ヤフー株式会社(以下、Yahoo!)は、スマホ決済サービス「PayPay」のブランドを冠した新しいeコマースサービスとして、フリマアプリ「PayPayフリマ」とオンラインショッピングモール「PayPayモール」を、今秋10月に開始する。このタイミングは年末商戦を控えたタイミングで、またYahoo!ショッピングのいい買い物の日の前のタイミングとなり、今年中に一気にこれらのサービスの認知度を獲得していくことを目指していると読み取れる。

 

「PayPayモール」は、「Yahoo!ショッピング」への出店有無を問わず、Yahoo!が定める安全・安心の出店基準を満たしたストアのみが並ぶオンラインショッピングモールで、検索のしやすさ、価格比較といった各種情報の見やすさなどを重視している。出店ストアの商品は「PayPayモール」だけでなく、「Yahoo!ショッピング」内の検索結果にも掲載されるとのこと。

また、将来的には、ユーザーが「PayPayモール」で注文し、自宅や職場などの近辺の店舗で商品を受け取れる、実店舗との在庫連携機能を提供を予定しているようだ。

 

「PayPayフリマ」は、フリマに特化し、手軽に売買できる使いやすさを追求したスマホアプリで、また「ヤフオク!」で出品されている商品のうち、個人の出品や固定価格など、一定の条件を満たす商品は、「PayPayフリマ」上でも閲覧・購入が可能。その為、商品が豊富にある状態でサービスが開始される。

 

同じようなサービスモデルは中国のEC市場を席巻しているアリババグループを想起させる。アリババグループはAlipayでスマホ決済を行い、ECモールでTmall、CtoCサービスでTaobaoといずれも流通規模で世界NO1の規模を誇っている。すべてを同一グループで提供することで、消費者の動向をオンライン・オフラインで完全に捕捉することが可能になるなど、グループ全体で非常にメリットが大きくなる。そのため、長い目で見ると、今回の新サービスは、Yahoo!でも中国のアリババのようなサービスプラットフォームの構築を狙ったものと考えるのが妥当なところだろう。

今回発表された新規サービスと類似サービスとなる、Yahoo!ショッピング、ヤフオクが既にグループ内には存在しており、今回のサービスは共に商品DBは共通化するとのことで見せ方だけを切り替えるため、サービスの混同が懸念される。しかし、長期的に見ると、サービスの完全なシフトチェンジを意図したものと考えることが出来るため、この過渡期をどのように乗り越えていくのか、注目していきたい。