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公開日2020/07/01

今後も続くマーケティング活動の波乱にeコマース事業者はどう備えるか

 

リアル店舗の事業が本格再開しても、オンライン販売は急増すると予測されている。

 

12,000以上の小売業者やブランド、サプライヤーにサービスを提供するeコマース・イネーブルメント・プラットフォームCommerceHub(米国のITサービス企業)は、2020年4月1日から5月31日までの間におけるネットワーク全体のオンライン受注額が、前年比で2倍以上に増加したと報告した。

 

さらに、Namogoo(カスタマージャーニーハイジャック防止ツールを提供する米国企業)が行った全米の消費者約1,100人を対象とした4月下旬の世論調査では、75%がパンデミック(世界的な大流行)終了後、オンラインショッピングを継続、または増やすつもりであり、食料品を購入者の60%以上がオンラインショッピングを継続、または増やす予定であることが明らかになった。

 

オンラインショッピングの増加傾向は、世界的な影響を及ぼしており、それはオフラインショップにまで波及している。Zara(スペインのアパレルメーカー)やMassimo Dutti(スペインのアパレルメーカー)などのさまざまな高級ブランドを所有し、世界最大の衣料品小売業者の1つであるInditex(スペインのアパレル企業)は、損失を減らし、デジタル販売に注力するため、主にアジアとヨーロッパで最大1,200店舗を閉鎖しようとしている。

 

Inditexは、11億ドルをオンラインショッピングプラットフォームに投資し、さらに18億ドルを店舗に投資してウェブサイトとの統合を強化。オンライン販売を2019年の総売上の14%から2022年までに25%に成長させることを目標としている。

 

「小売の未来は、Warby Parker(米国のアイウェアブランド)、Tesla、そして、Amazonもが『アマゾン4スター』の店舗で行なっているショールームモデルに近いものになると思う」と、EC開発代理店NetalicoのCEOであるMark Lewis氏は語った 。

 

「対面小売は、購入前に商品を試すというオプションとなるが、取引は最終的には、従来のeコマースの方法で行われる可能性が高い。AR(拡張現実)などのテクノロジーが進化するにつれて、eコマースは、ますます対面での体験と引けを取らなくなる可能性がある」と、Lewis氏。

 

今年のAR(拡張現実)・VR(仮想空間)テクノロジーの販売とサービスに対する支出は44億ドルに達すると予想されており、それはパンデミックによってさらに押し上げられる可能性があるだろう。

 

 

eコマースの新たなツール

CommerceHubの創設者兼CEOであるFrank Poore氏は、次のように述べている。「この危機が小売業にもたらす影響は計り知れない。小売業者は、消費者がお金を使う場所、つまり『オンライン』に投資をピボットすることが重要だ」。

 

先週導入された”CommerceHub Flash”は、販売、フルフィルメントや配送を最適化するツールと合わせて、ブランドに小売やマーケットプレイスの販売チャネルへのアクセスを提供している。ブランドは、 CommerceHub Flashを使うことで以下のことが可能となる。

 

WalmartHome Depot(米国のホームセンターチェーン)やMacy’s(米国の百貨店)を含む卸売りのドロップシッピングチャネルと、Amazon、Walmart、eBayやTarget(米国の小売業者)などを含むマーケットプレイスの統合。

・すべてのチャネルでの商品内容と在庫状況の同時配信。

Shopify(カナダ企業Shopifyが提供するeコマース用プラットフォーム)、Netsuite(米国のクラウドコンピューティング企業Netsuiteが提供するクラウド型業務アプリケーション)やMagento(Adobe Systemsが提供するeコマースプットフォーム)などのeコマースストアフロントとの同期。

・カート内商品の出荷確約をウェブサイトで動的に実現。

・自社の配送センター、Ingram Micro(米国にあるIT製品の販売代理店)の配送センター、第三者の物流倉庫や店舗からの注文をスマートにルーティング。

・地域にある在庫を流通させる迅速な配送。

・Amazonのマーチャントフルフィルドプライム(Merchant Fulfilled Prime)とWalmartの新たな2日間の配送プログラムの利用。

 

オンライン販売の急増にどう備えるか

「企業が最初に行う必要があることの1つは、トラフィックの増加に対応できるようにテクノロジーインフラストラクチャを確実に整備することだ。さもないと、最高のマーケティングキャンペーンであっても、それをサポートする最も貧弱なインフラストラクチャと同じ価値程度になってしまう」と、RMG Media(eコマースウェブサイトの設計・開発等を行う米国企業)の創設パートナーであるRyan Gellis氏は語る。

同氏はまた、企業は効果的なマーケティングを行い、継続的にトラフィック獲得に投資し続ける必要があると指摘した。

「新型コロナウィルス感染症と人種差別に対する抗議(BLM / Black Lives Matter)運動により、多くの企業はマーケティング支出をどうするか、あるいはそもそもマーケティングを行うかどうかについて混乱している。しかし、一般的に、積極的にそれを実行している企業は、より安価な広告を活用し、プレゼンスの向上と売上の増加を実現している」と、Gellis氏は語る。

 

これは、eコマースにとっての「ニューノーマル」となるため、eコマースのマーチャントは、現行のeコマースプラットフォームを評価し、現在の成長速度で拡大していくことができるかどうかを判断する必要があると、Netalico(米国のeコマース開発エージェンシー)のLewis氏は示唆している。

 

また、Lewis氏は、マーチャントは顧客サービスなどの他のビジネス分野も検討し、新たな成長に対応するための適切なプロセスとツールがあることを確認する必要があると述べた。

「中小企業は、ビジネスの立ち上げと発展に社内のテクノロジーをより必要としないソリューションを提供するShopifyやBigCommerce(米国のテクノロジー企業)などのSaaS型(インターネットで必要な機能のみを利用する仕組み)eコマースプラットフォームを検討する必要がある」と、Lewis氏は助言している。

「大企業は、現在のeコマースオペレーションを拡大するために必要な基幹業務システムや統合といった既存の社内クノロジーを検討する傾向がある」と、同氏。

パンデミックによってサプライチェーンの弱さが明らかになっており、パンデミック後に出現する新しいシステムは、「より冗長性が組み込まれる可能性が高く、企業、そして最終的には消費者にとっては未知のコストとなるだろう」と述べた。

 

Gellis氏は、サプライチェーンが流通段階で行き詰まった場合には、Uber Direct(Uberが新たに開始した小売品を一般家庭に配送するサービス)や他の外部委託宅配業者などのサービスを検討する可能性が「非常に高くなるだろう」と予測している。

 

これにより、システムの柔軟性が高まり、閉鎖の可能性がある地方自治体における配達の急増に対応可能となる。だが、Gellis氏は、「そのような外部委託宅配サービスの効果が、需要に追いつくかどうかは不明だ」としている。

 

国を越えて商品を運ぶトラックは巨大であり、「18輪トレーラーが運搬できる貨物量とプリウスを運転する請負業者を比較すると、サプライチェーンを補完するために必要となるUberドライバーは、想像もつかない人数になるだろう」と、Gellis氏は語る。

 

 

※当記事は米国メディア「Ecommerce Times」の6/18公開の記事を翻訳・補足したものです。

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