最新のデータによると、購入者は「視聴」「閲覧」「購入」の間を行き来しており、マーケターは従来の固定化されたファネルモデルの見直しを余儀なくされている。


近年、消費者の購買行動は極めて多様化しており、マーケティングファネルには柔軟性が求められている。英国のデジタル広告会社MiQが提供するAI駆動型統合広告プラットフォームMiQ Sigmaのレポート「From Funnel to Flexibility」によると、86%の人が少なくとも1時間に1回はデジタルアクティビティを切り替えており、42%の人が購入に至るまでの行程はランダムだと回答している。

こうした行動パターンは、ファネルを信頼性の低いプランニングモデル(目的達成のための構造的なアプローチ)にしてしまう。さらに、購入までの時間が短縮され、わずか10分で購入に至るケースもあるため、段階的なキャンペーンの効果も限定的になっている。

従来のファネルに取って代わるのは、重複する一連の行動パターンである。人々は、多くの場合、同じセッション内で視聴、閲覧、購入といった行動を短時間で行き来する。つまり、購買意欲が形成されてから実際に購入完了までのスピードは、ほとんどのキャンペーンが想定しているよりもはるかに速いということである。

こうした変化により、マーケティングの構造を変える必要性が生じる。これまでのように、一連の行動に基づいて計画を立てるのではなく、購買意欲が生じる瞬間を特定し、たとえそれがほんの数秒間であっても、その瞬間にキャンペーンが適切に対応できるようにする必要がある。

出典: MiQ Sigmレポート「From Funnel to Flexibility」


エクスポージャー(露出)と行動はほぼ同時に起こり得る

データを見れば、そのコンプレッション(情報量の削減と最適化)ははっきりと見て取れる。30分という時間枠の中で、多くの消費者は視聴、閲覧、購入といった行動を取っており、それらの状態を順番に進むのではなく、ランダムに行き来している。

これはメディアプランニングに直接的な影響を及ぼす。メッセージを段階的に分散させるのではなく、活動がピークに達した際の情報伝達の範囲と迅速な対応が最優先事項となる。

デバイスの使用状況もこの傾向を裏付けている。レポートによれば、消費者の91%がテレビを見ながら別のデバイスを使用しており、これはつまり、露出と行動がほぼ同時に起こり得ることを意味している。

これにより、チャネル間の連携の仕方が変わる。1回のインプレッションが、チャネルをまたいだ即時的な行動のトリガーとなり得るため、キャンペーンは個別に管理するのではなく、プラットフォーム間で連携して運用する必要がある。


関心が芽生えるポイントに立ち会うこと

ソーシャルプラットフォームは、需要が生まれる可能性のある、いたる場所で拡大している。消費者の50%以上が、1日のうちに複数の目的でソーシャルプラットフォームを利用しており、若年層ではその割合が80%を超え、意思決定プロセスへの入り口が増加している。

これにより、発見へのプロセスの予測が困難となり、より分散化している。ブランドはもはや購買ファネルへの入り口を誘導するのではなく、消費者の関心が芽生えるあらゆる場所で存在感を示すべく競い合っているのだ。

AIは、そのプロセスの次のステップを加速させる。消費者の45%以上が、商品の比較、レビューの要約、おすすめ情報の取得にAIツールを活用しており、それにより評価から意思決定までの時間が短縮されている。

これはクリエイティブとコンテンツに影響を与える。メッセージは、意思決定プロセスの一環としてAIシステムによって解釈され、提示できるよう、明確かつ整理された構造である必要がある。

出典: MiQ Sigmレポート「From Funnel to Flexibility」


スピードとフレキシビリティ(柔軟性)が求められる

測定にも影響が及ぶ。複数のチャネルで同時にインタラクションが発生すると、ステージベースでのアトリビューションモデルの信頼性が低下し、適用が難しくなる。つまり、プロセルではなく、シグナルと結果に焦点を当てたモデルを採用する必要があるということだ。また、データ、メディア、分析システム間のさらなる統合強化も求められる。

さらに、実行力が制約要因となる。意思決定が迅速に行われる場合、キャンペーンの開始やクリエイティブの更新が遅れると、結果に影響を与える可能性が低くなる。

この変化は実務的なものである。マーケティングは、あらかじめ定められたプロセスに沿って行動を誘導しようとするよりも、行動が起こる瞬間に即座に対応するように構築された方が、より良い効果を上げることができるのだ。

レポート全文はこちら(登録が必要)。


※当記事は米国メディア「Martech」の4/24公開の記事を翻訳・補足したものです。