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マーケティング
公開日2020/03/23

エンゲージメントを向上させるための「エモーショナル・マーケティング」の再考

 

エモーショナル・マーケティングへのアプローチを変えることで、オーディエンスとのより強固なつながりを築くことが可能となる。

 

マーケティングの専門家は、しばしは、自社オーディエンスとの感情的なつながりを構築することを考えるものだ。それには、十分な理由がある。感情によって、関心を引き、エンゲージメントを深め、行動を促すことができるからだ。しかし、自社のマーケティングアセットがどのように感情的な反応を引き起こすか、明確に述べることができるだろうか?

感情は、驚くほど複雑で、脳内のさまざまな領域に関与する入り組んだ生物学的プロセスを伴う。この複雑さによって、創造的な仕事を行動的結果に結びつけることが難しくなり、多くの場合、誤解や虚偽の裏付けが生まれる。したがって、本記事の目的は、マーケティングにおいて感情が果たす役割について、異なる考え方をすることを奨励している。

それは、エモーションとフィーリングの理解から始まる。

 

エモーション(感情)とフィーリングの理解

あなたやあなたの同僚は、エモーションをどのように定義するだろうか? 誰に尋ねるかによって、異なる回答が得られるだろう。しかし、心配することはない。心理学者と神経科学者は、意見が一致しないことも多く、活発な議論を行い、一般的な単語について珍しい視点を提供している。

あなたの同僚は、エモーションに対し、あなたとは異なる見方をするかもしれない。そして、権威のある研究者は、基本的な定義に関し同意しないかもしれない。それでは、マーケティングではどのようにエモーションにアプローチすべきだろうか?

マーケティングの一連の仕事では、エモーションを外部刺激、または内部プロセスに対する生理的反応と考えるべきであり、意識レベル下で生じるものである。それは、脳から始まる反応であり、オーディエンスの思考、感情、行動に影響を与える可能性がある。

 

これは、エモーションとフィーリングが同じであることを意味するのだろうか? そうではない。エモーションとフィーリングは、複雑にリンクしているが、根本的に異なる。 エモーションは、意識に先行する一方で、フィーリングは、”エモーショナルな状態”についての意識的な理解を意味する。南カリフォルニア大学の神経学者兼教授であるAntonio Damasio氏は、「生物は、身体機能とそれに関連する脳で発生する変化を表現できる場合にのみ、フィーリングを有することができる」と述べている。

 

感情と理性:効果的な意思決定の鍵

感情と理性の関係は、マーケティングで誤解されることが多いもう1つの領域である。したがって、エモーショナルなコンテンツを利用して、オーディエンスの合理的な選択に影響を与えることは困難である。感情と理性について考えるとき、何を思い浮べるだろうか? 正反対の概念を思い浮かべるのは、あなたは一人ではないだろう。しかしそれは、完全に間違っているともいえる。Damasio氏の患者の1人、前頭前野に腫瘍がある男性の事例を考えてみよう。腫瘍を取り除いた後、患者は、知力、ユーモア、魅力を示し、知的鋭敏さを維持した。しかし、彼の人生は急速に下降した。

腫瘍の除去は、意図せずに感情プロセスを損傷し、決定を下す能力を麻痺させたのだ。決定がいかに単純なものであるかどうかに関係なく、時間は刻々と過ぎた。そして、彼の人生も同じであった。いつ、アポイントをスケジュールするのか? この決定に30分もかかることがあった。ランチに何を食べるかを決めるのはどうだろう? それも何時間もかかった。患者は、さまざまな決定に直面し、不安定な状態に陥った。一つの決定を下すための無限にあると思われる長所と短所と重要視するにつれ、流れに逆らい、もがくことになったのである。

感情処理と理性的な意思決定は深く絡み合っており、感情と理性の間にある誤った相違を表面化させる。感情は、脳が競合するインプットの相対的な価値を判断するのに役立つもの。Damasio氏によると、感情を伴わない「論理的思考により、異なるオプションに異なる価値を割り当てることが妨げられる」という。その結果、患者の「意思決定領域は絶望的に変化がなかった」。つまりこれは、選択を評価する際に、感情がどの程度役割を果たすのかを示している。

 

行動を促す感情的反応を生み出す

自社の目標に応じて、オーディエンスに特定の製品またはサービスを選択してもらいたい場合がある。また、オーディエンスにボタンをクリックさせたり、eメールを開封させたり、クレジットカードを用意させたりという行動的反応を引き出すことにフォーカスする場合もある。いずれの場合でも、自社のクリエイティブアセットに対する生物学的反応を引き起こすプロセスとしての、エモーショナル・マーケティングにアプローチしたいと考えるだろう。それには心拍数を上げさせるのか? 瞳孔を拡大させるのか? ホルモンを誘発するのか?

 

2013年、研究者は、共感、信頼、寛容、愛着に関連するホルモン(および神経伝達物質)であるオキシトシンの増加が、公共サービス広告の呼びかけに対する寄付を増加させることを実証した。当研究の過程で研究者たちは、オキシトシン濃度が上昇した参加者よる「同広告のコーズ(大義)への寄付は57%増加、寄付金額は56%増加、広告のコーズへの関心度は19%上がった」ことを示している。

同研究の2回目の実験では、研究者は、コルチゾールを制御するホルモンであるACTHを測定した。研究者は、ATCHと関心度を関連付けることにより、オキシトシンとACTHの両方の増加が寄付の大幅な増加につながると予測した。結果は予測通りとなり、寄付は261%増加した。

2014年には、別の研究において、テレビコマーシャルに反応するオーディエンスの心拍数を調査し、「楽しいと判断されたテレビコマーシャルの視聴中の心臓活動」の増加を発見した。

マーケティング担当者は、創造性を活用してビジネスに有益な感情的な反応を引き出すユニークな立場にいる。重要なのは、オーディエンスの脳を、マーケティング活動に好意的に反応させることである。このアプローチの一部として、エモーショナル・マーケティングについて異なる考え方が必要になる場合がある。結局のところ、感情を使って成果を上げる方法を考えることは、正しい考え方であると同時に、効果的なマーケティングでもあるのだ。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の3/5公開の記事を翻訳・補足したものです。

 

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