小売業界にいる皆さんが今年のホリデーシーズンに心配する必要のある買い物客は、何人だろうか?その答えは、5人。そんなところである。

 

Epam Continuum社は、18ヶ月にわたる購買行動に関する世界規模の調査の結果、今日の消費者は、「調査型消費者」「浪費家」「体験重視型消費者」「変動型消費者」「意識型消費者」の5つのカテゴリーに大別されるという重要なパターンを見出した。

 

このようなインサイトを活用し、マーケティング活動を最適化するために、小売企業は2022年のホリデーシーズンにこのパターンをどのように活用すれば利益を上げられるかについて注目するとよいだろう。

 

小売企業は、店舗、オンライン、通話で出会うことになる買い手を理解する必要がある。各グループの買い手は、自分たちが何を求めているかを知っており、売り手がその期待に応えられないときは、遠慮せずに物申すだろう。それでは、さっそく見て行こう。

 

買い物客の5つのタイプの実用的な分類法

1.「調査型消費者」は、製品を投資としてとらえ、最も価値のあるものを見つけるために調査を行う。質の高い製品を安く手に入れることに楽しみを感じる。

 

ディスカウントの季節がやってきた。今シーズンの支出は7.1%増と予測されており、2021年の8.5%増と比べると期待外れといえる。現在の経済環境では、小売業者は調査熱心な消費者に重点を置くことになる。思慮深いバーゲン・ショッピングは、トレンドとして定着しつつあり、小売業者はそれを認めなければならない。インフレの時代は、誰もがある程度は調査型消費者になるのかもしれない。

 

このグループについて、米国の家電量販店BestBuyのデジタル戦略責任者であるCameronDavis氏は、「ウェブサイトと検索キーワードで適切なコンテンツと詳細を確実に提供することが重要だ」と述べている。

従来のオンラインコンテンツの提供に加え、彼の組織では「消費者がカテゴリー内の仮想スペシャリストとビデオを通じて簡単に相談できるような仮想ストアを構築している」と続けた。

 

調査好きな消費者は、豊富な情報を入手できるオンラインショッピングでギフトを購入する傾向がある。このような消費者を獲得するために、小売業者は詳細な製品情報やスペック、評価やレビュー、そして競争力のある価格を提供する必要があるだろう。

 

Davis氏は、「これは小売業者にとってビジネス上の大きなメリットになる」と語る。「オンライン環境では、市場の変化に対するモニタリングとレスポンスの強化が重要だ。それには、競合他社の値下げや価格設定の調整、ソーシャルリスニングの強化など、製品の良い点をアピールし、悪い点を改善するためのあらゆる取り組みが含まれる」と続けた。

このようなデジタル・インテリジェンスは、間違いなく小売業者のコスト削減に貢献する。

 

2.「浪費家」は、買い物をすることに喜びを見出し、価格に敏感でなく、ショッピングにおいて自発性を特徴とする態度を持っている。彼らは、ポスト・パンデミック時代に失われた時間を取り戻そうとしているのだ。

 

今は、衝動的な消費者は少数派かもしれない。それでも彼らのことを考える価値があるのは、彼らが良い収入源になり得るからだ。このような消費者は、企業が提供する製品やサービスが気に入れば、チェックアウトに進む。

 

企業は一生に一度のチャンスに抗えないので、こうした顧客たちに向けてホリデーシーズン期間限定の「特別仕様」の商品を提供すべきだろう。

 

Davis氏は、ユニークなオファーや新製品発売記念の特別企画に加え、小売業者は「プラットフォームやウィッシュリストを深化させる分野を、リビングルームからワードローブ、AV機器など、全カテゴリーに目を向けて探すべきだ」と述べている。

 

このような消費者は、一回限りの商品だけを求めているわけではないと、Davis氏は語る。その代わり、彼らは「商品や体験の購入に寛容」である可能性が高い。彼は、ブランドが現在「将来の愛着のための市場」にいるため、「このセグメントで会員特典とロイヤルティを深めること」をアドバイスしている。

 

3.「体験重視型消費者」は、物質的な所有物にはあまりこだわらず、旅行や文化的・社会的活動などの経験に緩やかにお金を使うことを望んでいる。

 

