フランス元老院がeコマースに対する税の導入を検討しているという。具体的には、eコマース企業からオンライン顧客宅までの配達に対する課税についてである。フランス上院議会は、フランス国内の小規模小売店や都市部の店舗を保護するためにこの税制導入を要求しているというのだ。

当初の案では、荷物の配送距離1キロにつき50ユーロを課税するというものだったが、実際はそれとは異なる税制が提案された。それは、eコマース企業の出荷前の最終地点となる倉庫から顧客宅までの距離が50キロ未満の配達に対しては購入価格の1%を課税、その距離が80キロを超えるものには2%課税し、どんなに小さな荷物や短い距離の配達に対しても最低1ユーロの税金を課すというものだ。

尚この税金は、無公害の配送手段を採用する配達や、売り上げが5千万ユーロ未満の小売店、地元農産物、また書籍に対しては適用されない。

 

eコマースの台頭による影響

その議案書には「周知の通り、eコマース企業、特に大規模な企業は、実店舗を構える小売業者と比較すると不公平な税制条件により利益を得ている」と記されている。「eコマースは、便利でかつ無料化の進む配達条件のもとで台頭している一方で、車両を使った輸送という点で様々な公害を生み出すという悪影響も及ぼしている。今後もインフラの過剰使用につながっていくだろう」。

 

税制は地元小売業にも打撃

フランスの日刊紙Le Figaroは、フランスの配送サービス会社Deliver.eeの最高経営責任者Michael Levy 氏に取材を実施。それによると、Levy氏はこの税制案に批判的だという。「この法案は、外資系のeコマース大企業だけではなく、フランス国内で成功を収めているeコマース企業Vente-Privée.comCdiscountなどにも影響及ぼすことになる」とLevy氏は考えているようだ。

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News」の6/22公開の記事を翻訳・補足したものです。