一般的に、ドイツの大手オンライン小売業者は、返品ポリシーに関して非常に寛大だ。小売業者の2社に1社は、返品期限を法定最低日数より長く設定している。そして、返金期限を設定しているeコマース企業の13%が、約束した期日より早く返金している。

 

eコマースにおける返品は、いまだに、顧客にとってもオンライン小売業者にとっても、最も頭を悩ませる問題の一つだ。企業は返品処理をし、顧客に返金する必要があり、顧客は不要となった商品を再梱包し、郵便局へ持っていかなければならない。

 

そこで、顧客から良い評価を獲得したいオンライン小売業者は、スムーズな返品体験を構築する必要がある。そして、ドイツの運用エクスペリエンス管理プラットフォームを提供するParcelLabの行った最新の調査から、ドイツの多くの大手オンライン小売業者はすでに実現していることが明らかになった。

 

小売業者の2社に1社が、法的要件より長い返品期間を設定している。これは、多くの小売業者が、eコマース大手のAmazon(30日)やドイツのオンラインファッションプラットフォームZalando(100日)の返品ポリシーに追随した結果であると考えられる。

 

返品可能期間が最も長いのは家具輸出業者

特に家具小売業者が、返品可能期間を長く設定していると思われる。今回の調査対象となった家具小売業者17社のうち、およそ4分の3が3週間後の返品を認めている。最も長いのはIKEAの365日である。

 

ファッション小売業者も顧客に検討する時間を与えている

ファッション小売業者もまた、顧客が商品を試すことができる期間をかなり長く設定している。上位100社に入るファッション小売業者のうち61%が、購入商品を返品するかどうか検討するための期間を最長30日と設定している。

 

返品ラベルの同梱は減っている

ParcelLabによると、返品処理おいて明確な傾向がみられるという。返品ラベルを商品に同梱する小売業者は、前年の40社から36社へと減少している。代わりに、オンラインで返品ラベルをダウンロードできるオプションを提供する企業は、前年26社から49社へと増加している。「顧客にとって、返品ラベルのダウンロードは、同梱され返品ラベルをただ受け取るより少し手間ではある。しかし、小売業者が返品ポータルを介して、顧客に透明性の高い方法でわかりやすくプロセスを提示し、サイズ交換や苦情、返品などのいずれかを簡単に選択するだけで済むならば、この問題を補うことができるだろう。そして、オンライン小売業者にとっては、どの商品が返品されるのかを前もって確認できるという明らかな利点がある」。

 

小売業者100社のうち49社が返品ラベルのダウンロードオプションを提供している。

 

返品ラベルをダウンロードするということは、顧客が自身でラベルをプリントアウトしなければならないということだ。これは、もちろん、顧客サービスのベストな例ではない。自分でプリントアウトするか、宅配便の営業所でスキャンできるバーコードを作成するかを顧客が選べるのは、返品ポータルを持つ小売業者40社のうち12社にとどまったことが今回の調査で明らかとなった。

 

まだ制限の多い返品ポータル

ParcelLabは、返品ポータルの機能は、依然として非常に限定的だと考えている。調査対象のオンライン小売業者100社のうち返品処理にポータルを使用しているのは40社で、返品理由を確認しているのはその半数にすぎない。「しかし、返品率を最適化するためには顧客からの返品理由に関するフィードバックが必須だ。27社のポータルでは、顧客は商品の交換か返金のどちらかしか選べない」。

 

返品理由に関するフィードバックは返品率の最適化に不可欠

 

返品時の送料については、90%が、顧客による送料負担なしでの返品を認めている。特にオンラインファッション業界とスポーツ・レジャー部門では、これが標準となっている。ファッション小売業者36社とすべてのスポーツ小売業者が返品送料を顧客に負担させていない。「一方で、美容用品、化粧品や食品部門の小売業者は、事業者の返品送料負担をあまり受け入れていない。これらの業界では、およそ3分の1の小売業者が、返品時の送料を顧客に負担させている」。

 

※当記事は欧州メディア「Ecommerce News」の7/13公開の記事を翻訳・補足したものです。