オンライン販売に頼っているブランドは、ソーシャルコマースを最優先事項にしなければならない。
世界中の消費者にとって、eコマースはショッピングの定番となっている。オンラインでの商品購入は、この20年で徐々に一般的になりつつある。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによって、eコマースの成長は一気に加速し、小売分野での重要性は確かなものとなった。
そして今、ソーシャルコマースが登場し、eコマースを次の段階に進化させようとしている。オンライン販売に依存しているブランドであるなら、ソーシャルコマースを最優先事項にしなければならない。
<参考>
ソーシャルコマースでしっかりと成果をあげるために何を検討していくことが重要か
ソーシャルコマースとeコマースの違い
「eコマース」とは、ウェブサイト、eメールマーケティング、ブランドショッピングアプリなどのプラットフォームを通じてオンラインで行われる、すべての販売のことを指す。「ソーシャルコマース」はeコマースの一種で、ソーシャルメディアプラットフォーム上で行われるものである。
ソーシャルメディアにおけるソーシャルコマースの位置づけによって、ソーシャルコマースは他のeコマースの販路と差別化される。Facebook、Instagram、YouTube、TikTokを含むソーシャルメディアプラットフォームは、毎月30億人以上のアクティブユーザーに利用されている。ドイツに本社を置く統計市場調査プラットフォームのStatistaによると、北米の全人口の70%弱がソーシャルメディアを利用しているという。オンライン販売を考えているブランドにとって、これは大きな可能性だといえる。
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米国の企業10社のうちおよそ8社が、2023年までにソーシャルコマース市場への参入を予定している。これらの企業は、すでに年間5,000億ドル以上に成長した市場を利用しようとしているのだ。さらに重要なのは、ソーシャルコマース市場は、2028年までに3兆ドルを超えると予測されているということだ。
ソーシャルコマースが消費者を大いにひきつける理由
パンデミック以前、ショッピングは社会活動であった。多くのアメリカ人が、友人や家族とショッピングモールへ行き、日常的にショッピングを楽しんでいた。新型コロナウイルスが広まるにつれて、ソーシャル(社会的)な付き合いはソーシャルディスタンスに置き換わり、ショッピングはオンラインに移行した。
2020年には、前年比30%増となる8,000万人のアメリカ人が、ソーシャルメディアプラットフォームで商品を購入した。ソーシャルコマースは着実に成長していたが、パンデミックにより急激に成長した。
技術的には、オンラインショッピングのすべてがソーシャルメディア上で行われる場合にソーシャルコマースとみなされる。その過程は、商品について調べることから始まり、注文の確認を受け取ることで終了する。ソーシャルコマースが他のeコマースと異なるとされる点は、オンラインショッピング体験にソーシャルな要素があるということだ。
プラットフォームで友人たちに商品についてシェアすることで、購入前に気軽に意見を聞くことができる。購入後は、届くまでのワクワク感や期待を簡単にシェアすることができる。他のオンラインショッピングはリモートで人間味がないものであるのに対し、ソーシャルコマースは店舗での体験を再現している。
ブランドがソーシャルコマースを活用する方法
オンラインで販売しようとしているブランドは、ソーシャルメディアにショップを開設することで利益を得ることができる。予算を最大限に活用するためには、戦略的なアプローチが必要だ。
すべてのソーシャルメディアプラットフォームが、すべてのオーディエンスに人気があるわけではない。最も成功しているブランドは、ターゲットとする顧客とプラットフォームのオーディエンスとの密接なマッチングを見つけている。これは、ソーシャルメディアプラットフォームが得意とするところだ。ソーシャルメディアプラットフォームは、他のeコマースサイトよりも自身のユーザーについてよく理解し、ユーザーの好き嫌いやソーシャルメディアの習慣を理解している。ソーシャルメディアでの販売を考えているブランドは、正確なターゲティングから利益を得ることができる。
ソーシャルコマースは、顧客関係の構築を助け、ブランド力も高める。プラットフォームを利用することで、ユーザーは商品の画像や体験を気軽にシェアできる。許可を得たうえで、ユーザーが作成したコンテンツを自社の売り込みに取り込むことができる。その売り込みは信用と信頼を得るだろう。元のユーザーが、自分の写真が選ばれたことを共有することで、さらにバズることもあるだろう。
ソーシャルコマースがブランドのソーシャルメディアマーケティングの他の要素と統合することは、顧客関係を構築し、ロイヤルティを高めるには最適だ。消費者は、一貫したブランドの声とイメージを認識している。ブランドのコンテンツに対する消費者の信頼は、販売の拡大につながる。
そのうえ、ソーシャルコマースによって、店舗での体験よりも多くの消費者と直接つながることができる。販売の観点からすれば、これは顧客一人一人にアプローチしなくても、最も直接的につながることができるアプローチである。ブランドの観点からすれば、これはブランドロイヤルティを築くためのまたとない機会だ。
今日の売上の先を見据える
今日、ソーシャルコマースは間違いなく、広告を売り上げにつなげるための強力なツールである。これは、企業が生き残るために不可欠なものである。しかし、将来を見据えると、ソーシャルコマースは、今日の1件の売上以上のものに変わるかもしれない。
ソーシャルな要素と関係構築の傾向から、このタイプのeコマースは長期にわたる顧客関係を作り出す理想的なチャネルだ。ソーシャルメディアプラットフォームから得られるユーザーデータにより、初回の購入から簡単にパーソナライズすることができる。結果として、ブランドは、前の世代の買い物客がお気に入りの店と築いていたような親密な関係を作る機会を得ている。
ソーシャルコマースにより、ブランドは顧客のパーソナルショッパーとなり、ショッピング体験全体を楽しく、便利にすることができる。
ソーシャルコマースの未来
専門家は、ソーシャルメディアの利用が持続的に成長すると予測している。その結果として、ソーシャルコマースは利益を得るだろう。
販売チャネルにソーシャルメディアプラットフォームを利用することで、ブランドは顧客の習慣の変化を、その変化とともに確認できるユニークな立場にある。この距離感によって、変化する生活習慣にリアルタイムで適応し、消費者のニーズに応えることで売上を伸ばし続けることができる。
※当記事はインドメディア「Entrepreneur」の5/27公開の記事を翻訳・補足したものです。