中国のeコマース大手Alibaba Groupは、傘下の東南アジアマーケットプレイス大手Lazadaをヨーロッパに拡大したい考えだ。Lazadaは、Alibaba運営の国際通販サイトAliExpressのようなクロスボーダー販売ではなく、ヨーロッパの地元の小売業者に焦点を当てる計画。また、つい最近では、Alibabaの物流会社Cainiaoがベルギーに進出した。

 

この事業拡大計画を知る情報筋がロイターに語った。Lazadaは、サードパーティセラーがドロップシッピングサービスを利用して商品を売ることができるオンラインマーケットプレイスである。同社は、2012年にドイツのインキュベーターであるインターネット企業Rocket Internetによって設立された企業で、過去にはeコマースで成功を収めたZalandoも立ち上げている。2016年にAlibaba Groupが10億ユーロでLazadaを買収した。

 

アクティブユーザー数は1億5,900万人超え

Lazadaは現在、東南アジアを代表するeコマースプラットフォームである。2021年には、アクティブカスタマー数は1億5,900万人を超え、210億ドルのGMV(流通取引総額)を生み出した。親会社のAlibabaは、2030年にはLazadaのユーザー数を3億人に、GMVを948億ユーロ(1,000臆ドル)にすることを目標としている。

 

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Alibabaが目指すヨーロッパでの成長

Lazadaがヨーロッパのどの国に進出するかは明らかにされていない。現在、AlibabaはマーケットプレイスのAliExpressでヨーロッパ市場に積極的に参入している。しかし、AliExpressは主に中国からのクロスボーダー販売で利益を得ている。Lazadaは、中国ではなく、ヨーロッパの地元の小売業者に焦点を当てる考えだ。

 

「2021年11月にAlibabaの物流会社がベルギーにセンターハブを開設した」

 

今回の拡大は、Alibabaのヨーロッパ進出における最近の動向の一部である。昨年11月にAlibabaの物流サービス会社Cainiaoがベルギーのリエージュ空港にセンターハブを開設した。ここが、ヨーロッパ販売のための中心的物流拠点となるだろう。

 

中国とヨーロッパでの競争

中国本土においてAlibabaは、中国のソーシャルメディアeコマースプラットフォームで、共同購入のシステムを有するPinduoduoや中国版TikTokであるショート動画アプリDouyinとの熾烈な競争に直面している。さらには、Alibabaのような小売大手の市場独占を制限する規制もより強化されている。

 

「Alibabaは中国本土では熾烈な競争に直面している」

 

これまでに、主要な競争相手であるShopee(シンガポールを拠点とするeコマースプラットフォーム)が、ヨーロッパに進出した。同社は昨年、ポーランドやスペイン、フランスでマーケットプレイスを立ち上げたものの、成長の停滞によりフランス市場からの撤退を余儀なくされている。

 

※当記事は英国メディア「E-Commerce News Europe」の5/4公開の記事を翻訳・補足したものです。