クラウド型在庫管理システムのリーディングカンパニーであるロジザード株式会社は、「ロジザードEC×物流セミナー2020」に参加した3PL事業者を対象に、EC物流を強化するにあたり習得したい知識・スキルや不安に思うことについてアンケート調査を行った。

 

「セミナーに参加された一番の目的は何ですか?」の質問に対し、40%が「EC物流の業務フローを学びたい」、36%が「周辺システムの知識を習得したい」と回答し、業務フローや周辺システムといった、EC物流の全体像に関する情報収集が目的の人が全体の76%という結果となった。

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BtoB物流をメインに受託している3PL事業者にとって、EC物流がどのようなものなのか不明確のため、情報を集めたい人が多いことが推測される。また、EC物流もBtoB物流と同じ業務フローで行って良いのか、どのようなシステムがあってどう連携する必要があるのかが気になっていると考えられる。

BtoB物流では、荷主によって要件が多様なため業務フローが大きく異なることがあるが、EC物流では業務フローを標準化することができる。

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「荷主獲得で最も困っていることは何ですか?」の質問に対しては、42%が「費用で他社に負けてしまう」と回答し、費用の面で困っている人が最も多いという結果となった。

これは、「送料」の調達に課題を感じている人が多いことが考えられる。また、FBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)やRSL(楽天スーパーロジスティクス)などの「完全サービス」は、委託費用が簡単に算出できるという利点があり、費用も安く見えていることが要因と推測される。

多くの場合、費用で他社に負けてしまう要因として、EC物流の実績が少ないことが挙げられる。実績がないため見積の提示ができない、実績が少ないため費用で他社に負けてしまう、ということを踏まえると、結果的に実績の少なさで困っている人は全体の72%となる。「EC物流を始めるための一歩目を踏み出すことに勇気がいる」と考える人が多いことがわかる。

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提携したいEC支援サービスは何ですか?」の質問については、全体の回答とBtoB物流がメイン・BtoB物流しか行っていない人の回答に差が見られたため、比較して見よう。

全体の回答を見ると、40%が「カート・受注管理システム、基幹システム」という結果となり、荷主が使っているシステムとWMSの連携に課題を感じている人が多いことがわかった。

BtoB物流がメイン・BtoB物流しか行っていない人の回答を見ると、31%が「カート・受注管理システム、基幹システム」 、18%が「ECコンサルタント」、13%が「コールセンター」、12%が「ECサイト制作会社」と回答し、「カート・受注管理システム、基幹システム」を選んだ人が最も多いものの、ほぼ全ての周辺サービスとの連携に興味があるという結果となった。EC物流を始めるにあたり、様々な周辺サービスとの提携に関心を持っている人が多いことがわかる。

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比較すると、全体よりもBtoB物流がメイン・BtoB物流しか行っていない人が、周辺システムの回答が少ないという結果になった。これは、BtoB案件では請け負う荷主が指定するシステムを利用、もしくは指定された上位システムのみと連携していれば問題無かったため、システム連携に課題を感じられていないからだと考えられる。EC物流は、自分たちが品質を維持し、さらに運用しやすいフローを構築できるように倉庫主導で進めていく必要がある。EC物流を始めることで、連携が必要な周辺システムがたくさんあること、システム連携のコーディネートの煩雑さに気づいた人が多いのではないだろうか。

 

今回は、EC物流を強化するにあたり習得したい知識・スキルや不安に思うことについて、3PL事業者を対象にアンケート調査を行った。全体の回答結果とBtoB物流がメイン・BtoB物流しか行っていない人の回答結果に大きな差はなく、EC物流を強化するにあたり、現在の業務形態に関わらず同じような課題や悩み事を持っていることがわかった。また、EC物流を始めるための一歩目を踏み出すことに勇気がいると思っている人が多いことがわかる。

小売のEC化が加速する中、3PL事業者は今後、EC案件に積極的に取り組むかどうかが案件受注の鍵になってくるだろう。