Metaのテキスト共有アプリThreadsは、X(旧Twitter)に取って代わりつつある。「2025年初頭からThreadsに広告が表示される」という内容を含むレポートが発表された。
我々はThreadsに関する記事を更新し、「2025年からThreadsのプラットフォーム上で広告の表示が開始されるだろう」というレポートを追加した。
Threadsは、2023年7月5日のサービス開始以来、史上最速で急成長したソーシャルメディアプラットフォームである。
最初の1時間だけで、登録者はなんと500万人となった。MetaがTwitter(現在はXだが、元の記事通り、以下Twitterと表記)の代替アプリを開発中であると確認されたわずか3か月後の出来事である。
Elon Musk氏のTwitter買収によって、多くのマーケターがTwitterを離れた結果、米国での広告収入が59%減少した。そのため、Threadsをめぐる話題は、リーチや質を損なうことなくキャンペーンを行うことができる新しいプラットフォームを模索している米国のマーケターとって、大きなニュースである。
Threadsは広告主にとって、ベストな代替品となるだろうか。ここに、知っておくべきすべてのことがある。
目次
・Threadsとは
・Threadsの利用者数
・Threadsを利用しているブランド
・ThreadsはEUで使用可能
・Threadsはどのように利用者を追跡するか
・Threadsは安全か
・Threadsの利用にInstagramのアカウントが必要な理由
・Threadsでユーザー名を変更する方法
・Threadsへの投稿制限
・Threadsの使い方
・Twitterにとって代わるか
・【レポート】2025年初頭、Threadsに広告掲載が開始される
Threadsとは
Threadsは、Mark Zuckerberg氏のMeta Platformsによって運営されている、Instagramと密接に統合されている新しいソーシャルネットワーキングアプリであり、現在はiOSおよびAndroid端末でのみ利用できる。MetaはThreadsを「Instagramのテキストベースの会話型アプリ」と説明している。
ユーザーは、「新規の投稿」、「テキスト・画像・動画の共有」、「いいね!」、「リポスト」、「返信」の機能を使って他のユーザーとやり取りすることができる。アプリストアでは、Threadsは次のように説明されている。
- 「コミュニティが集い、関心のあるトピックからトレンドまで何でも話し合える場」
- 「興味・関心のジャンルが何であれ、お気に入りのクリエイターや自分と同じ興味・関心を持つ人をフォローし直接つながることができる。あるいは、自分の熱心なファンを増やし、世界に向けて自分のアイデアや意見、クリエイティビティを発信することが可能」
同アプリはTwitterといくつかの点でかなり似ているとはいえ、「思いやり」と「友好的」であることに注力しているところに違いがある、とZuckerberg氏は強調している。同氏は自身のThreadsアカウントに次のような投稿をしている。
- 「目標は、アプリが拡大しても、友好的な雰囲気を維持することだ。それは可能だし、最終的に成功の鍵になると思う」
- 「それが、Twitterが思っていたほど成功しなかった理由の1つであり、私たちは違う方法を取りたいと考えている」
- 「私たちは絶対に思いやりを重視し、ここを友好的な場所にしている」
ThreadsとInstagramが非常に密接に統合されていることは、注目に値する。ユーザーはInstagramのアカウントなしにはThreadsに登録できないほどである。
Threadsの利用者数
2024年11月現在、MetaのThreadsアプリの月間アクティブユーザー数は2億7,500万人である。これは、同アプリの利用者が1億人に達した1年前から175%増である。
Zuckerberg 氏はThreadsの立ち上げ後、自身のアカウントで同アプリのそれまでの成功について次のようにコメントしている。
- 「この週末には、Threadsの登録者数が1億人に達する」「これはほとんどがオーガニックな需要であって、まだそれほど多くのプロモーションさえ行っていない」
- 「まだ5日しか経っていないなんて信じられない!」
2010年にInstagramが独立したプラットフォームとしてサービスを開始したときは、1週間で10万人の登録者だったことを考えると、この数字がどれほど重要なものか分かるだろう。
