新型コロナウイルスのパンデミック、および米国を中心に巻き起こっている人種問題に関する国際的な抗議行動により、Twitterの利用者数は急増した。一方で、2020年の第2四半期の収益は予測を下回り、損失が拡大したという。
Twitterの新規デイリーユーザーは、2020年の第1四半期の1億6,600万人から1億8,600万人へと2,000万人増え、34%の増加となった。
Twitter社のCEO、Jack Dorsey氏は「我々のプロダクト面への取組みは、成果を上げており、オーディエンスとエンゲージメントは、驚異的な成長を見せている。mDAU(収益につながる日間アクティブユーザー数)は1億8,600万人に増え、2020年の第2四半期には前年比34%増となり、mDAUの成長率を発表し始めて以来、四半期ごとの前年比で最も高い成長率となった」と、語った。
しかし、Twitter社は、ユーザー成長率は飛躍したものの、財務上の成功に結び付けることはできなかった。
収益は前年比19%減で、8億4,100万ドルから6億8,300万ドルに下落。このうち、広告収入は5億6,200万ドルで23%減となった。Twitter社はこの広告収入の下落について、米国でのパンデミックと社会不安の影響により、ソーシャルチャネルへの広告出稿を取りやめたブランドが出たことが原因だと考えている。これにより、Twitter社は1億2,400万ドルの営業損失を被った。
MediaCom UK(英国のメディアマーケティングサービス)の有料ソーシャル部門の責任者、Amie Lever氏:
Twitter社の第2四半期の収益が落ち込んだのは当然だ。イベント主導の会話や話題で成功を収めているプラットフォームなので、前例がないほど多くのイベントのキャンセルや延期によって、ブランドの評判が変化し、影響が及んでいる。しかし、ロックダウン中のTwitter社の取り組みは、信用できるものだった。新型コロナウイルスに関する間違った情報が多く出回った時期に、ユーザ向けの検証済医療情報を総合的な可視化を向上させ、公衆衛生に関するツイートを重視したからだ。
さらに、すべての広告主にとってブランドの評判が優先され、大衆がプラットフォームとブランドにより良い行動をすることを求める中、2019年11月の政治広告禁止に関するTwitter社の見解は新たな影響を与えた。その時期は、特に他のプラットフォームが広告主からの高まる監視に直面していたので、影響は大きかったと言えるだろう。
今後、Twitter社は、第3四半期以降のパフォーマンスソリューションに重点を置くだろう。消費者の購入習慣が変化し、以前より気軽にあらゆるものをオンラインで購入できる状況で、この分野で見過ごしていた収益機会を取り戻す必要がある。SnapchatやFacebook、Instagramは、アプリ内で完全なエンドツーエンドのショッピング体験を行うことができるが、Twitterはこれに対して独自の解決策を持つ必要があるだろう。
生活は、徐々に「ニューノーマル」に移行しており、今回のような収益の低下が今後頻繁に起こるとは考えにくい。第3四半期は、政府の制限緩和が進み、スポーツなどのイベントや広告主の出稿も再開するので、Twitterは失った地盤を取り戻すだろう。
4C Insights(米国のグローバルデータサイエンスおよびマーケティングテクノロジー企業)の最高マーケティング責任者(CMO)Aaron Goldman氏:
Twitter社の第2四半期の結果は、Twitterが情報を発信し、世界を繋ぐ影響力を明確に示していると言える。収益につながる日間アクティブユーザー数が、前年と比較して34%増えていることから、Twitterがますます消費者の生活の中で目に付きやすくなっていることは明らかだ。ブランドが、パンデミックによる広告費の削減や人種差別問題に注目が集まっている時にプロモーションを行うことをためらったため、収益は23%減となった。今後は、スポーツやその他のライブイベントが再開するので、Twitterがメディアミックスで大きな役割を果たすだろう。ブランドにとって成功のカギは、オムニチャネル広告戦略の一部としてマルチスクリーンでの同時性を作り出すことだ。
Socialbakers(チェコのグローバルソーシャルメディアマーケティング会社)のCEO、Yuval Ben-Itzhak氏:
FacebookやTik Tokと同様に、Twitterは、第2四半期に多くの課題に直面している。いくつかの著名人や企業のアカウントがハッキングされ、評判を落としたことで、一部の地域で広告予算についてまだ完全に回復していない第3四半期に、極めて重要なセキュリティへの予定外の投資を組み込む可能性がある。
同社の第2四半期のユーザー数の増加が堅調だというレポートは心強い。ここのところ、Twitterはユーザーと広告主に安全でクリーンな環境を提供するべく、懸命に取り組んでいる。QAnon(米国の右翼陰謀論を広める多数のアカウント)の陰謀論に関連するアカウントやコンテンツを厳しく取り締まるという発表は、Twitterからデジタル汚染を無くすためのより前向きな動きだ。ここ数か月間にわたり行ってきた同様の取り組みが効果を上げており、それは数字に表れている。
第2四半期では、Twitterへのブランド動画コンテンツの投稿が明らかに増加した。Socialbakersによる第2四半期のデータでは、ブランドからのツイートの20%以上が動画を含んでいることがわかった。これは、新型コロナウイルスのパンデミック中に使用が大幅に増えた、非常に魅力的なコンテンツフォーマットだといえよう。これは、Twitterで明らかにうまく機能するフォーマットであり、広告主は継続的に何度も利用する。しかし、Twitterは収益の大部分を大きなイベントに依存している。モバイルゲームのような広告主を惹きつけるためのツールに投資しているが、パンデミックによるイベントの大幅な減少が、2020年後半にどう影響するかはまだわからない。
※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の7/23公開の記事を翻訳・補足したものです。