スマートフォン×EC 2014年下半期トレンドデータ速報

 

今年2015年には、携帯電話所有者の70%がスマートフォンになると予測され、博報堂DYホールディングスの調査によると、スマートフォン保有者の65%がスマートフォンでECを利用してい ると言われています。今回は躍進著しいスマートフォンのEC活用のトレンドデータを2014年の下半期の速報値としてまとめていきます。新鮮なデータを、 弊社EC向けアクセス解析~自動課題判定~施策提案ASPサービスSHOPNOTEから確認していきます。

 

<過去のレポート>

【スマホ×ECトレンドデータまとめ】2014年上半期速報 - 遂にスマホユーザーの割合が半数を超える

【スマホ×EC】2013年総まとめトレンドデータ - スマホ大躍進の一年を生データで振り返る

 

 

ECにおけるスマホ活用実態を5指標×4切り口の豊富な生データで徹底解剖

 

2012年後半から始まったスマートフォン活用の波は、この2014年下半期も引き続き伸びているのか。この半年のデータを、来訪者数・ 売上高・転換率・客単価・平均PV数の5つ主要各指標について、4半期毎の時系列・出店形態別(楽天と本店)・売上高レンジ別・取り扱い商品レンジ毎の4 つの切り口から見ていきます。

 

 

時系列

 

既に2014年上半期にスマートフォンユーザーのアクセス割合が50%を超えていたが、新鮮な2014年の7月~12月のデータをみると、アクセスの60%以上がスマートフォンからのものとなっている。

 

上の図は売上高(ブルー)とアクセス人数(ピンク)について、全体数に対するスマートフォンユーザーの割合を時系列に並べたものだ。最後の4半期(10月~12月)の売上高は半年前と比べて約4.0ポイント増の43.5%、アクセス人数は同じく半年前と比べてこちらは何と約8.3ポイント増の60.9%となっており、共に大きく伸びていることが分かった。

2014年年末時点でECサイトの売上の45%弱はスマホ経由で行われ、アクセスするユーザーの60%はスマホでアクセスしているということを示している。アクセス数は鈍化することなく勢いそのままに伸びてきているが、売上高は少し伸びが鈍化してきているようだ。皆さんも経験があると思うが、スマホで欲しい商品を検索する、という流れは主流になり、その上で買い物カゴに入れた上で、もしくは最終的な決済は一部でPCを使っている、という購買行動を取るユーザーが非常に増えてきたということを意味している。既に一部の店舗ではスマホオリエンテッドでのサイト構築を始めているが、全ての店舗において、スマホのサイトを優先的に考えた上で、おまけとしてPCサイトの構築を検討していく、という優先順位の変更が必須であることを意味しているといえよう。

また、1年前の2013年下半期のデータと比較しても売上高で45%、アクセス人数で58%という凄まじい勢いでスマートフォンの活用が伸びていることがデータからも裏付けられた。

 

 

続いて、その他のeコマースの主要指標と言える、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。こちらは、PCユーザーの値に対するスマートフォンユーザーの値の割合で見ていく。

 

 

平均PV数はこの1年間増加を続けているが、客単価は横ばい、コンバージョンレートは減少傾向という結果となった。最後の4半期(10月~12月)のコンバージョンレートは半年前と比べて約8.8ポイント減の67.4%、平均PV数は同じく半年前と比べて約5.0ポイント増の95.6%となっている。(この値が分かりにくいかもしれないが、例えばPCユーザーのコンバージョンレートが2.0%のサイトにおいて、スマートフォンユーザーのコンバージョンレートがその76%の1.52%であるということを意味している。)

客単価はほぼ頭打ちの傾向が1年前のデータと比較しても顕著となってきており、PCで購買を行う方が若干ついで買いなどをする可能性が高いということが分かる。平均PV数は1年前のデータと比較しても上昇の一途を辿っており、多くのユーザーがスマートフォンでもたくさんのページを閲覧することに対してそれほど否定的ではないことが分かる。逆にコンバージョンレートは2014年の第二四半期をピークに減少傾向が顕著であり、商品の“物色”はスマホで行い購買はPCで行うという住み分けをしていることが推測される。

 

このことから、2014年下半期においてもECサイトにおけるスマートフォン活用は継続的に増加していることとなり、アクセス数は依然として伸び続けているものの、コンバージョンレートの割合の減少と共に、売上高の伸びは鈍化してきているようだ。弊社による今後の見通しとしては今年の6月末にはアクセス人数の65~70%、売上高の 45~50%がスマートフォン経由で行われるのではないだろうか。

 

 

出店形態別(楽天と本店)

 

