ベルリンに本社を置く大手オンラインファッション企業Zalandoは、ヨーロッパでAmazonと競合できる数少ない企業の一つ。国内最大手のZOZOTOWNの10倍近くの売上を誇る、欧州オンラインファッション業界の超巨人だ。そんなZalandoが目指すのはAmazonのような米国企業ではなく、むしろアジア企業で、特に中国のEC企業最大手Alibabaから多くを学んでいるとういう。
The New York Times紙のMark Scott氏は、Zalandoがいかにして欧州のオンラインファッション業界に台頭してきたかを記事にしている。そこには、Zalandoの創設者兼共同最高経営責任者のRobert Gentz氏が、中国のEC市場に乗り出すために北京で現地EC企業との会合を持ったこと、そして彼が中国オンラインファッション企業のやり方をそのまま踏襲するという決断をした経緯が書かれている。
例えば中国では、ローカルメッセンジャーアプリのWeChatでブランド店やスタイリストとチャットをしてから商品を購入する人が多く、オンラインの小売業者や物流会社、ファッションブランドはごく日常的にこの流れを受け入れている。Gentz氏はこれを欧州に持ち帰りたかった。そしてまさにこれこそが、Zalandoがしてきたことだという。
Zalandoはデジタルショッピングモールに
以前のZalandoは、販売と在庫全てを自ら管理することを重視してきた。しかし現在では、ファッションブランドや他の小売もそのサイト内で営業できるデジタルショッピングモールになろうとしている。Scott氏によると、このアプローチは欧州企業が「シリコンバレーの強豪企業に国を超えた接戦を演じる」という稀な状況を生み出させるかもしれないという。
Zalando発のファッションアプリ
Zalandoは今年いくつかのアプリを開始。その中の一つMOVMNTは、最新のファッショントレンドを見せていくことによってユーザーに購買意欲をもたらす狙い。また、ドイツのベルリンとケルン限定のZipcartというアプリでは、インターネットサービスを提供していない近隣のお店の商品を取り上げ、地元のファッショントレンドを紹介している。2016年3月には、客の住まいや好み、時期、時刻にまで合わせた高度なパーソナライゼーションでその日に合ったファッションを提案するアプリinspiration app Fleekを開始した。更には、Zalandoのスタイリストとチャット形式でやりとりができるアプリZalon Messengerなどもある。
※当記事はヨーロッパメディア「Ecommerce News」の12/19の記事を翻訳・補足したものです。