ソーシャルセリングとは、SNS上での直接的なモノの売買を意味するものではない。あくまで、SNS上で見込み客を探し出し、関係性を築いて、販売に向けた道筋を作るものを指すものだ。そして、このソーシャルセリングによって、オンライン消費者のeコマースビジネスとの関わり方、そして、購入方法が大きく変化している。なぜだろうか?それは、ソーシャルセリングが、カスタマージャーニー全体に大きな影響を与えたからである。

 

今日、私たちはデジタルの世界に住んでいる。それは、eコマースとモノのインターネット(IoT)の成長によって、消費者が優位に立っていることを意味する。現代の購入者は、企業に電話をかけてコンタクトする前に、オンラインでより詳細なリサーチを行うようになっている。

 

現代の購入者の言葉を用いて彼らに語りかけられるeコマース事業者が、競争優位性を獲得できる。

一方、コールドコール、電子メール、電話番号名簿などによる従来のマーケティング戦略とツールは、急速に効果を失っている。消費者は、売り込みをされるという感覚を好まず、あからさまなマーケティングを拒絶するのだ。

現代の購入者は、積極的にオンラインで情報を探す。そのため、eコマースビジネスが、ターゲットオーディエンスのエコシステム内およびその周辺で認知可能な状態であり、彼らから実際に見えることが重要である。

 

ソーシャルセリングは、企業がソーシャルメディアチャネルを利用し、購入者と価値ある持続的な関係を構築するための一つのソリューションを提供する。

 

ソーシャルセリングとは何か?

ソーシャルセリングを実行することにより、営業担当者は見込み客を極めて正確にターゲティングし、親密なネットワークを確立することができる。そして最終的には、見込み客を購買ファネルの下位に押し下げることが可能となる。多くの場合、ソーシャルセリングは、ソーシャルネットワークを介して実行され、営業担当者または企業がターゲット層との関係を構築し、インサイトを共有する価値の高いコンテンツを彼らに提供することに重点を置いている。

 

ソーシャルセリングは、企業が見込み客に興味を持っていることを明示するのに役立ち、コンテンツやインタラクションを通じて価値を提供することで、見込み客を理解するために時間費やしていることを示す。

そして企業は、共通の言語でオーディエンスと関わり、業界の専門家として、本物で信頼できる立場に立つことができる。その結果、見込み客は企業に興味を示す。そして、彼らに問題や課題が発生したときに頼るべき人と捉えてもらえるよう、促すことができるのだ。

 

なぜ、ソーシャルセリングが重要であるか?

以下は、ソーシャルセリングを利用することで得られる主なメリットの一部である。

 

  1. 適切な人々の目に触れる

今日の購入者は、ジャーニーの過程で、12から18の人間、および人間以外とのインタラクションを経験する。この行動を、販売およびマーケティング活動の中心に位置付けることが重要である。これは、特定のペインポイントや課題に対応するコンテンツを構築することにより実現することができる。

 

さらに、購入者の68%が自分でオンラインリサーチをすることを好み、62%はデジタルコンテンツのみに基づいて選択基準を作成するか、購入先リストを完成させている。 つまり、購入者のジャーニーに沿ったコンテンツを作成することにより、そのリサーチプロセスに影響を与えることができる。これが、現代の購入者にアピールする方法なのである。

 

  1. ソーシャルバイヤーとの関わり方

企業は、ソーシャルリスニングやその他ソーシャルリサーチ戦略を使用してソーシャルメディアに携わり、それを利用して、潜在的な販売事業者を見つけたり、独自の調査をしている見込み客やコンタクト先を見つけたりすることができる。

 

75%の人が、「ソーシャルメディアで見た」という理由だけで、何かを購入したと回答しており、90%が、購入決定に助けが必要な場合にソーシャルメディアに頼ると述べている。つまり、ソーシャルメディアは、消費者の購買決定に影響を与える力を持っているということである。

 

なお、調査結果によると、2021年までにeコマースは年間4.5兆米ドルの売上を生み出すと予測されている。

 

  1. 単純接触効果の利用

単純接触効果は、1968年に社会心理学者のRobert Zajonc氏によって発見された。この社会現象によると、人は、何かへの接触回数が増えれば増えるだけ、時間の経過とともにそのものを好むようになるという。

ソーシャルセリングでは、ソーシャルメディアを最大限に活用し、複数のプラットフォームにおいて、自社メッセージをドリップフィードすることで、この原則を活用できる。

FacebookやTwitter、Instagram、LinkedInなどの、現在利用可能なソーシャルプラットフォームを利用し、1日に何度もコンテンツを共有し、ターゲットユーザーとタッチポイントを持つことが可能である。これにより、オンラインでの認知度が高まり、ブランドの存在感を高めることができるだろう。

 

eコマースビジネスのためのソーシャルメディア戦術

以下は、ソーシャルセリングで成功するための重要な戦術である。

 

