株式会社ネットプロテクションズ(以下、ネットプロテクションズ)と株式会社博報堂DYメディアパートナーズ(以下、博報堂DYパートナーズ)は、ネットプロテクションズが保有する後払い決済サービスの決済データを用いた共同研究を開始。Credit Tech領域における新たな信用情報の検証およびその信用情報を活用することで、見込み顧客発見や戦略立案など、マーケティング支援ソリューションの構築を目指す。

 

Credit Techとは

Credit Techとは、「テクノロジーを用いて信用情報を新たに創造することで、信用をより精緻化するビジネス領域」と定義される。ネットでの購買履歴やクレジットカード、各種ポイントカードの利用情報といったビックデータをもとに、事業者から個人までを対象とした”信用”を可視化、明瞭化する動きのことを指す。

海外では、中国のアリババが政府の後押しを追い風としながら、保有する大量の購買データと決済データを用いて、個人の信用を定量化、可視化する動きが加速している。また、欧米でも、ドイツの「Kreditech」社やスウェーデンの「Klama」社のように、従来の銀行や政府や政府の信用基盤のみに依拠しない信用の担保方法が生まれている。

このようにCredit Techは従来の枠組みにとらわれない信用情報を集積し、新たな切り口で「信用」を精緻化することで、これまでにない取引やサービスの成立を可能にすると注目されている。

 

研究を通して後払い決済向けの信用スコア計量モデル開発をめざす

今回の共同研究では、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(以下、DAC)とデータ・フォアビジョン株式会社が共同開発した金融機関向けの信用スコア計量モデルと、DACが提供するデータ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)「AudienceOne」のオーディエンスデータ、博報堂DYパートナーズが推進する生活者データ、ネットプロテクションズが保有する決済データを活用。

同研究を通して既存の金融機関向けの信用スコアモデルに加え、生活者の決済データを活用した研究を行うことで後払い決済向けの信用スコア計量モデル開発が期待される。

EC事業における同研究のメリットとして、共同研究結果の信用スコア計量モデルを用いたユーザーへの利用限度額の最適化が挙げられる。事業者は全ユーザーに対して一律で設定していた限度額をユーザーごとの利用限度額の変更の目安として利用することが可能となり、収益向上が期待される。またEC利用者側にとっては、これまで一定額の利用にとどめられていた利用限度額が増加する可能性が生まれるのだ。

さらにマーケティングデータへの活用としては、研究を通じて作成したデータを基に、新たな信用スコアデータを用いた拡張ターゲティング広告商品開発およびCRM領域への活用へ期待が寄せられる。

 

対面によるモノの売買では目に見えない「信用」。Credit Techではこの信用をビックデータを基に明瞭化することを目指す。今後ネットプロテクションズは、さまざまな分野におけるビジネス活用に視野に入れながら研究開発を進めていくという。