消費者調査から見えてきた今後のニューノーマルなショッピングトレンドと、主要ブランドが今すぐ実践すべき戦略

 

今年を勢いよく送り出し、新年を気持ちよくスタートさせるシーズンがやってきた。

そしてまさに今年のホリデーシーズンにそれを実現しようとしているブランドは、可能な限り正確でリアルタイムな消費者調査をチームに導入している。その消費者調査とはどのようなものなのか、またブランドがこのホリデーシーズンに消費者調査を活用する方法を紹介しよう。

 

ホリデーギフトの状況

2021年のホリデーギフトの状況は、パンデミックからまだ落ち着いていない消費者や市場行動に前例のない変化が起きている。これは、私たちがまだ恐ろしい状況にいるということもあるが、主な理由は、消費者があらゆる方法で購買行動を恒久的に変化させているためだ。

 

当社の2021年ホリデーギフトに関する消費者・市場調査レポートConsumer and Market Intelligence Report: Holiday Gifting 2021で詳しく説明しているが、小売業者は今年のホリデーシーズンに、消費者行動を容易に把握できるような戦略的計画を立て、2022年に向けてこれと同様のコンセプトを進めていく必要がある。

 

第一に、サステナビリティに関する圧倒的な感情はかなりネガティブに働いており、このコンセプトは今年の消費者感情に重くのしかかっている。消費者はブランドに社会的責任を求めるようになり、それが確実に購買決定に影響を与えている。また、世界環境サミットの開催時期がホリデーシーズンの真只中であることもあり、このトピックに対する怒りの感情が広がっている。

 

図1: 消費者心理ワードクラウド

 

これは、小売業者が注視すべきことであるものの、唯一の最重要事項というわけではない。今後数週間で多くの変化があると予想されるため、今シーズンのブランドにとっての需要な指針は、柔軟性を保ち、データを意思決定やポジショニングの軸にすることだ。結局のところ、多くのセグメントで消費は増加しているが、コスト意識の高い消費者が製品に対し躊躇するため、消費者の価値観と購買行動がどのように交差するか理解する必要がある。

 

さらに、サプライチェーンの懸念や、労働者不足、ブランドがすでに獲得したと認識していた顧客のロイヤリティの低下など、シーズンをさらに複雑にする課題もある。

 

ここで、消費者がオンラインで求めているトップギフトなどを含め、それぞれの課題についてもう少し詳しくみていこう。また、この感情的なショッピングシーズンに予想される利益を大幅に獲得するために小売業ができることを紹介しよう。

 

サプライチェーンの課題と労働力不足

消費者は、小売業者からの前例のない「在庫なし」のメッセージを予想し、タイムリーな配送を確保するために、早めにホリデーショッピングを開始している。しかし、それだけでは十分ではないこともわかっている。コロナウイルスの大流行では、米国の中小企業のおよそ40%が、サプライチェーンの遅延を経験している。これとは対照的に、米国の市場調査会社eMarketerの予測では、米国のホリデーショッピングシーズンの小売売上高は、9%増の1兆1,470億ドルに達し、小売売上高全体に占めるeコマースの割合は18.4%と、非常に残念な結果となった。

そのため、多くの小売業者は、今すぐには需要を満たすことができないため、今年はショッピングの割安感を抑えている。在庫数を確保している小売業者でさえも、店舗を運営し、顧客の需要に応えるための十分な従業員を確保できないため、それぞれに独自の課題を抱えている。働いている従業員も、ストレスや低賃金のために辞める人が増えている。そしてこれもまた、サステナビリティへの配慮と同様に、価値に基づく消費を物語っているため、個人消費の変化と結びついている。

 

消費者の購買行動の変化

2020年のホリデーシーズンは、パンデミックの影響で予測不可能なことが多く、誰もが不安を感じており、同時に顧客のロイヤリティの低下も問題となっていた。

 

また今年もギフトシーズンに突入し、小売業者は、労働者不足や在庫不足が懸念される中、先行きに警戒感を抱いている。冒頭で述べたように、世界環境サミットの開催時期やそのトピックに関する一般的な怒りの感情のため、小売業者はサステナビリティの基準に関し、何らかのメッセージを発信する準備が必要だ。

 

具体的には、ビジュアル化された下図が示すように、消費者はファッション、フットウェア、食品、旅行にもサステナビリティを求めている。たとえ自社のカテゴリーがここにない、あるいは現在のニュースで言及されていないとしても、消費者が企業に同じことを求めるようになるのは確実である。その状況に対して、準備ができていない瞬間を迎えるかもしれない。だからこそ、事前準備が大切なのだ。

 

図2:  2021.8/21~11/21のサステナビリティとショッピング会話のビジュアル化

 

eコマースにより新たなショッピングの世界が広がったため、消費者はもはや特定のブランドに忠実ではなくなった。

 

労働力不足の項で触れた通り、消費者もそれに気づいており感心していない。従業員に対し低賃金とみなされる額しか払っていない小売業者は、非常に観察眼の鋭い消費者層からますます敬遠されている。彼らの忠誠心は、小さな買い物することや、より起業精神を支援することに向いており、今シーズンはDIYが好調である。

 

在庫、従業者、消費者の指標がさまざまな形で混乱しているなか、ブランドは消費者調査を注視し、バーチャルなショールームの温度を測り、どの要素に最初に注意を払う必要があるかを理解することがこれまで以上に重要になってくる。

 

消費者がソーシャルメディア、フォーラム、ブログ、ニュースサイトなどで自分が購入した商品や購入意向を他の人と共有しているため、それを正しく理解しているブランドは生き残っているだけでなく、発展している。視聴者と常にコンタクトを取り、誰に声をかけて情報を広めたらいいのかを知ることは、信じられないほどバイラルで有益なプロモーション方法である。

 

消費者が求める人気ギフト

小売業者にとっての秘訣は、消費者が求めているものを正確に創造し、まだ使われていないお金に軸を置くことだ。そのためには、購買行動や価値観を理解し、これらの要素がカスタマージャーニーのどこで交わるかを把握することが必要だ。

 

ホリデーショッピングの状況を調べてみると、消費者の心をつかむ様々な人気ギフトがわかってきた。

その中のトップ3(15個のリスト中)は以下の通り。

 

図3:  2021年好きなギフトランキングの上位3ブランド

 

上記の通り、市場シェアを獲得しているカテゴリーは、小さな買い物、DIY、サステナビリティ(中古品のアップサイクルによる)、そして常にテクノロジーへと向いている。具体的には、多くの消費者層でゲームが主流になっていると考えられる。

 

第4四半期を締めくくり、2022年に向けて全体的な計画を立てようとしているブランドにとって、上記で述べたことを念頭に置く必要がある。消費者が注目している今、彼らとつながり、長期的な関係を築く絶好のタイミングだ。今年多くのお金を使っている消費者層が存在するが、彼らがあなたのビジネスにお金を使っていないのであれば、その理由を探る時だ。自社のカテゴリーに関連した消費者調査を分析することは、あなた自身へのギフトであり、それは来年以降も与え続けることができるだろう。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の12/6の記事を翻訳・補足したものです。