Amazonの出品者は、誤って計算された出品手数料の一部払い戻しを待っているため、2022年のホリデーシーズンの収益が減少する可能性に直面している。ほとんど返金されないまま、待ち時間だけが長期に及ぶことも珍しくない。

 

このため、小売業者とAmazonの自動計算システムは常に対立した状態にある。顧客からの返品、配送料、在庫に関する手数料が誤って計上され、出品者の利益が損なわれることに不満が募っているのだ。

 

Amazonの内部にベンダー向けの集中的な監査システムがないため、Amazonによる疑わしい請求の是正を求めるためのリソースは、出品者自身にゆだねられている。Amazonに対するこうしたクレームの最大70%は未解決のままになっている。

 

米国に本社を置きAmazonのファーストパーティベンダーのコスト回収を行うChargeguardは、この不公平を是正したいと考えている。同社のCERA(Central Excise Revenue Audit/中央物品税歳入監査)ソリューションは、Amazonから回収できる可能性のあるチャージバック(カードのユーザーが決済に対して同意しない場合に、クレジットカード会社が売上を取り消してユーザーに返金する仕組み)や欠品手数料の金額を明らかにするものである。

 

 

出典:Chargeguard

 

Chargeguardのミッションステートメントによると、Amazonのベンダーやマーケットプレイス出品者は、透明性のある公正な扱いを受けるべきであるという。これには誤った手数料の徴収に対する監視の強化も含まれる。

 

またChargeguardは、Amazonがベンダーの規模に関係なく平等に手数料を徴収できるようにしたいと考えている。その中には、双方の運用面でのコンプライアンス不遵守を取り締まることも含まれる。

 

Charguardのビジネス開発ディレクターであるShelby Owens氏は、「Amazonは定額課金制のマーケットプレイスであり、ベンダーにビジネスを行うコストとしてこれらの手数料を支払わせており、これは完全に権力の乱用である」と指摘している。

 

「これらの手数料は、ほとんどの場合が誤りだ。しかし、ベンダーはAmazonを必要としている」と同氏は語った。

 

Amazon出品者のために闘う

「Amazonがマーケットプレイスの権限を利用していることから、公平性は疑問視されている。ベンダーは今日の世界では、Amazonで販売しなければ成功できないことをわかっている」とOwens氏。

 

こうした状況において、多くの出品者は何をしなくなるか。彼らはAmazonと闘わなくなるのだ。同氏は、闘おうとする出品者は多数派ではない、と付け加えた。

 

「そこで、Amazonのプロセスを学んだ専門家として我々が参入し、彼らのために闘うのだ」とOwens氏は語った。

 

Amazon出品手数料の引き金となるものは

eコマースのベンダーがターゲットとなるのは、Amazonが規模を拡大してきたからだ。Owens氏は「つまり、Amazonは在庫の計上を自動化システムに頼っていることを意味する」と言う。

 

ベンダーにとっては、このような自動化システムで在庫を完全に処理しきれないことがある。また、ベンダーが、この料金査定プロセスを増やす行動を取ってしまうこともある。

 

受け取り側のプロセスを邪魔するものなら何でも良いのだ。Amazonはあまり自由度を提供しない、とOwens氏は述べた。ラベルを横向きに貼ったり、大きすぎる箱で発送したりすることが干渉因子になるかもしれない。また、時間通りに出荷されないこともある。

 

とはいえ、商品が発送されなかったということではない。むしろ、ベンダーがAmazonのガイドラインに従って送らなかったのである。そのため、二重請求されるのだ。

 

「まず、Amazonが商品を発送しなかったと主張した場合、出品者は誤った欠品手数料を取られる。次に、いわゆるチャージバックというコンプライアンス違反の手数料を取られる。Amazonは、ガイドラインに忠実に従わないベンダーを徹底的に苦しめる」とOwens氏は説明した。

 

自動化を超えて成長する

このサイクルには、「自動化」という共通する存在がある。小売業者は、サプライチェーンとフルフィルメントに対処するために、より着実にそれに依存し始めている。

 

Owens氏によれば、Amazonは他の小売業者と比較して、常に手数料が異常であるという。今や、さらに多くの小売業者が公平性を保とうと自動化に頼っている。

 