人々は再び家の外に出て、店やレストラン、そして広く世界に目を向けるようになっている。小売企業はこのことを考慮し、どの製品が体験と最も相性が良いかを検討する必要がある。

 

Davis氏は、「実店舗や新しいバーチャルチャネルで、魅力的な商品を試せるようにすることを考えている」と語る。彼は、小売業者が実店舗のあり方を見直し、いかにして真にユニークな体験を提供し、「製品が自然に使える状態でアピールできるか」を検討しているのだ。

 

体験重視の消費者は、ヨーロッパ旅行や素敵なディナーといった「体験型」のギフトに惹かれる傾向があるため、小売業者にとっては扱いにくい客層である。例えば、ヨーロッパ旅行のための新しいスーツケースや、ディナーに合う美味しいスコッチのボトルなど、小売業者は体験的な要素を持つ商品のマーケティングに注力するよう提案している。

 

体験重視のバイヤーに関して、Davis氏は最後に、小売業者はパートナーシップを考慮するべきだと述べている。「私たちの小売店では、消費者が店頭で最適な方法で製品を試せるように、ベンダー・パートナーと緊密に連携することがよくある」と続けた。

 

インテリアショップのWestElm社のREIコレクションDelta航空のPeloton教室のようなパートナーシップの例は、相互利益の新しい領域を生み出していると指摘する。問題は、あなたのビジネスは、誰と組めば最も利益を上げられるか?ということだ。

 

4.「変動型消費者」は、ほとんどの場合は質素だが、気分や状況によっては無謀な買い物をするタイプだ。

流動的な買い物客がどのような瞬間にどのように感じるかを予測することは難しいため、小売業者には、顧客の気分を読み取ることに優れた営業担当者とデジタルコミュニティマネージャーが必要だろう。

 

ここで重要なのは、小売業者は、変動する買い物客の気分に影響を与え、より消費意欲を高めるようなショッピング体験を提供することだ。店員とのやり取りは、顧客体験全体において最も重要でありながら見過ごされがちな要素であるため、このホリデーシーズンには適切な人材を採用するように心がけよう。従業員に賢く投資するビジネスには多少の出費が必要かもしれないが、その分、ROIは大きくなる。

 

Davis氏は、このようなグループに対して、小売業者は「マーケティングとブランドの立場でトップ・オブ・マインド(初めに思い出されるブランドのこと)であることを心がけ、いざというときに頼りにしてもらえるようにするべきだ」と述べている。また、「常時接続型マーケティング(常に顧客接点を持つようなマーケティング)」を採用し、データと分析を効果的に行うことで、小売業者は「プロモーション活動の効果の山と谷を見つけることができるかもしれない」と語った。

 

5.「意識型消費者」は、組織の価値観や製品の品質、環境への影響に左右される。ホリデーシーズンは、顧客が自分の価値観を放棄することを意味するものではなく、むしろ、友人や家族に自分の信念を示すために、ショッピングを楽しむという人もいる。小売業者がこのような層に確実にリーチするためには、自分たちが何を重視しているかを把握し、それを伝えることが必要だ。

 

消費者が十分な情報を得た上で意思決定できるよう、透明性を確保し、可能であれば製品の属性を並べて比較できるようにすることが重要になる。例えば、Whole Foods Marketでは、食肉部門の製品の動物福祉基準を1〜5+の6段階で評価している。このアプローチは、消費者が自分の価値観を実践するのに役立ち、また、その属性が重要であることに企業が共感していることを顧客に示すことで、企業の価値観を伝えることができる。

 

Davis氏は小売業者に対して、こう語る。「あなたの会社にとって信頼できる価値観を強調し続けるよう促している。価値観を主張することが消費に直結するとは限らないが、信憑性が欠けていたり、わざとらしかったりすると、企業は反発を受ける可能性があることは確かだ」。さらに、「倫理的な小売業にとっては、従業員への接し方や、どのベンダーと仕事をするか、そして、顧客に誠実さを証明することが、当たり前に問われる時代になっている」と指摘している。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の12/1公開の記事を翻訳・補足したものです。