App Annieは、自社が提供するツールであるIntelligenceから得られる全ての主要なモバイルアプリにおけるダウンロード数、収益、ユーザー属性、利用状況の推計データから、「小売アプリにおけるデータ活用」レポートを作成。
アプリは小売業者にとって顧客に商品を閲覧してもらうのに有効な手段であり、利用時間の増加に伴い収益も増加する傾向にあることが判明した。さらにスマートフォンは消費者と直接つながることを可能にするものであり、アプリの有効な利用でコンバージョンに繋げることが可能ということも分かった。
<参考>
【世界】ショッピングアプリ利用時間、Amazon突出もAliExpressが急追
消費者のモバイルで買い物する意欲は高まりをみせている
主要な地域において、全カテゴリ―のアプリにおける1ヵ月平均利用本数は約30本である中、ショッピングカテゴリーのアプリを普段から利用するユーザーは、2017年上半期に1ヵ月あたり2~4本のショッピングアプリを利用している。また、2017年上半期においてショッピングアプリのダウンロード数は前年から20%増加していることから、消費者のモバイルで買い物をする意識が高まっていることは明らかだ。
このような中、アプリにおけるユーザーの確保が先決といえるため、ダウンロード数を確保するにはApp Store最適化と有料広告キャンペーンの両方からなるユーザー獲得戦略が不可欠だ。App Store最適化を極めることでショッピングアプリの需要をオーガニック方法で獲得して、ユーザーをさらに増やし、競合アプリに差をつけることができまた、ストア内マーケティングを実施することで継続的にダウンロードを獲得でき、アプリからの購入者増加が見込まれる。
アプリの利用時間を伸ばすことに投資で、デジタルの長期的な収益を獲得
閲覧機能、ロイヤルティプログラム、商品レコメンドを増やすことで収益に大きく影響しうるユーザー一人当たりの利用時間を伸ばすことができるようになる。
実店舗・オンライン併用型の小売業者であるTargetは、ユーザーのアプリ利用時間を伸ばすことに投資することでデジタルにおける長期的な収益を伸ばすことに成功している。アプリの利用時間とデジタル収益との間に相関関係があることから、アプリの利用時間がデジタル収益増加に繋がるだけでなく、モバイルがますます消費者にとって重要な購買手段となっていることがわかる。
また、自社アプリが使われている場所を把握することでユーザーが求めるショッピング機能を把握できるようになる。ユーザーは、どこにいてもモバイルを利用しており、家の中にいなくてもブランドと繋がることができる。実店舗で利用可能な機能を提供することはユーザー拡大において重要なのだ。
AmazonのプライムデーでAmazonアプリの利用は100万時間越え
日本では、2017年7月11日のプライムデーでAmazonアプリの利用時間が前年度比65%増加し、予想を超える成功を収めている。また、プライムデー1日だけで、Amazonアプリの総利用時間は、100万時間近くに達し、プライムデーとその前日を合わせると200万時間近く利用されていた。
アプリの機能性でコンバージョン率を高める
アプリの機能において特に効果的なものなものとして、精算時の手間の軽減、顧客へのリワード、検索バーの配置と機能の最適化が挙げられた。
精算時のステップを減らすことは購入を促進するうえで重要だ。Apple Payを導入した小売アプリはコンバージョン率がモバイルウェブの2~3倍に上がっている。また、何十億ドルもの価値を生み出したと推定されるAmazonの1-click注文は同社が20年前に取得した特許を、2017年9月に失効。すべての小売業者が実装することが可能となった。
ユーザーへのリワードは、アプリの継続的な利用を促し、ブランドへの執着力を高める。UNIQLOは、実店舗で商品を購入すると顧客は翌日、双六ゲームをプレイできる、というようにゲーミフィケーション機能を活用してロイヤルティプログラムを一歩先へ進めている。
アプリ内検索による購入のコンバージョン率は、検索機能がない場合の2.6倍に高まる。アプリは日頃使っている他の小売以外のアプリとも比較されるため、検索のしやすさはユーザーの評価に大きく影響するのだ。
今や、大多数の人がスマートフォンを所有し、外出先からもショッピングを楽しんでいる。とりわけ、アプリは直接ブランドやマーケットに接続できる機能であることから、ユーザーを魅了するアプリづくりはコンバージョン率の向上に効果的だといえる。