マーケターは、AIによって顧客体験が向上すると強気に見ている一方で、消費者はそれを実感していない。この認識の乖離はブランドの信頼性を損なう可能性がある。
米国メディア「MarTech」の「MarTechCharts」セクションでは、マーケターやマーケティング業務の専門家が関心を持つデータを定期的に取り上げている。

出典:Invoca「B2Cに対するAIマーケティングの影響(B2C AI Marketing Impact)」2025年
AIが顧客体験に与える影響に関して、マーケターの認識と消費者の実際の体験には非常に大きな乖離がある。米国に本社を置き、AIを活用した収益実行プラットフォームを提供するInvocaの「B2Cに対するAIマーケティングの影響(B2C AI Marketing Impact)」レポートによると、マーケターの86%は「AIが顧客ジャーニーを向上させている」と考えているのに対し、同意する消費者は35%にすぎない。この認識の違いは単なる意見の相違にとどまらず、消費者の信頼を損ない、AIが改善するべきである顧客体験をむしろ劣化させる危険性をはらんでいる。
さらにマーケターは、消費者が複雑な意思決定をAIに頼りたがっている、と過度に楽観的でもあるようだ。マーケターの半分近く(49%)は、「購入者は重要な局面ではAIのサポートを好む」と考えている。しかし、AIの複雑な問題解決能力に信頼を示している消費者は30%にとどまっている。これらの調査結果は、ブランドが信頼性を維持し、顧客満足度を向上させるために、AI戦略を見直し、社内の熱意と外部(消費者)の現実を一致させる必要性を強調している。