この目まぐるしく変化する世の中で、B2B向けウェブサイトを戦略(ストラテジー)から戦術(タクティクス)まで再考する時期にきている。そのために必要なものとは何か。

 

企業のウェブサイトは、マーケティングコミュニケーションツールの中で最も重要なメディアチャネルだ。ウェブサイトは完全な「オウンドメディア」であり、どこまでも柔軟で、世界中にリーチでき、更新も簡単である。

 

今や、若者は「もう企業のウェブサイトは見ていない。必要なことはソーシャルメディアからすべて得ることができるから」と考えているのが当然と言える。

 

だが、B2Bに関しては違う。「ウェブサイトがなければ、ビジネスはない」という古い格言がいまだに残る領域だ。そのため自社のサイトの効果を改善できるような機能や特徴を軽視しているB2B企業の多さには驚かされることも多い。

 

貴社のウェブサイトはいつ構築されたものだろうか。更新してからどれくらい経っているだろうか。この目まぐるしく変化する世の中で、ウェブサイトを戦略から戦術まで、再考を提案する。では、始めよう。

 

ウェブサイトの目的は何か

いかなるマーケティング投資でもそうだが、結末を念頭に置いて開始しよう。サイトの目的は何か。この質問の答えが、理想的な機能と特徴について意思決定の指標となる。

 

B2B企業は通常、次の項目のいくつかを組み合わせて自社のサイトを実現しようとしている。

・有望見込み客を見つける。

・専門性や信頼性を示す。

・ライバルに差をつける。

・商品やサービスの説明をし、ビジネスの問題の解決方法を提示する。

・交流の動機付け。

・訪問者のデータを取る。

・パートナーとの関係を管理する。

・カスタマーサービスの提供。

・リードを生成する。

・販売し、取引を終了する。

 

顧客と見込み客は何を探しているか

企業のバイヤーが購入の意思決定に必要とするものの具体的な内容は次の通りだと考えられる。

・差し迫ったニーズに直結したコンテンツ。

・その業界での体験に基づく裏付け。

・探しているものにたどり着きやすく、見つけやすいこと。

・価格の詳細。

・競合情報。

・お客様の声やケーススタディのような証拠。

・長いウェブフォームのような障害がないこと。

 

ずれに気付く

顧客のニーズと我々の目的が、時としていかにずれているかを認識しよう。価格設定はその顕著な例だ。B2B企業で、公開固定価格を設定している企業は少ない。しかし、クライアントはそのベンダーが予算に収まりそうか、少なくともだいたいの感覚を知りたいと考えている。

 

米国のデジタルマーケターであるAndy Crestodina氏と米国でB2Bリサーチサービスを提供するAscend2は、2021年、この問題について有益な調査を行った。彼らが発見した興味深い相違点とはどんなものだったか。訪問者はマーケター以上にサイトデザインに関心を持っていたが、説得力のあるブランドストーリーにはそれほど興味を示さなかったのだ。

 

今日のB2Bマーケティング用のウェブサイトに不可欠な要素

ここでは、今日の市場で最高品質のB2Bウェブサイトに不可欠な要素をリストアップした。このリストに従って貴社サイトをチェックしてほしい。場合によっては、サイトに少し変更を加えた方がいいかもしれない。

 

1:トップページ上に明確なメッセージを

どのような問題を解決するのか説明する見出しを付けよう。もったいぶった言葉やブランド用語は使わない。あなたの会社を利用するメリットと訪問者が関心を持つ理由を説明すること。当たり前のことのように思えるが、トップページに自社の価値提案を掲載していないB2Bサイトがいかに多いかに驚かされる。

 

2:読み込み速度が速いこと

検索者はもうページの読み込みを待ってはくれない。彼らは離脱するだろう。

 

3:教育的なコンテンツ

あなたのカテゴリやあなたの顧客が解決法を探している問題について、有意義でセールスなしの情報を満載しよう。これは古典的なコンテンツマーケティング手法であり、ケーススタディ、調査レポート、プレゼンテーション、ウェビナーのアーカイブ、ブログの投稿、動画など、訪問者の学びに役立つようなあらゆる情報のライブラリを提供し、そのタスクにおいて信頼できるパートナーであることをアピールするのだ。

 

