コンテンツのトピックは、企業が書きたい内容ではなく、ユーザーとフォロワーが知りたいと思う内容であるべきだ。そして複数のプラットフォームで明確なCTA(ユーザーが行うべきアクション)を備えたメッセージングを行っていくべきだ。

 

新しいソーシャルメディアへの投稿の執筆や、YouTube動画やその他のコンテンツの録画を始めようとして、インスピレーションが沸くのを待ちながら机の前に座っていたことがあるだろうか?

 

伝えたいことが「分かって」いても、新しいコンテンツ制作に着手することが困難である場合がある。配信したいメッセージの一般的なイメージはあるものの、1つのブログ投稿、動画やソーシャルメディアのキャプションで、伝えたいことのすべてを共有する方法については全く見当がつかない、ということがあるだろう。

質の高いものを確実に生み出しつつ、伝えたいことを明確にすることは、コンテンツマーケティングに関して多くの人が直面する課題である。

すばらしいコンテンツには、多くの要素がある。それだけに、メディアに関係なくすべてのコンテンツが備えるべき重要な点は、非常に見落とされやすい。

 

以下の4つの要素は、これらの重要な点を構成するものであり、コンテンツをさらに進化させるのに役立ち、期待しているSNS上での拡散をも引き起こすかもしれない。新しいコンテンツを作成するときは、次のそれぞれの要素を必ず明確にすることだ。

 

 

1. 消費者のペインポイント(悩みの種)を取り上げるトピック

それが皮肉なツイートであろうと、最近の問題を取り上げているブログ投稿であろうと、トピックはコンテンツの成功を左右しうる。トピックのオーディエンスとつながらなければ、一番面白いコンテンツであっても、「いいね!」や「シェア」以上の成果は生まれない。コンテンツトピックは、消費者のペインポイントを取り上げ、オーディエンスにソリューションを提供する必要があるのだ。

 

Wynn(米国の統合型リゾート企業)はコロナ禍の間に、ニュースレターメールのコンテンツでソリューションを提供し、オーディエンスを楽しませるという素晴らしい仕事をしている。同社のニュースレターは、顧客がホテルチェーンに足を踏み入れずして、Wynnを体験できる方法を提供しているのだ。

ニュースレターの各セクションでは、つながりに関するさまざまなトピックを特集し、このパンデミックを切り抜ける際の顧客のペインポイントを取り上げている。

 

 

Wynnは、顧客のペインポイントが何であるか、そして同社のリゾート施設のドアを、物理的に開けることなく、ソリューションを提供する方法を理解している。以下の問いに答えることによって、自社オーディエンスのためのペイントポイントを明確にする必要がある:

 

  • ユーザー層は、どのような問題に直面しているか?
  • ユーザー層は、どのような情報を求めているか?
  • ユーザー層は、ソーシャルメディアと検索エンジンで、どのような質問をしているか?
  • ユーザー層は、エンターテイメント的コンテンツと、情報型コンテンツのどちらを求めているのか?もしくは、両方なのか?
  • 顧客に自社のコンテンツをどのように利用して欲しいのか?

 

このステップを、コンテンツ作成におけるトピックに関するKPI(重要業績評価指標)ととらえることだ。作成したコンテンツについて、新規ユーザーがコンテンツの内容と企業に期待されていることを簡単に説明できるならば、ユーザーが求めているものと一致するトピックに対応できているということである。

 

これは、ウェブサイトで公開されているコンテンツのページ滞在時間と、直帰率のメトリクスを分析することで、さらに一歩進んで測定することができる。

 

低い直帰率+長いページ滞在時間

これが目指したい魔法の組み合わせである。コンテンツから離脱する人の割合が低く、ページに費やす(訪問者がコンテンツにエンゲージしている)時間が長いということは、訪問者とつながりがあるトピックが作成されているということだ。

 

高い直帰率+短いページ滞在時間

これは最悪の組み合わせであり、ほとんどの場合、訪問者がすぐさまそのページから離れ、コンテンツを理解していないことを意味している。通常、期待に応えるトピックが提供されていないことが原因だ。これは、クリックベイトスタイルのトピック(見出し以上の内容が配信されない種類の記事やソーシャルメディアの投稿)でよく発生する。このような結果が出たら、コンテンツトピックとメディアの選択を再評価するのがベストである。

 

 

2. コンテンツを見つけ出させるために役立つ発見キーワード

Googleでは、来る日も来る日も、毎秒63,000件を超える検索を受理しており、これが、「すべてのコンテンツには、検索に対応し見つけ出されるために何らかの形のキーワード最適化が必要である」という主張の根拠となっている。

 

自分自身の検索習慣について考えてみてほしい。検索エンジン、動画配信プラットフォームや数多くのソーシャルメディアプラットフォームのいずれかで特定の何かを探す時、どのようにして見つけているだろうか?

