今までFintechの利用は資金力のある大手銀行に限られていたが、このほどWIBが中小規模の銀行が気軽にFintechをりようするためのプラットドームを開発した。

中小規模銀行へのサービス業に特化した業界団体Western Independent Bankers(以下WIB)は、銀行が利用可能な金融サービス向けテクノロジーアプリケーション(以下Fintech)を提供するオンラインストアを開始した。今までこうしたテクノロジーは大企業銀行だけが取り入れていたものであった。

 

銀行用ソフトウェア会社Linqtoと共同で開発されたプラットフォームでは、需要が高いFintechアプリを提供。WIBメンバーの中小銀行はFintechアプリを利用することで顧客に対するサービスを拡大できる。更に、アプリを取り入れた銀行が利益を上げると“店頭(storefront)”はより多くのサポートシステムを形成していくことができ、新たな収益を生み出していく。

「WIBは小規模銀行間では知名度が高く、大きな影響力を持つ」と語るのは、Linqto社CEOのBill Sarris氏。「戦略的なパートナーシップにより、WIBと、800を超えるWIBメンバー銀行は、最新のFintechアプリにアクセスする事が出来る」。

 

WIBアプリストア

今まで設備投資に多くの費用を割く事ができず、大手銀行に大きく遅れを取っていたWIBメンバーの中小銀行は、このアプリストアの利用で手軽なインフラ整備が可能になる。

アプリストアは中小銀行の競争力をあげる

 

大手銀行は、スマートフォンやアプリを利用したい顧客の需要に応えるため、多額の資金を投じ、顧客満足度を高めることで収益を上げてきた。一方で、中小規模銀行はその設備投資ができずに大手銀行に遅れを取っていたのだ。

WIBのアプリストアではこうした中小規模銀行向けに、多くの顧客の要望に応える多様なサービスを提供。これにより、WIBメンバー銀行も市場での競争力を持てる時代になった。

 

Linqto社は自動化された配信プラットフォームでWIBアプリストアを提供。利用銀行は、そのデジタル店舗で需要の高いFintechアプリを選択する事が出来る。セットアップは簡単で、数分間でそれぞれの銀行の名前やロゴを付け加えるなどの設定が可能だ。

カスタマイズされたアプリはすぐにテストに進める。そのテストが完了すれば、アプリは自動的にApple社やGoogle社などのメジャーなアプリストアで使用可能になる、という仕組みだ。

 

Fintech

テクノロジーに対する投資は、今後も競争力を維持したい金融企業にとって欠かせない時代。オンライン/デジタルマーケットリサーチスペシャリストのJuniper Researchによると、携帯電話で金融サービスを使用する人口は2020年までに20億人に達する見込みということだ。従来の企業並みに、今後は銀行もデジタルマーケティングやデジタルサービスなどに注力していくだろう。(続きを読む

中小銀行にとってテクインフラを利用する際の大きな壁であったセキュリティーの問題

 

米国大手のCiti銀行は昨年、自社のiOSアプリに預金・資金運用・管理などの機能を追加した。このアプリは、プレミアムバンクサービス“Citigold”メンバーに向けた最新のサービスや、ユーザー検証機能を提供。同行はプレミアム顧客に対応したサービスに対する投資や資金運用に、特に力を入れているようだ。(続きを読む

「我々のような銀行業は今後、デジタル世代に合わせたサービスや工夫を積極的に取り入れ、顧客との信頼関係を築いていきたい」とWIBのCEO、Michael Delucchi氏は言う。

「WIBのアプリストアによって、銀行は今までのような多額のコストを費やさなくても顧客サービスを向上することが可能になった。この大きな商機を、我々のメンバー銀行が活かしてくれる事を楽しみにしている」と加えた。

 

 

※当記事は米国メディア「Mobile Commerce Daily」の2/10公開の記事を翻訳・補足したものです。