新たなレポートによると、従来の方法で収集されたCRMのデータは、最低要件にすぎない。今こそ顧客データの活用方法を再考するべき時である。


顧客データは十分に活用されておらず、販売取引からデータを収集するために顧客関係管理(CRM)プラットフォームを活用する従来の方法では、もはや十分とはいえないことが新しいレポートで判明した。

米国に本社を置くデジタルビジネス戦略、デジタルエンジニアリング、情報技術(IT)サービス及びソリューションのプロバイダーであるVirtusaのレポート、「Engineering Data Mastery: Beyond Customer Obsession(エンジニアリングデータの精通:顧客第一主義を超えて)」は、企業が顧客データを上手く活用する方法を検証している。(レポートはこちらから登録なしでダウンロード可能。)

同レポートによって、多くの企業がデジタルチャネルからデータを効率的に収集または使用できていないため、顧客データが十分活用されていないことがわかった。これは特に、製品の使用状況や、ソーシャルメディアおよびレビューサイトから得られる顧客からのフィードバックに関するデータに当てはまる。

 

CRMだけでは不十分

このレポートには、販売取引、顧客サービスのやり取り、マーケティング指標からのデータ収集は不可欠ではあるものの、それは現在では単なる最低条件にすぎないため、CRMシステムだけでは不十分である、と記載されている。

また、同レポートによると、企業はCRMソフトウェアへ多額の投資を行っているにもかかわらず、顧客満足度はわずかな上昇にとどまっているとのこと。2023年には、世界中の企業がCRMソフトウェアに1,000億ドル以上投資。これは8年前の4倍である。それにもかかわらず、顧客の満足度は2017年から微増にとどまっている。

さらに、企業は顧客データを効果的に使用しておらず、収集した顧客データを持て余している。また、データ収集とそれをマーケティング、販売、サービス、製品開発の改善に活用することとの間にもギャップがあるという。

しかし、CRMは、このレポートで特定された問題のひとつにすぎない。ITインフラ、システム、プロセスは、データの爆発的な増加についていくのに必死である。特に音声、画像、動画のような非構造化データの場合、データをデジタル化して利用可能なフォーマットにすることも課題であることがわかった。

 

顧客中心主義が収益成長に与える影響

このレポートで「顧客を無視する企業」から「顧客を先読みする企業」まで企業をいくつかの段階に分類している。後者はより多くのデータを収集・活用することによって、より高い収益成長率を実現している。


顧客中心主義:収益倍増要因

出典:Virtusaのレポート、「Engineering Data Mastery: Beyond Customer Obsession(エンジニアリングデータの精通:顧客第一主義を超えて)」


同レポートによると、2020年のデータと比較して、「顧客第一主義の企業」は収益が15%増加し、「顧客を先読みする企業」は18%増加している。一方、「顧客を無視する企業」もしくは「顧客に無関心な企業」は、わずか4%の成長にとどまっている。

企業は、デジタルセンサーやスマートフォンアプリのようなテクノロジーを活用して、「顧客が製品をどのように使用しているか」という顧客データを取得できる。また、ソーシャルメディアや製品レビュープラットフォームのような外部サイトで顧客が語る内容についてより適切に監視することができる。

さらに、企業は、顧客のフィードバックの分析、データの変換、データ基盤の改善に生成AIも活用できる。同レポートによると、「顧客第一主義企業」や「顧客先読み企業」は、データの変換に生成AIを活用することが多いという。データエンジニアリングに生成AIを活用する企業は、新規データの追加にかかるコストを平均27%、時間を40%削減している。



※当記事は米国メディア「MarTech」の2/26公開の記事を翻訳・補足したものです。