 

ほとんどの場合は、調べたいことに関連するキーワードを検索ボックスに入力する。

 

 

Facebookには、名前、場所や用語を用いて検索するオプションがある。Instagramでは、ユーザー名、場所、ハッシュタグで検索できる。Pinterestでは、用語やトピックで検索することができる。

 

Google、Yahoo!とBingは、入力しうるほぼすべての情報についての検索結果をも提供することができる。YouTubeでは、動画チャネルと検索語句で検索が可能。検索結果は、関連性と人気に基づいて、延々と表示される。

 

これが、このコンテンツテンプレートにコンテンツの発見に役立つことを唯一の目的とする発見キーワードの選択が含まれている理由である。ターゲットオーディエンスに新しいコンテンツを見つけてもらいたいのであれば、プラットフォームで適切に最適化し、発見キーワードを使う必要がある。

これをせずして、どうやって自然にコンテンツを見つけるというのだろうか?

 

しかしながら、おそらくすでに知られているように、発見キーワードの選択はいつも同じではない。たとえば、ソーシャルコンテンツの場合、発見キーワードは、共有している写真や動画に付随するテキスト内にハッシュタグが散りばめられていることを意味する。ウェブサイトコンテンツの場合、ウェブセールスコピー、タイトル、ブログ投稿や記事などにショートテールやロングテールのキーワードを入れること(別名、古き良きキーワードの最適化という)を意味する。

 

もちろん、詰め込み過ぎになるのは避けなければならない。ソーシャルメディアでの詰め込み過ぎは、たとえばInstagramで30を超えるハッシュタグを表示したり、たくさんのハッシュタグをツイートしているようなものだ。キーワードには、自社のコンテンツが発見されるよう最適化する目的を果たすことが求められており、それだけでよいのだ。

 

ソーシャルメディアでキーワードを見つけるには、検索バーにトピックを入力し、どのハッシュタグが用いられるかを確認するのだ。500,000件未満の投稿やリーチがあるハッシュタグは、たいてい競争が激しいが、リーチ可能である。100万件以上の投稿やリーチがあるハッシュタグは、一般的にあまりに競争が激しく、時に大手企業だけが達成することができる、検索結果表示1ページ目の上位3件に匹敵する。

 

動画やウェブサイトのコンテンツのキーワードは、さまざまなキーワードツールを使用して見つけることができる。筆者は、それをさらに一歩進めて、人々が特定のトピックについて尋ねている質問を調査することが好きだ。そうすることで、新しいトピックのアイデアが生まれるだけでなく、ロングテールのキーワードオプションももたらされるのだ。

 

3. 明確なCTA(行動喚起)と明らかなユーザーの意図

メディアの目標は、どのような業種であっても、消費者がコンテンツによって何かしらの行動を起こすということである。

その「コンバージョン」が、自社にとって何を意味するかを考えてほしい。コンテンツの取り組みを成功とみなすために、コンテンツを閲覧した結果として、消費者に取らせたい行動とは何だろうか?

 

これは、ビジネスや販売サイクルに良い結果をもたらす限り、メーリングリストへの登録、投稿を好きになること、商品の購入、サブスクリプションの選択、ウェビナーの参加や景品のダウンロードなどを意味するだろう。

 

コンテンツがCTAを備えたフレーズでうまく作られている場合、メッセージの意図とオーディエンスが次にすべきことは、ほぼ明確になっている。そうすれば、本質的には、自社の最終目標に向かうオーディエンスに付き添い、彼らのジャーニーをシンプルで「明らか」なものにするからだ。

 

たとえば、ウェブサイトのコンテンツには、訪問者がサイトにアクセスするとすぐに見られる「アバブ・ザ・フォールド(スクロールせずに見える範囲)」のCTA(コールトゥアクション)と、リマインダーを含めることができる(そして、そうすべきだ)。これらは多くの場合、ブログ投稿の途中で貼り付けられたニュースレター内のオプトインボタン、Instagram投稿の#linkinbio(リンクインバイオ。URLリンクがプロフィール画面にあるということ)ハッシュタグ、あるいは、インフォグラフィックページの上部にある箇条書きリストの形式で見られる。