  • ゴールの設定

販売およびマーケティング活動に関して行うすべてのアクションは、ビジネス全体の目標、および、その達成をサポートするように調整する必要がある。そのため、着手する段階から達成すべきことの概要を確認しなければならない。

これにより、すべてのアクティビティを最終目標達成に向かわせることができる。そして、フォーカスすべきものができ、時間を最大限に活用できることを意味する。

 

  • 価値の提供

ソーシャルセリングの重要なことは、コンテンツを通じたターゲットへの価値提供にフォーカスすることである。

これは、特定のテーマに関する自社独自の知見と知識を共有すること、自社とターゲットの業界内の主要なトピックにコメントすること、または単に既存顧客の質問に答えて、より幅広いオーディエンスと発見を共有することによって実現可能である。

このアクティビティのすべては、独自の自己ブランドとそのファンを構築するのに役立ち、他のビジネスに対する競争優位性をもたらす。

 

  • リスニングツールの活用

ソーシャルメディアリスニングツールは、オーディエンスが取り上げているトピック、および、オーディエンスが使用している言語と用語を理解するのに役立つ。そして、その後、その言語をコメントに織り込むことが可能になる。

結果として、ターゲットとの強固な関係を構築し、自社のコンテンツとアクティビティの共鳴を促進することができる。

 

  • 自社による投稿の最適化

自社のソーシャルメディアへの投稿を、ターゲットオーディエンスの目に触れさせるようにするには、正しく投稿を最適化する必要がある。この最適化を行うために、利用可能なチャネルでハッシュタグを活用し、オーディエンスが使用するキーワードと用語を使う。

ソーシャルチャネルアルゴリズムを念頭に置いてコンテンツを作成する。たとえば、ユニークでリッチなコンテンツが優先表示されるLinkedInでは、ビジュアル主導で、かつてオンラインで見たことのないコンテンツが有効である。

 

  • レビューの共有

顧客に話をさせよう。肯定的なレビューは、望むことができる最高のマーケティングである。満足した顧客ほど、製品やサービスを販売したり宣伝したりしてくれる人はない。

人間である私たちは、多くの場合、第三者のレビューまたはおすすめを信頼する傾向にある。調査結果では、消費者の88%が、個人的におすすめされるのと同じくらいオンラインレビューを信頼すると回答している。

 

  • オーディエンスやフォロワーとの交流

見込み客との対話を始めるには、まず、見込み客のオンラインコンテンツとの関わることから始めるべきである。見込み客の投稿に「いいね」をし、シェアし、自社がソーシャルメディアに存在することを示せばいいのである。オンラインでの信頼関係が構築できたら、見込み客が質問をするときに彼らの投稿にコメントすることを始め、インサイトと貴重な情報を共有して、彼らがまだ知らない情報を教えていくべきである。

 

  • インフルエンサーとの交流

業界のインフルエンサーは、ネットワークを拡大する優れた方法であり、彼らがすでに持っている既存のネットワークを活用することができる。提携するインフルエンサーを選択するときは、彼らとの提携を成功させるために、彼らのフォロワーとコンテンツが自社ビジネスと共鳴し、かつ、ビジネスを補完することを確認するべきである。

インフルエンサーのパートナーシップを調査し、インフルエンサーにコンタクトし、彼らのコネクションを実際に活用するために協力できる方法があるかどうかを確認することができる。

 

  • 一貫性を持つ

ソーシャルチャンネルに時間を費やし、毎日のように現れ、期待通りのインパクトを与え、オンラインノイズを打ち破る必要がある。ときどき投稿するだけでは、いかなるリターンも期待することはできない。

オンラインエンゲージメントとリーチを改善し、アクティビティからの実際のリターンと効果を得たい場合は、一貫性を保ち、有用なコンテンツを定期的に投稿する必要がある。定期的なオンラインインタラクションを実行することにより、オーディエンスに、あなたが、情報の共有と彼らを助けることに尽力していることを示すことができる。

 

最終結論

ソーシャルメディアでは、販売しているものが何であれ、偶然に成功することはない。インパクトを与えるためには、スタートし、失敗し、そして成功し、ブランドを構築し、コミュニティに適応することの価値を認識しなければいけない。

 

多くのeコマース企業は、ソーシャルメディアを利用しているというだけで、消費者が望むものを提供していると思い込むという間違いを犯している。現実、何百万もの選択肢がある現在の消費者が、あなたのビジネスを気にかけなければいけない理由などあるだろうか?

見込み客が使用しているオンラインチャンネルやフォーラムを見つけて、彼らが最も関与しているコンテンツを特定する。そして、見込み客の注目を集めるのに役立つ、よりインサイトに満ちた有益なコンテンツを作成することを目指さなければならない。

 

今後も、自社のコンテンツとアプローチを継続的に改善することを忘れないで欲しい。そうすれば、自社のスタイルをさらに発展させ、見込み客を顧客に変えることができるだろう。

 

※当記事は米国メディア「E-commerce Times」の2/27公開の記事を翻訳・補足したものです。