2014年下半期のデータをいくつかの切り口で見ていく。まずは出店形態による違いを確認するために、楽天か、それ以外の独自店舗(本店)での比較をしていく。本店のデータはGoogle Analyticsが導入されている店舗のデータとなる。

 

 

売上高は6.4ポイント、アクセス人数は15.9ポイント、楽天よりも本店の方が良いというデータとなっている。この差は2014年上期の差より、売上高は若干縮まり、アクセス人数は若干広がっている。依然として楽天より独自ドメインで展開されている本店の方が、スマートフォンによる売上もアクセス人数も高い傾向が見られる

続いて、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。

 

 

こちらも2013年から傾向は変わらず、売上高・アクセス人数とは逆の傾向となり、本店より楽天の方が数値が高くなっていることが分かる。コンバー ジョンレートは9.5ポイント、客単価は7.2ポイント、平均PV数は6.9イントいずれも楽天の方が高い数値となっている。また、その差は2014年の上期よりも倍程度広がっている。このことは本店の方が楽天よりスマホでのアクセスが多いものの、スマホ画面は楽天の方が使いやすいため、楽天ではしっかりとスマホでも購買に結び付けることが出来ているといえる。

 

 

売上高レンジ別

 

ショップの売上高レンジ(月間売上高)による違いを見てみよう。2014年上半期のデータでは基本的には売上高レンジが上がるにつれて、売上高とアクセスのスマホからの割合は高くなっていたが、この下半期は、売上高に逆の傾向が見られる。

 

 

売上高レンジが高くなるにつれて、アクセス人数は大きくなるものの、売上高の比率は徐々に減っている。

続いて、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。

 

 

平均PV数・客単価については、それほど明確な傾向は見られない。しかしコンバージョンレートは売上高レンジの低いショップが最も高い値を示し、徐々に売上高レンジが上がるにつれて低くなっていることが分かる。売上高レンジが低いショップはPCサイトの改善もスマホ対策もあまりしっかり行えていないためPCとスマホで大きな差が出ていないのであって、スマホ対策がしっかり出来ているという意味ではなさそうだ。逆に売上をしっかり作っているショップはスマホでの集客にも成功しており、その分“物色”ユーザーが多く、コンバージョンレートが低くなっていると推測される。この値を見ると売上高レンジが一番低いレンジのショップは、スマホの運営に力をしっかり注いでいった方が結果が出るのではないだろうか。

 

 

取り扱い商品カテゴリ別

 

最後はショップで取り扱っている商品カテゴリによる違いを見ていく。ここでは、美容・健康、アパレル、食品、その他の商品の4カテゴリに大別した。2013年から引き続き、美容・健康、アパレルではスマホとの親和性が非常に高くなっている

 

 

アパレルは75%にも迫る勢いでスマホユーザーの割合が伸びていることが分かる。この値はアパレルというスマホユーザーにとって非常に親和性が高い商材であるとはいえ驚異的な値だ。アパレル商材を取り扱っているショップは、まず真っ先にスマホ向けサイトの改善に取り掛かった方がいいだろう。逆に食品のスマホ活用は2014年上半期とほぼ変わらない値となっており、美容健康・アパレル商材とは大きく溝があいている

続いて、コンバージョンレート(CVR・転換率)、客単価、平均PV数を見ていく。

 

 

客単価、平均PV数には取り扱い商品カテゴリにより違いは見られないが、コンバージョンレートについては、一定の傾向が見られる。コンバージョンレートは美容健康が非常に高い値となっており、スマホでアクセスしたユーザーは購入の意思を持っているリピートユーザーが多い可能性が高いといえる。

 

 

まとめ - 遂にスマホユーザーの割合が6割を超える

 

以上のことから、2014年下半期のスマホ×ECのトレンドは以下のようにまとめられる。

  • 依然としてeコマースにおけるスマートフォンの活用は伸び続けている。
  • ECサイトの売上の45%弱はスマホ経由で行われ、アクセスするユーザーの6割はスマホでアクセスしている
  • スマホでのコンバージョンレートはPCより減少傾向にあり、ユーザーがスマホは“物色”、PCで購買というような役割を分けている傾向が出てきている
  • 楽天より独自ドメインの店舗の方が、スマホによる売上・アクセスが大きいが、コンバージョンレート・客単価・平均PV数は楽天の店舗の方が高い値となっている。
  • 売上高レンジの高い店舗ほどスマホでのアクセス人数割合は高いが、コンバージョンレートと共に売上高割合は低くなっている
  • 美容・健康、アパレルではスマホとの親和性が非常に高く、アパレルのスマホによるアクセス人数は75%に迫る勢い

 

 

スマホ×ECのトレンドデータは、今年は半年に一回程度の割合で報告していく。