Threadsを利用しているブランド
National Retail Federation(全米小売業協会)によると、米国のスーパーマーケットチェーンWalmartやKrogerを含む上位10社の小売業者はすべて、Threads上でアカウントを有効化したという。Costcoは上位10社の中で最後に有効化した。
最大手消費者ブランド5社と人気ファッションブランド10社は、Threadsの利用開始が少し遅れた。というのも、これらの広告主は慎重で、Threadsがどのように発展するか見てから、参入したいと考えていたからである。
ThreadsはEUでも使用可能
Threadsは100か国以上で利用可能だが、2023年12月までEUでは利用できなかった。Threadsのデータプライバシー運用がEUのデジタル市場法に準拠していないという懸念があったためである。
EUでのサービス開始に先立って、英国のオックスフォード大学(the University of Oxford)AI倫理研究所のCarissa Veliz准教授は、英国の新聞Guardian誌に次のように語った。
- 「Metaはビジネスモデルを変えていないだけでなく、ターゲティング広告、つまり監視広告を続けたいと考えている」
- 「そのために、同社はあらゆる不祥事や世論の反発、規制当局からの警告や罰金にもかかわらず、可能な限り多くのデータを収集しようとしている。当初からそうであったように、同じ方針を継続しようとしている。ユーザーにより敬意を払うビジネスモデルにするために、ビジネスモデルを再構築しているわけではない」
- 「(収集されるデータには)性的指向、人種、民族、生体認証データ、労働組合への加入状況、妊娠の有無、政治、宗教的信念が含まれる可能性がある。そして、これらのデータすべてが、サードパーティへ送られる可能性がある」
Threadsはどのように利用者を追跡するか
Threadsは、Metaが運営するその他のプラットフォームであるFacebookやInstagramと同じ方法でユーザーについて大量の情報を集めている。Metaのアプリは、ユーザーが入力した、次のような機密情報を含むすべての詳細を収集し、保存する。
- 健康・体力に関する情報
- 財務情報
- 位置情報
- 閲覧履歴
- 検索履歴
- 自宅住所
- メールアドレス
- 電話番号
- カメラ
- 写真
- IP情報
- 使用しているデバイス
- デバイスの信号(Bluetooth信号、最寄りのWi-Fiアクセスポイント、通信基地局など)
上記に加えて、ユーザーが交流した投稿やフォローしている人についても保存している。Threadsがユーザーについて保存するこの詳細なレベルこそ、EU当局がデータプライバシーについて懸念する理由である。
Threadsは安全か
Threadsは、コンテンツとインタラクションに関して、Instagramのコミュニティガイドラインを採用している。この規約では、ユーザーは少なくとも13歳以上でなければならず、16歳未満(国によっては18歳未満)のユーザーは、初期設定で自動的に非公開アカウントを取得することになる。ただし、保護者は引き続き、オンラインでの子どもの行動を監視することが推奨される。
Threadsには設定を絞るオプションがあり、これは投稿したテキストに返信できる人物をユーザーが管理できることを意味する。さらに、ユーザーは不要なアカウントをブロックすることができ、InstagramでブロックしたアカウントはすべてThreadsでも自動的にブロックされる。
Metaは2016年以降、プラットフォーム利用者を保護するために160億ドル以上投資しており、安全性は今でもThreadsでの最優先事項である、と述べている。
Threadsの利用にInstagramのアカウントが必要な理由
Metaは、Instagramの2023年5月のブログで、「ThreadsはInstagramのユーザーアカウントとリンクさせる」と通知した。同社は、この決定の背景を次のように説明している。
- 「Threads のビジョンは、Instagram の最も得意とする部分をテキストに拡張し、アイデアを表現するためのポジティブでクリエイティブな空間を作り出すことだ」
- 「Instagram と同様に、Threads では、Instagram などでフォローしている人も含め、興味を共有する友人やクリエイターをフォローし、つながることができる」