 

Facebookコンテンツのクリエイターと広告主には、読者に「Shop Now(今すぐ買う)」、「Learn More(詳しく見る)」、「Book Now(今すぐ予約)」などを知らせるボタンを追加する選択肢がある。ユーチューバーは、商品、ソーシャルメディアページ、ビジネスウェブサイトなどにビューワを誘導するリンク可能なグラフィックオーバーレイを追加することができる。

 

消費者とのつながりが一時的なものとならないために、作成するすべてのコンテンツには、明確なCTAが含まれていることが「最も重要」である。CTAが明確であるか分からない場合は、コンテンツを家族に送り、彼らがとる行動を確認するのだ。完全に的外れだった場合は、以下の点を評価してみよう:

 

  • ポジショニング:訪問者に何をすることを求めているか、そしてそれが彼らのデバイスから簡単に行うことができることであるかどうか。(モバイル対デスクトップ)
  • トピック:コンテンツトピックは、訪問者に期待する行動こと一致していたか?ソーシャルメディアのセールスコピーからランディングページへのはっきりした経路はあるか?
  • コンテンツメディア:選択したメディアは、訪問者を行動に導くための最良のファネルか? LinkedInの投稿を通じて誰かに購入を依頼することは、Facebook広告ではそれほど効果的ではない。

 

 

4. 複数のメディアで共有できるメッセージ

ビジネスで作成するコンテンツは、ブランドの視点、価値、商品とサービスが、他社とどのように、また、なぜ異なるかを伝える必要がある。同時に、コンテンツには関連性があり、どのプラットフォーム向けに作成するのか、そして、どのユーザーに見てほしいのかに、合わせて調整する必要がある。

 

コンテンツの作成とは、物語と説得力の堅実な組み合わせであり、非常に貴重な、信頼できるライティングとクリエイティビティを必要とするものだ。前述した、入念に作られたCTAに基づいて消費者に「行動させよう」とするなら、それは必須となる。

 

ただし、これらのストーリーを行き当たりばったりに急いでかき集めてはいけない。ストーリーは、前述のキーワード検索と戦略的なトピックの考案プロセスから生まれるべきものであるからだ。

 

価値のあるトピックを特定したら、それから多目的コンテンツを作成できることを確認する。正直に認めるが、コンテンツ作成プロセスは、手早く簡単なものではない。すべてのハードワークとリサーチの産物であるコンテンツを、複数のプラットフォームやコンテンツメディアで公開することは、理にかなっているといえるだろう。

ブログ投稿、インフォグラフィック、ソーシャルメディア投稿や動画など、同じトピックを複数メディアで利用できるコンテンツを作成することに、この時間と労力を費やすべきである。伝えたいメッセージは同じものであっても、それぞれのメディアは、訪問者を販売サイクルのさまざまなステージに誘導するのに役立つ。

 

たとえば、鉄のフライパンに関するコンテンツは、次の方法で紹介することができる:

 

  • 鋳鉄フライパンの汚れを落とすための5つの簡単で、実践的なヒントを実演するYouTube動画。
  • このフライパンを特定の方法できれいにする利点を解説するインフォグラフィックを動画実演にリンク。
  • ビデオデモではその後、企業のお気に入りの鋳鉄フライパンのレシピをレビューするブログ投稿や、消費者がそのフライパンを購入できるeコマースストアに視聴者を誘導することがあるだろう。

 

これらのメディアの1つ1つは、訪問者により多くの情報を提供し、より満足した状態で購入決定をできるように、訪問者を教育し、販売サイクルを進ませるのに役立つ。

 

ユーザー層が知りたい、または楽しみたいと思うフレキシブルなコンテンツトピックを見出すと、この種のコンテンツを複数のメディアで作成することができる。また、そうすることによって、成功を収めたコンテンツトピックを将来再利用し、あまり効果がなかったコンテンツの一部を更新できるようになるのだ。

 

コンテンツの作成は、どのメディアにとっても単純なプロセスではない。以上の4つの要素を、すべての新規コンテンツに含めることを忘れないでほしい。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の6/29公開の記事を翻訳・補足したものです。