サイバーウィークの売上は3,000億ドルを超え、2024年のホリデーシーズンでの購入額の23%を占める。


米国の顧客関係管理 (CRM)ソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービスの提供企業Salesforceによると、サイバーウィークだけで全世界で3,110億ドル、米国で750億ドルの消費が見込まれ、それはホリデーシーズンの購買額のほぼ4分の1を占めるという。さらに、今年のホリデー商戦ではAIが大きな役割を果たすと予想され、サイバーウィークの売上の19%(610億ドル相当)に貢献するという。

世界のオンライン売上高は、10月は前年同月比で若干減少したが、11月第1週には8%増加し、ホリデーシーズンに向けて動きが活発化していることを示している。興味深いことに、最も高い伸びを示した2つのカテゴリーは、メイクアップとアクティブフットウェアで、かつてはそれぞれ、実際に足を運んで購入することが多かった商品である。

Salesforceの予測は、Salesforceが提供するショッピング インデックスによるデータ分析に基づいている。このインデックスには、世界中の15億人の買い物客、1.6兆ページビュー、Salesforce Customer 360 プラットフォーム(Salesforceのすべてのアプリケーションと機能を一つに統合したプラットフォーム)上の2億を超える固有のSKUが含まれている。


AIはどのようにアシストを提供するか

AIは、カスタマイズされた商品のレコメンデーション(推奨)だけでなく、AIエージェントによって消費者に代わって実質的に買い物を行うことで、デジタルショッピング体験を強化する。消費者の24%がこれに満足している。AIエージェントは、注文の問い合わせ、変更、配送リクエストにも (音声またはテキストで) 対応できる。今週、ニューヨークで開催されたSalesforce World Tour (Salesforceが主催するAIイベント)では、顧客がSaks Fifth Avenue(ニューヨーク市マンハッタンの5番街 (Fifth Avenue)を拠点とする高級百貨店チェーン)のAIエージェントと音声でやり取りし、自然な会話の中で注文を変更したり配達をスピードアップしたりする様子がデモンストレーションされた。

AIエージェントはまた、より迅速な顧客サービスをサポートすることが期待されている(30%の消費者は、サービス上の問題がより迅速に解決されれば、AIエージェントを利用することに満足するだろう)。

「特にカスタマーサービス・チャネルでAIエージェントを使用している小売企業では、従来のチャットボットや他の種類のサービス・チャネルを使用している小売企業の2倍の割合でチャット・エンゲージメントが増加している」と、Caila Schwartz氏は語る。同氏は、Salesforceの小売および消費財部門の消費者インサイト・戦略担当ディレクターである。「エージェントはより多くの案件を処理できるようになり、効率も上がり、顧客のニーズに驚くほど応えられるようになっている」と続けた。

Salesforceが提供する企業向けのクラウド型eコマースプラットフォームCommerce CloudのSVP兼GMであるMichael Affronti氏は、さらなる利点を見ている。 「カスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)の観点からは、私たちのクライアントの多くが驚いており、非常に楽観的だ。サービス・センター側のコストを削減できるだけでなく、サイバー・ウィーク中に『注文した商品はどこですか』という電話に対応する人数が少なくて済むからである。人々がその体験に興奮すれば、ロイヤリティを高めることができる。そして、バスケットのサイズアップを推進し、エージェントを単に方向転換のためだけでなく、成長させるために使うのだ」と述べている。


モバイルはより大きな役割を果たすだろう

間違いなく、モバイルアプリやモバイルウェブでのショッピングやチェックアウトの体験が非常に向上しているため、サイバーウィーク中の売上の70%はモバイルからの注文になるだろう。これは世界的な統計であるため、モバイル・ファーストが主流の市場も含まれている。


関心を持つ理由

Salesforceのホリデーインサイトは、このような大規模なデータセットから得られるため、常に追跡する価値がある。今シーズンの予測は、Salesforce が「エージェント」革命と呼ぶもの、つまりコマース、サービス、販売、マーケティング全体で「Agentforce」AIエージェント(Customer 360アプリケーションの機能を拡張する自律型AIエージェント)を使用するという大きな取り組みを背景に発表されている。顧客はこれらのエージェントを受け入れるのだろうか、それとも人間的な対応を切望し続けるのだろうか。それは間違いなく、エージェントのパフォーマンスにかかっている。


※当記事は米国メディア「Martech」の11/22公開の記事を翻訳・補足したものです。