- 「オープンソーシャルネットワーキングプロトコルの利点は、互いにフォローし合う方法にとどまらない。開発者は、他のオープンソーシャルネットワークに簡単に組み込める新しいタイプの機能やユーザーエクスペリエンスを構築できるため、イノベーションや実験のペースを加速させることができる。互換性のある各アプリは、独自のコミュニティ基準とコンテンツモデレーション(投稿監視)ポリシーを設定できるので、自分の価値観に合ったスペースを自由に選択できる」
- 「eメールやWeb自体を管理するプロトコルと同様に、この分散型アプローチは、オンラインプラットフォームの未来において重要な役割を果たすと信じている」
- 「Threads は、オープンソーシャルネットワーキングプロトコルとの互換性を想定した Meta 初のアプリだ。この急速に成長している相互運用可能なサービスのエコシステムであるThreadsに参加することで、ユーザーがどのアプリを使用しても、コミュニティを見つけられるようになることを期待している」
Threadsでユーザー名を変更する方法
ThreadsのプロフィールはInstagramのアカウントと結びついているため、名前やユーザー名を含む特定の詳細情報が2つのアプリ間で転送される。したがって、Threadsでユーザー名を変えるにはInstagramのユーザーネームを変えなければならない。そのためには次の手順を行う必要がある。
- 右下のプロフィールのアイコンをタップして、プロフィール画面を表示する
- 自己紹介の下にある「プロフィールを編集」を選択
- ユーザーネーム欄に新しいInstagramユーザーネームを入力する
- 新しいユーザーネームを入力したら、右上のチェックマークを選択し、新しい設定を保存する
Threadsへの投稿制限
投稿や動画には次の制限がある。
- 投稿:最大500文字まで投稿可能。リンク、画像、動画も投稿できる。
- 動画:最大5分の動画を投稿できる。
Threadsの使い方
Threadsは、Twitterと同じように使用できる、とても使いやすいアプリだ。以下で使い方を説明する。
- Instagramアカウントがあるかを確認する。もしなければ、アカウントを作成しなければならない
- Threadsのアプリをダウンロードし、Instagramのログイン情報を使ってサインインする
- ログインすると、Instagramと同じアカウントをフォローするかをアプリが聞いてくる
- 次に、アプリは、ユーザーが興味を持ちそうな他のプロフィールをフォローするよう提案してくる
- それで、アプリは利用可能になる。あなたがフォローしている人からの投稿とおすすめのコンテンツがフィードに表示される。「いいね!」、返信、リポスト、引用のいずれかの方法で、これらの投稿に関わることができる
- Twitterと同様に、自分のプロフィールで投稿、動画、画像を共有する機能もある
Twitterにとって代わるか
MetaのCEOであるZuckerberg 氏は、ThreadsはTwitterより大きくなると信じているが、時間はかかるだろう、と語った。
「10億人以上が参加するオープンな会話アプリが必要だと思う」と同氏は述べた。「Twitterはそうなるチャンスがあったが、実現できていない。私たちは、できればそれを実現させたい。」
サービス開始以来、Threadsはこれまでのところ、確かに成功を収めている。稼働から2日間で、Twitterのトラフィックは1週間前の同時期と比較して5%減少した。米国に本社を置くWeb分析企業SimilarWebによると、前年同期と比較して11%も減少したとのこと。
補足:Metaがデータを共有する方法とThreadsのアカウントを削除する方法の詳細については、Threads補足プライバシーポリシーをお読みください。
【レポート】2025年初頭、Threadsに広告掲載が開始
米国に本社を置くテクノロジー業界に特化したメディアのThe Informationが掲載したレポートによると、2025年初頭には、Threadsユーザーのプラットフォームに広告の掲載が開始されると予想されている。
同レポートでは、早ければ2025年1月にも、少数の広告主がThreadsに広告を掲載し始めるだろうと言及。MetaのInstagram広告部門内のチームがThreadsで最初の広告購入を担当している。
2024年10月に行われたMetaの決算説明会では、CFOのSusan Lu氏が「2025年のThreadsからの広告収入が大きな利益をもたらすとは考えていない」と述べた。