モバイルコンバージョン数は増加しているものの、依然として多くの人はデスクトップ端末での取引を好む
現在、消費者がインターネットを閲覧および検索するための方法として主流なのはモバイルデバイスである、という事実にもかかわらず、モバイル広告に対するクリック数とコンバージョンは、デスクトップよりも価値が低いようだ。これは、デジタルマーケティングエージェンシーAccuraCastが100の広告主アカウントわたる1,000万件の広告クリックを分析した結果によるもの。
モバイルコンバージョン数は増加しているものの、その価値は低い
モバイルコンバージョン数は2018年から2019年の間に10ポイント(39%から49%)増加したとはいえ、コンバージョンの大半は依然としてデスクトップ端末で発生している。AccuraCastは、次のように指摘。「全体的には、デスクトップからの訪問者によるコンバージョンは、モバイルユーザーよりも60%多く、デスクトップデバイスからのコンバージョンがもたらす価値は、モバイルコンバージョンよりも平均して93%高い。(コンバージョン価値は、B2C企業ではAOV(平均注文額)として、B2Bではリード(見込み客)価値と購入傾向から算出)」。
従来、デスクトップトランザクションのAOVは、モバイルデバイスよりも高いといわれる。これはコンバージョンとAOVに関する他の複数の調査やデバイス別のコンバージョン数についてのレポートによって裏付けられている。一般的に、消費者はモバイルデバイスで閲覧し、デスクトップで購入することが多い。その傾向は変化しつつあるのだが。
1年分の分析データ
AccuraCastが行った2018年8月から2019年8月までのモバイルおよびデスクトップ広告クリックの調査では、12ヶ月の間に、モバイルのインプレッション数(表示回数)、クリック数、コンバージョン数(eコマースまたはリード獲得)が増加していることが明らかとなった。
これについて、同社は、モバイル広告の影響を受けたオフラインでのコンバージョンを考慮していないと思われる。B2Cデータにおいて、オフライン売上を考慮したとすれば、今回の調査の計算と結論が若干変わる可能性があるだろうが、AccuraCastは、eコマースのみに注目している。
モバイルUX(User Experience)の問題
モバイル広告のインプレッションが増加しているにもかかわらず、コンバージョン数が低いのは、モバイルユーザーエクスペリエンスについての一連の潜在的な問題が原因であると指摘するAccuraCast。問題点として以下のものが挙げられる:
- トラフィックを促すもののコンバージョンを獲得できない低品質のアプリやサイト。
- トランザクション方法が不明瞭な、機能をきちんと果たしていないランディングページ。
- 意図しないクリックを発生させる広告フォーマット。
AccuraCastは、各デバイスでの潜在的コンバージョン(後のデスクトップコンバージョンを生み出すモバイル広告露出)が、正確なトラッキングを妨げ、データを幾分歪める可能性があることを示唆している。同社は、購入の可能性は高いもののコンバージョンには至っていないモバイルユーザーに対して、デスクトップでのリターゲティングを推奨していることを除き、レポートの中でこの問題について説明はしていない。
なぜ留意すべきなのか
コンサルタントや業界の専門家達は長年にわたり、小売業者などに対し、よりスピーディーで簡潔なモバイルユーザーエクスペリエンスを提供するよう助言してきた。その助言を聞き入れたことで、ブラックフライデーからサイバーマンデーの間にモバイルからの総売上が40億ドルを超えたことからもわかるように、モバイルデバイスでのコンバージョンと収益の増加という明らかな成果をもたらしている。
AccuraCastのレポートが示すのは、デスクトップとモバイルには、依然として幾分の差があるということだ。ただし、小売業者などの販売事業者は、デスクトップとモバイルを相互に排他的なチャネルと見なすべきではない。買い物客の大半は、販売対価レベルに応じて、複数のデバイスを使用して購入を決定する。1つの例外としていえるのは、PCにあまり興味がなく、従来のeコマースよりもモバイルデバイスや実店舗を好む傾向があるZ世代の若いユーザーであろう。
※当記事は英国メディア「Marketing Land」の2019/10/07公開の記事を翻訳・補足したものです。