それが、さらに問題を悪化させる可能性がある。Owens氏は、こうした事柄が全体的に増加すると予想している。

 

「小売業者にとって、業界トップで最大のマーケットプレイスであるAmazonで販売するメリットは明らかだ」と語るのは、カナダに本社を置くインフルエンサーネットワークSourceKnowledgeの共同創業者でCROのHector Pantazopoulos氏。

 

「小売業者がAmazonで販売することは、Amazonを知っていて信頼している巨大な国際市場からのアクセスを得ることであり、顧客は知らないウェブサイトからではなく、Amazonから購入したいと考える。さらに、Amazonがすべての配送ロジスティクスを行うため、小売業者は重要な業務に集中することが容易になる」とPantazopoulos氏は語った。

 

Amazonの欠点を克服する

「だが、Amazonの出品者には落とし穴もある」とPantazopoulos氏は語る。「Amazonは注文の在庫管理、配送、フルフィルメントを行う。Amazonの大きな欠点は、Amazonのガイドラインを守れなかった場合に発生するチャージバックと欠品手数料だ」。

 

「ほとんどすべてのブランドがAmazonからサプライチェーン関連のチャージバックを受けており、90%が不正確と思われる欠品手数料の控除を受けたことが調査で明らかになった」と同氏。

 

同氏は次のようにも語っている。「このような手数料は、Amazonで販売する零細企業の利益を危険にさらしている。その結果、Amazonの出品者はサードパーティの企業に手数料の異議申し立てをするようになり、最終的には手数料を取り戻すことが多い」。

 

Amazonのベンダーには、マーケットプレイス関係者と交渉するための統一された意見や代理人がいない。しかし、Owens氏によると「Amazonには間違いを解決するための調停プロセスがある。料金トラブルの解決が成功するかどうかは、エラーの内容による」という。

 

「Amazonはどうすればガイドラインを守ることができるかサポートし、ヒントを提供しようとしているが、あまりベンダーの役には立っていない。欠品については、それを減らすために改善できることが書かれているが、入荷は自動化に頼っているため、完全に緩和できるわけではない」と同氏は説明した。

 

サードパーティによる支援

上記以外の場合、エラーは個別に解決を試みることとなる。しかし、出品者が参加できるさまざまなグループがあり、他の業者がどのようにAmazonでのビジネスを管理・処理しているかを知ることができる、とOwens氏は付け加えた。

 

Chargeguardは、ここで代替手段として登場した。同社は、ベンダーと直接連携し、可能な限りコンプライアンスに準拠させ、不当な手数料が修正できない場合は、事後にリカバリーを行う。

 

「一方が他方に翻弄される状態で一緒に仕事をすれば、必ず摩擦が生じる。そこで、私たちは公平な第三者としてベンダーの代わりに金銭を回収するために加わるのだ」とOwens氏。

 

それは、Amazonのルールに準拠した方法で行われる、と同氏は指摘し、ChargeguardとAmazonは良好な協力関係にあり、そのプロセスに従っている、と付け加えた。

 

「また、Amazonはベンダーが自社のルールを遵守することを望んでいるので、ベンダーのコンプライアンス強化にも取り組んでいる。これにより摩擦が少なくなる」と同氏は述べた。

 

請求の監視

Chargeguardによると、Amazonは返金請求の解決に不誠実な態度であるという。Amazonは20億以上のSKUを管理しているため、相違は避けられない。

 

出品者への払い戻しが発生しても、その額はマーケットプレイスがファーストパーティとサードパーティの出品者に支払うべき金額のほんの一部に過ぎない、とChargeguardは言う。そこで、出品者は、Chargeguardの手助けがない場合には、納得のいく解決の保証がないまま、自身のアカウントを監視し、間違いを特定し、払い戻しを要求しなければならないのだ。

 

その状況を打開するために、Chargeguardは、保留中のすべての払い戻しを継続的に監視し、同社のプラットフォームを利用するために登録した出品者が、払い戻し額を

把握できるようにしている。そして、Chargeguardは、出品者に代わって払い戻しを回収する。

 

この件について、Amazonに2度の書面によりコメントを求めたが、回答はなかった。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の11/29公開の記事を翻訳・補足したものです。