ウェブサイトで実行されたアクションを把握して、広告の効果を測定できるウェブサイトプラグイン)を、インフルエンサーから特定のページにリンクさせることもできる。そうすれば、そのページにアクセスしたオーディエンスを、Facebook広告によりリターゲティングすることが可能だ。さらに一歩前進させて、類似のオーディエンスにターゲティングすることもできる。つまり、Facebookが類似の特性を持つユーザーに広告を配信するということだ。

 

インフルエンサー自身のサイトにトラフィックが流れている場合は、PixelMeを使用して短縮URLを作成することができる。短縮URLからは、インフルエンサーのコンテンツへリンクが貼られるが、クリックされた場合には、そのクリックしたユーザーは自社のオーディエンスに追加されるので、ターゲティングの対象にすることができるようになる。

 

他のブランドと提携する

自社の予算をより効果的に活用する確実な方法は、他社に費用の一部分を負担してもらうのも手だ。たとえばミレニアム向けのスポーツドリンクを宣伝したいと考えた場合、ターゲット層が同じスポーツウェアブランドと協力し合える可能性もある。

 

最近の例としては食品メーカーHersheyKraftが、スモアを作る材料となるチョコレート、グラハムクラッカー、マシュマロをプロモーションするために提携している。宣伝コストを折半できるだけでなく、インフルエンサーにより多くの発注をする場合には、ボリュームディスカウントといった報酬についての交渉する余地が生まれる。オーディエンスには、商品の全てについてだけでなく、商品を購入できる小売店舗の場所も伝えなければいけない。こうした理由から、自社の商品を取り扱う小売業者も提携に適したパートナーになり得るだろう。

 

コンテンツ制作予算から捻出する

インフルエンサーマーケティングを実施するメリットの1つは、優れたコンテンツが制作されるということである。追加で制作コストをかけるのではなく、インフルエンサーが制作したコンテンツを再利用すれば良いのだ。ありふれた写真撮影をする代わりに、気に入ったスタイルのインフルエンサーを探し、ブランドが望むクリエイティブについて詳細なブリーフィングをすればいいのである。こうすることで、使用できる優良なコンテンツを取得できるだけでなく、インフルエンサー市場での影響力をも強めることができる。画像の使用用途については、インフルエンサーとの契約で明確に指定しなければならない。自由にそれらの画像を制限なく使えるとは考えないほうが良いだろう。

 

ギフトや無料提供品についての提案

インフルエンサーマーケティングに着手し始める際、インフルエンサーに無料で製品を提供し、報酬を支払わないという傾向がある。妥当な価値のある製品を扱っていて、インフルエンサーがそれを欲しがっている場合には問題ないが、報酬を支払うことなしに希望するターゲット範囲にリーチすることは難しいと考えたほうが良いかもしれない。

 

最初はマイクロインフルエンサーに対し、自社の製品についてのポストを投稿することを条件に無料で製品を提供する旨をeメールで連絡し、彼らがどのような返答をするか確認するのがいいだろう。返信内容によっては、より魅力的なオファーを提供する必要があるかもしれない。インフルエンサーが同意したとしても、報酬を支払っていない限り、彼らに何かをする義務はない。彼らは投稿しないかもしれないし、また、投稿したとしても、契約なしではコンテンツ内容の修正リクエストに応じる可能性は低い。いずれにしても、インフルエンサーにコンタクトを取り、商品と引き換えに投稿してもらうことが可能か尋ねてみることに害はない。もし断られたら、それから報酬額を交渉し始めればいいのだ。

 

インフルエンザに自社製品を送るときは、大量の無料提供品を受け取っている今日のインフルエンサーの興味を引くものを考えなければならない。自社だけがインフルエンサーに対して無料で製品を提供しているのではないことを覚えておく必要がある。インフルエンサーに対し、よりパーソナルで細かい気配りができれば、インフルエンサーはその商品についての投稿をシェアしたいと考えるだろう。

 

何百万人ものフォロワーを獲得しているインフルエンサーが、無料で受け取った商品に心から感動し、その商品についての投稿をシェアするのを見てきた。際立った事例として、何百人ものフォロワーを持つヒップホップミュージシャンCardi Bが、赤ちゃん服が入ったビッグマックのパッケージについて投稿したケースや、インターネットセレブリティJeffree Starが何百万というファンに対して、Taco Bell Fire Sauceの形をした箱に入ったギフトをファストフードTaco Bellから受け取ったことについて投稿したケースがある。自社の無料提供品を目立たせるために、いかに楽しいプレゼントやクリエイティブなアイテムを提供できるかを考えるべきだ。Amazonで注文した配達物に埋もれてしまうのではなく、さも親しい友人から届いた特別な贈り物のように感じさせなくてはいけない。

 

インフルエンサーマーケティングに多額の資金を投資することに対する懸念は、理解している。どのような新しいチャンネルにおいても、小規模にスタートさせ、何が効果的で、何がそうでないかを見極めなければならない。インフルエンサーマーケティングには様々な方法があり、数多くのバラエティを試すことができるのだ。自社ブランドにとってどの方法が機能するかを模索し、最適な手法を見つけたら、最大限の予算を投資すればいいのである。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の9/24公開の記事を翻訳・補足したものです。