また、コンテンツを見つけやすくしよう。さまざまな組織オプションや内部検索エンジンを試してみること。訪問者のトラッキングデータに基づいて継続的にコンテンツを再編成し、検索行動を元に上位の見込み客のニーズに応えること。コンテンツ戦略に関しては、できる限りお客様の声を含めよう。

 

4:モバイル最適化

貴社サイトへの訪問者はモバイルデバイスを使用している可能性が高い。彼らに快適な体験を提供しなければならない。

 

双方向性が必要だ。パンフレットをそのまま掲載する時代は終わった。訪問者が連絡を取りやすくすること。連絡先情報を画面の下の方に埋もれさせず、全ページの見出しの前に持ってくるのが理想だ。

 

リアルタイムに質問に答え、訪問者のデータを収集するためにチャットボットを導入してほしい。必要に応じて人間がバックアップしよう。

 

トップページ上でも他でも、オファー、行動喚起、データ取り込みフォームのあるランディングページを追加しよう。オファーが十分に興味を引くものであれば、訪問者のわずかかもしれないが、一定の割合でフォームに記入し、連絡先情報を残してくれるだろう。

 

そのデータを問い合わせとして扱い、通常の認定と教育プロセスを実行しよう。サイト全体に同じようなオファーを追加し、周囲のコンテンツに合わせて取引を変えるのだ。

 

サイトへのビジネス訪問者のドメイン名を知ることができるIPアドレス識別ソフトウェアをインストールしよう。彼らの実際の名前はわからないが、所属している会社は知ることができる。

 

手作業で調べることも、NetFactor(米国のB2B企業向けのWebビジターインテリジェンスの大手プロバイダ)のようなプロバイダの自動化プロセスを利用することもできる。どの企業が貴社サイトで情報を調べているかわかれば、その企業へリーチし、支援を申し出ることができる。

 

5:eコマース

若年層が購買グループに加わるにつれて、購買行動は急速に変化している。この層の人々は、すべてをオンラインだけでできることを期待し、スピード感のある、直感的なエクスペリエンスや安全な決済方法を求めている。

 

顧客の購入プロセスを調査し、自動化できる領域を特定しよう。オンラインでエンドツーエンドの販売はしないかもしれないが、見積もり、注文書、契約価格、チャネルパートナーのサポート、注文の承認、クロスセルやアップセル、ライセンス供与、更新、再アクティブ化、ウィンバック(顧客の奪還)などジャーニーの一部で有効にすることはできる。思っているよりも多くのオプションがある。

eコマースは、利益率の低い交換部品の販売、資金調達ソリューションや保証に最適である。複数の言語と通貨に対応するテクノロジーをサポートし、複数の国の税務とプライバシー保護法に準拠していることを確認しよう。

 

6:コミュニティ

コミュニティは今日のB2B業界で話題になっており、検討する価値がある。バイヤーは同業者から学習したがっているため、彼らの手助けをすればするほど、彼らと、そしてあなたも有利になる。

 

コミュニティの構築や支援から、数えきれないほどの利益を得ることができる。コミュニティは、招待者のみの小さなグループとして組織することも、大きな公開フォーラムとして組織することもできる。その目的は、同業者で共有すること、繋がりを持つこと、教育、サポートと無限に広がる。

 

7:管理とメンテナンス

どんな大企業でも、ウェブサイトの意思決定は相当な頭痛の種になる可能性がある。本社がワールドワイドにウェブサイトの管理を行うのか。サイトを作成しているのは、マーケティングか、企業広報か、販売か。海外部門は関わっているか。これらの質問は、最初に明確に対処しなければならない。

 

メンテナンスに関していえば、定期的なメンテナンスが欠かせない。カレンダーを作成し、特定の人を担当に割り当てよう。必要な更新や戦略的変更がないか内容を見直すこと。

 

リンクがおかしい時は修正する。関係者に意見を求める。サイトのトラフィックパターンをモニターし、コンテンツやナビゲーションの改善のため継続的にそのデータを利用しよう。

 

マーケターへのメッセージ

米国のB2Bマーケティング向けウェブサイトDemand Gen ReportBenchmark Surveyによると、2023年にウェブサイトへの投資を予定しているB2Bマーケターの数は、リターゲティング、ソーシャルメディア、メールなど他のマーケティング活動よりも多いという心強いニュースがある。それでは、さっそく始めよう!

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の6/27公開の記事を翻訳・補足したものです。