2021年、ドイツのeコマースは力強い成長を遂げた。eコマース商品の総売上高は991億ユーロ(約12.94兆円)に達し、2020年と比較して19%の成長となった。ドイツの消費者が家計費として使える全額のほぼ1/7が、オンライン購入商品に費やされたことになる。

 

2020年のドイツのeコマースの市場規模は833億ユーロであり、その前年と比較して14.6%の成長となった。したがって、今年の19%という成長は、非常に高いものといえる。デジタルサービスを含めると、eコマースの総額は1,071億ユーロ(約13.98兆円)にも達する。

 

「eコマースがニューノーマルに」

eコマース協会のBevhによると、ドイツのeコマースにおける商品の総売上高の大幅な増加は、eコマースが国内で「ノーマル」になったことを示しているという。「コロナの大流行により、依然として社会と商業は非常事態に陥っているが、デジタル取引は、商品の安全な供給が確保されるようになり少しは正常な状態を取り戻している。

 

「eコマースなしの取引は考えられない」

 

eコマースは、ますます普通で標準的なものとして認識されている。その成長は、パンデミック当初に急上昇した後も高水準で安定しており、より多くの選択肢やより良いサービスなどのeコマースのメリットは今後もあり続けることを示している。「eコマースなしの取引は、消費者にとっても小売業者にとっても、すでに考えられないことだ」と、Bevhの社長であるGero Furchheim氏は説明している

 

注文頻度の増加

少なくとも、買い物客の96.3%は、オンラインショッピングに「満足」および「非常に満足」していた。さらに、回答者の40.9%が、過去7日間に2回以上オンラインで注文したと回答。2020年には、この割合は39.7%であった。「ドイツの買い物客がこれほど多くの商品をオンラインで購入し、同時にこれほど高い満足度を示したことはいまだかつてなかった」。

 

増加するmコマース

2021年のモバイルeコマースの売上高は56.5%増加の399億ユーロに達し、すべてのeコマース売上の40%がモバイルデバイスで発生した。2020年のモバイルデバイス経由での売上高は281億ユーロで、これはeコマースの総売上高の3分の1であった。

 

「2021年、mコマースの販売量は56.5%増加した」

 

これは、ドイツの消費者の間でmコマースの利用が増加していることを示している。14〜29歳の人の消費者においては、3件中2件がスマートフォンまたはタブレット経由で商品を購入した。検索エンジンとオンラインショップは、依然として購入を決定するための最も重要な情報チャネルだが、ソーシャルメディアとアプリがそれに続いている。

 

純粋なオンラインプレーヤーの売上成長率は18%

2021年第3四半期には、メーカーからの直接販売(D2C)が最も売上を伸ばしたことがすでに明らかとなっている。2021年、マルチチャネル小売業者は、16.7%の売上成長を記録した。しかし、その伸びは、18.4%に達した純粋なインターネットプレーヤーほど強くはなかった。2020年には、純粋なインターネットプレーヤーの2020年の売上成長率は、9.5%であった。

 

どこで購入されたかをみると、最も多くの売上を占めるマーケットプレイスの総売上高は505億ユーロに達し、ドイツのeコマースの消費額の1/2以上を占めている。食料品、ドラッグストア用品、ペット用品が、36.4%の売り上げ増となり、依然としてオンラインでは人気が増している商品である。ただし、2020年には、この成長率は40.9%に達している。全体として、2021年の個々の商品グループの成長率は横ばいとなり、長期平均をわずかに上回るにとどまった。

 

「2022年の総売上高は110ユーロを超えた」

来年、eコマース協会のBevhは、デジタルトレーダーの売り上げがさらに増加すると予想している。2022年について、Bevhは、商品の売上が12%増、総売上が1,100億ユーロを超えると想定している。

 

「法律で産業の発展を制限しないことが重要である」

 

「与党合意に示されているように、新連邦政府によるドイツでのデジタル化とeコマースへのコミットメントを大いに歓迎している。現在重要なことは、一方的な負担、過度の形式主義、および成功への恐れを法制化することによって、業界の発展を不当に制限しないことだ。ドイツやヨーロッパでは、従来の構造を維持するのではなく、小売業の未来に焦点を当てる勇気を持ちたいと考えている」。

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News Europe」の1/28公開の記事を翻訳・補足したものです。