アウトストリーム動画広告会社Teadsのプロダクト&パートナーシップ担当シニアディレクターJames Hill氏は、インパクトのあるモバイルキャンペーンを構築する方法について提案する。
モバイル広告は、これからさらに輝かしい時代を迎えるだろう。IAB Europe(オンライン広告における技術的標準規格の策定や動向調査、法整備などを行う組織。Interactive Advertising Bureau)は、現在ディスプレイ広告全体の42%をモバイルが占めていると報告した。またマーケティングやテクノロジー分野のリサーチ会社Forresterによると、モバイル広告費は2022年までに、デジタル広告総支出の70%を占めると予想されるという。
モバイル広告の販売をビジネスとしている立場からすると、この継続的な発展は言うまでもなく素晴らしい状況である。一方で、消費者の約半数は「モバイル端末に配信されるほとんどの広告を退屈だと感じている」という調査結果があり、また別の調査では、「一般的なユーザーは毎日7つ以上のモバイル広告を無視している」という結果も示されている。
英国においては、バナー広告が、総額41.8億ポンドにのぼるディスプレイ広告費の約31%を占めている。しかしモバイルでは、その半分ほどのわずか16%に減少する。これは、質の高い広告インベントリや革新的なソリューションを広告主に提供できず、出稿の動機づけに欠けることを示している。モバイルがさらに成長し続けた場合、広告の課題は、消費者を惹きつける魅力的な広告と、ユーザーエクスペリエンスの分断とのバランスを取ることだろう。これは、個人的な非常に小さな画面でのユーザーエクスペリエンスを維持したまま、常に広告を目立たせる手法を考案し、革新を続けなければならないことを意味する。
モバイル上でインパクトのあるキャンペーンを構築するには、ブランドと広告会社がまず創造性に富んだ広告を検討する必要がある。小さい画面では、短い広告がより効果的に機能することはよく知られている。また、広告をさらに説得力のあるものにするために、新しいテクノロジーを採用した機能も数多く存在していることも見逃せない。
たとえば我々Teadsは最近、国際エネルギー企業BPと協業し、弊社のSwingフォーマットに「ジャイロスコープ機能」を導入した。これは、端末の動きに応じて表示されるクリエイティブを変化させる機能である。つまり、スマートフォンを傾けたとき、それに反応し、BPのレポートのさまざまな表示方法を変え、そのライフサイクルを表現するものだ。この巧妙な反応型の広告形式は、好奇心を高める「動きの要素」を組み込むことで、モバイルとの関連性とモバイルならではの広告の魅力を拡大させている。
今では多くの広告会社で、顧客サービスポータルでチャットボットを使用しているが、ブランドがオンライン広告でチャットボットを使用することもまた、より一般的になっている。Teadsは、最初にアパレルブランドTommy Hilfigerの動画広告にチャットボットを導入した。チャットボットテクノロジーが、同ブランドのアウトストリーム動画広告と統合されたのだ。このチャットボットは、動画クリエイティブ上に表示されるCTAからアクセスできるというもの。機能はとてもシンプルだが、ユーザーはチェットボットに質問し、同ブランドの新作コレクションから好みの商品を見つけ出すことが(簡単に)できるようになり、ユーザーエンゲージメントを向上させるのに非常に効果的な方法となった。
広告主はモバイルキャンペーンを計画する際、今まさに起こっているディスプレイ広告のルネッサンスに注目すべきだ。AOPの最近の報告によると、刺激的で新しいクリエイティブの利用が大きな原動力となり、昨年におけるパブリッシャーの収益が約6%増加したという。
ほぼ動きがないディスプレイ広告フォーマットには、今や、スクロールするときにユーザーを強く惹きつけることができる多くの新しいイノベーションが生まれている。ブランドはこれらの採用を検討すべきなのである。一例として、Teads社のFlowフォーマットを挙げてみよう。これは、ユーザーが上下にスクロールするとアニメーションが表示され、ユーザーが自身のスクロール動作によってクリエイティブが変化していることに気づいたときに、さらにエンゲージメントが向上するというものだ。
2019年に向け、Better Ads Standards(オンライン広告のユーザー体験を改善するための基準)を満たしながら、ユーザー体験を阻害することなく、ユーザーを惹きつける完璧なモバイル広告キャンペーンを行わなければならないとなると、より多くの課題に直面することが予想されるだろう。しかし、クリエイティブ力を強化するために最新のテクノロジー革新を最大限に活用しているマーケティング担当者には、これまで以上に魅力的で非常に大きなチャンスが待っているのだ。
※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の9/13公開の記事を翻訳・補足したものです。