ヨーロッパの消費者は、支出の約5%をサブスクリプション(定期利用・定額利用)に使う。月平均で130ユーロを動画や音楽、娯楽、食べ物などのサブスクリプションに支出し、毎年ヨーロッパ全体で3,500億ユーロがサブスクリプション型購入に費やされているのだ。
こうしてすでに音楽や動画のサブスクリプションサービスには慣れ親しんでいる消費者だが、今後は道具や化粧品についても同様のサービスを利用していくのだろうか?この問いを明らかにすべく、オランダの総合金融機関INGは、11カ国、11,000世帯への調査を実施した。
一般的に新聞や雑誌、電話といった消費財のサブスクリプションはすでに普及している。そして、更にeコマースのおかげでサブスクリプションモデルの可能性は広がっている。低価格動画配信やミュージックオンデマンドのサブスクリプションサービスがスタートし、小売店では耐久消費財と消耗品双方の有形財のサブスクリプションモデル導入を検討し始めているのだ。現在では、剃刀の刃や衣類、食料品やメガネなどのオンラインサブスクリプションサービスが提供されている。
では、サブスクリプション市場において有形財の占める割合はどれくらいなのだろうか?そして将来性はあるのだろうか?
INGの調査では、ヨーロッパの世帯がサブスクリプションに毎月平均で130ユーロを費やしていることがわかった。ヨーロッパにおけるサブスクリプション市場は、年間で3,500億ユーロに相当すると推定されている。これはヨーロッパの総家計消費のおよそ5%に相当する。
サブスクリプション市場は年1,900億ユーロの成長
「サブスクリプション市場は、技術開発や消費者の嗜好の変化、製品デザインに対する優遇規制、現在の低金利環境によって、さらに成長するだろう」と結論付けたINGの調査。同社は、サブスクリプションへの消費金額は年間ベースで1,900億ユーロ増加する可能性があると考えている。報告書によると、「サブスクリプションには、さらなる成長の可能性がある。ヨーロッパ人は、その都度買い物をするよりも、さらに多くの有形財にサブスクリプションモデルが導入されることを希望している。有形財のサブスクリプションモデルは、インターネットやケーブルテレビのような既存サブスクリプションより成長の可能性が高い」とのこと。
北西ヨーロッパではサブスクリプションは高価と思われている
一方で、およそ10人の消費者のうち4人が、有形財のサブスクリプションにメリットがないと考えている。中でもサブスクリプションが「買い切り型」の商品購入よりも安価だと考える人は、たった20%しかいない。特にベルギーやドイツ、フランス、オランダのような北西ヨーロッパでは、サブスクリプションは高価で融通が利かないと考えているという。
調査では、「消費者が消耗品のサブスクリプションで魅力的に感じる点は何か」という質問もされた。最も多かった答えは、「商品が配達されるので外出しなくても良い」という回答だった。また、「新しいものを購入するタイミングを考えなくて良い」、さらに「買うより安い」という回答が続いた。尚、「宅配サービス」がサブスクリプションを選ぶ”最も重要な理由にならなかった”唯一の国は、イタリアであったという。
※当記事は欧州メディアEcommerce Newsの4/4公開の記事を翻訳・補足したものです。