Gartnerの調査で、消費者は感謝祭から年末にかけてのホリデーシーズン用の買い物をその期間に限定しないことが明らかとなった。

 

2022年、消費者はブラックフライデーやサイバーウィークのような11月の重要な日にホリデーシーズン用の買い物を集中させないだろう。これは、米国に本社を置き、IT分野を中心とした調査・助言を行うGartnerが実施した調査の重要なポイントであり、インフレや可処分所得に対する消費者の懸念も浮き彫りとなっている。

 

Gartnerが約300人の消費者を対象に行ったこの調査は、先日「金銭的な不安が前年比150%以上急増」と報告したEmodo(米国に本社を持つ広告ソリューションの独立系プロバイダ)の調査よりもサンプル数はかなり少ない。しかし、Gartnerはマーケターに「ホリデーショッピング戦略に対してオールウェイズ・オン(一時的・短期的に顧客に働きかけるのではなく、顧客との長期的な関係性作りを目指したブランディングや販売促進)のアプローチをとるように」という実用的なアドバイスをしている。

 

インフレの圧力だけではない

ホリデーシーズンに向けて、消費者の心に浮かぶ最初の懸念はインフレだが、不安材料はそれだけではない。2021年のサプライチェーン問題を経験した後、消費者の多くは店舗在庫や適時な配送に関して今も不安を感じている。また、多くの消費者(75%)は、2021年よりも割引率が下がるか、あるいは同じになると予想している。

 

これらの要因を総合すると、消費者の約3分の1(32%)が、11月までにホリデーシーズン用の買い物をする予定である。21%が10月に買い物をする予定だと回答し、11月と回答した人は27%である(ブラックフライデーとサイバーマンデーはそれぞれ11月25日と29日に予定されている)。

 

Amazon Primeのような夏のセールも売上が伸びており、従来のホリデーショッピング期間とは別に注目を集めている。

 

マーケターはどう対応するべきか

消費者の多くが初秋からホリデーショッピングを始める予定のため、マーケターはますます年間を通してホリデーショッピングの促進に取り組むようになる。

 

Gartner のマーケティングプラクティスのディレクターアナリストであるKassi Socha氏は「ここ数年、消費者の裁量支出は増加しているが、インフレの圧力が今年のホリデーシーズンの支出計画に影響を及ぼしている。予算に関するためらいと、消費者のホリデーショッピング開始時期が新しくなったことと相まって、マーケターはオムニチャネル導入の必要性を強調し、オールウェイズ・オンのアプローチを用意する必要がある」と述べた

 

具体的にどう行動すればよいか。Gartnerは次のように提案している。

 

・マーケターは、一年中利用できるオムニチャネルの「ギフト」カテゴリを作成する必要がある。米国に本社を置く家電量販店Best Buyや米国の百貨店Macy’sはすでにこの方向に進んでいる。

 

・価格や価値だけでなく、配送無料や割引配送を強調すること。

 

・消費者が過去に購入したリストを投稿し、今後のショッピングの参考にできるような、デジタルな「ウィッシュリスト」機能の開発を検討すること。消費者の35%は、家族や友人のウィッシュリストを購入の参考にしている。

 

 

なぜ注目するのか

2022年は記録的なホリデーショッピングシーズンにならない、という報告が一貫してされている。戦略を切り替えるにはもう遅いかもしれないが、Gartnerの今回のアドバイスは、年間を通じて有効なものだ。

 

同時に、1年後にサプライチェーンとインフレがどうなっているかは、誰にもわからないのだ。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の9/26公開の記事を翻訳・補足したものです。