米国のオンライン売上は、人気の商品カテゴリーとリテールメディアネットワークの牽引により、2日間で127億ドルに達した。

 

今年のプライムデーは、オンラインショッピングの新記録を樹立した。Adobeが提供するアクセス解析ツールAdobe Analyticsによると、消費者は、7月11日と12日に127億ドル(約1.8兆円)を消費し、2022年から6.1%の増加となった。

 

イベント2日目には売上がさらに増加し、オンライン顧客は、前年比6.4%増の63億ドルを費やした。

 

2022年のプライムデーの売上は119億ドルに達した

 

気になる理由

Amazonはeコマース大手である。毎年開催される夏のセールイベント「プライムデー」により、オンラインや実店舗の競合他社は、独自のプロモーションを展開することを余儀なくされる。全体として、プライムデーは、その時のeコマースのトレンドや購買行動に基づいて、毎回微妙に異なる雰囲気で開催される。 

 

今年の要因をいくつか見てみよう。

 

Buy Now Pay Later (今買って後で払う)

Adobeによると、プライムデー2日目のBNPL(後払い決済)は、昨年2日目に比べて21%増加した。 全体では、BNPLは両日合わせて注文の6.5%で選択された。家具や家庭用品、電子製品などの高額商品は、BNPLの利用により、より多くの消費者が購入できるようになる。

 

「BNPLによる収益の増加は、今後数か月、特にホリデーシーズンが近づくにつれて、期待されることを予見させるものだ。」と、マーケティングやeコマースに関する調査を行うAdobe Digital Insightsの主席アナリストであるVivek Pandya氏は述べている。

 

控えめな値引き 

今年のプライムデーでは、これまでの数年間やプロモーションほど大幅な値引きは行われなかった。 というのも、eコマース全体で、プライムデー前の独立記念日セールで値引きがピークに達したためだ。

 

米国に本社を置くクラウドコンピューティング・サービス提供企業Salesforceによると、オンライン割引のピークは7月4日の25%であった。そして、プライムデーまでには、割引率は18%まで下がった。ちなみに、2022年のサイバーウィークの割引率は30%であった。プライムデーの割引率は前年同期比15%減となった(これは定価より高いことを意味する)。

 

プライムデーの平均販売価格が前年比で8%上昇した理由も、インフレにあると思われる。

 

上位カテゴリー 

割引以外の要因がプライムデーの購入に寄与していることを示すもう一つの兆候は、上位カテゴリーにあった。

 

Salesforceによると、売り上げ上位のカテゴリーは以下の通り。

 

・電子機器、家電、玩具、学習(オンライン売上高は前年比6%増)

・食品、飲料(同6%増)

・スポーツウェア、フットウェア(同0%増)

 

また、割引率の高かったカテゴリーは以下の通り。

 

・アパレル全般(平均30%割引)

・家庭用品(平均17%割引)

・スポーツウェア、フットウェア(平均16%割引)

 

Adobe Analyticsのデータによると、アパレルの割引率は、表示価格から12%と低かった。また、電子製品の割引率は14%であったが、パソコン(わずか8%)やテレビ(5%)のような需要の高いアイテムは含まれていなかった。

 

プライムデー前のトレンドで明らかとなったように、消費者は多くの場合、購入する商品を1か月以上前からリサーチしている。たとえ例年ほど大幅な値引きがなくても、消費者は自分がほしいものを知っており、消費意欲も旺盛だ。

 

リテールメディアネットワーク 

今年の新勢力であるリテールメディアネットワーク(RMN)もプライムデーの収益に貢献している。 Salesforceによると、RMNから小売りウェブサイトへのトラフィックは、昨年より70%以上増加した。

 

「リテールメディアネットワーク上の広告は、プライムデー期間中、消費者の目を引いた」と、Salesforceのリテール担当副社長兼GMであるRob Garf氏は言う。「この新しいメディアからのトラフィックは急増しており、マーケティングミックスの重要な要素となっている」。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の7/13公開の記事を翻訳・補足したものです。