アリババグループは2019年6月1日から6月18日まで、世界最大級の流通規模を誇る淘宝網(Taobao、タオバオ)と天猫(Tmall)で「618商戦(618 Mid-year Shopping Festival)」を開催している。約200,000以上のブランドと店舗が参加予定で、約150万の新製品の販売が行われる。また、各種プロモーション活動を通し、各ブランドや出店企業の中国新興地域への参入・事業拡大をサポートするという目的もある。
既に開始されている「618商戦」だが、その流通総額は、商戦開始初日の深夜1:00までのわずか1時間で、昨年の開始から10時間後の金額を突破するなど順調な滑り出しのようだ。Apple、Xiaomi、Haier、Aux、Midea、L’Oreal、Lancome、Nike、Adidasなどのトップブランドは、最初の1時間でそれぞれ1億元を超える売上を記録するなど売上に大きく貢献。中でもAppleは2分45秒で1億元相当の売上を記録、またMideaとNikeは4分で同額の売上を記録するなど、11月11日に開催されるW11には劣るものの、中国の消費者にもしっかり認知されてきているようだ。
アリババグループによると、「618商戦」の目的は、中国全土の新興都市や農村部の顧客の取り込み。その上で、淘宝網と天猫を盛り上げ、急速に成長している新興地域に各ブランドの浸透を推進していくことにあるという。
また、より商戦を盛り上げるため、淘宝網と天猫は6月上旬よりマーケティングツールなどを活用し、急成長する市場で顧客エンゲージメントを強化するための以下の取り組みを実施している。
1. 天猫で初登場の新商品が約150万点
「618商戦」期間中に、約150万の新商品が天猫で初登場し、キャンペーン価格で商品を提供する。新商品の多くは、天猫の提供する消費者インサイトのデータをもとに開発されたもの。全ての製品が中国全土の消費者は購入可能で、出店企業は中国の新興地域の消費者ニーズに特に注目したものになっている。
2. 「Juhuasuan.com」で共同購入キャンペーンを開催
新規顧客を呼び込むための確実なチャネルである、アリババグループの共同購入サービス「ジュファサン(聚劃算、Juhuasuan.com)」では出店企業おすすめの「絶対に買うべきアイテム」を集めた「618商戦・共同購入キャンペーン」を数十回開催する予定。
3. 「淘宝ライブ配信」で複数のブランドが商品を紹介
新興地域の潜在的消費者に対する「淘宝ライブ」の宣伝が効果的であった為、今年は、アメリカのファッションブランドStadium Goods、韓国のビューティーブランドLaneigeやInnisfree、日本の化粧品ブランド資生堂などが「618商戦」中に「淘宝ライブ配信」を実施する。
4. 新興地域で人気の「天天特売」チャネルで10万件の商品を展開
淘宝網スマホアプリ上の「天天特売(Daily Deals、以下「天天特売」)」というチャネルは、メーカーが消費者に提供している「オンライン催事場」である。これは中国の地方都市や農村部の消費者に非常に人気があり、今年はメーカーが10万件の商品を出品する予定。また、このチャネルを通じ、メーカーは消費者の好みやトレンドを分析し、リアルタイムで消費者のニーズに沿って、商品や生産プロセスの調整が可能となる。
今年度の商戦について淘宝網および天猫社長である蒋凡氏は「中国消費者の可処分所得の増加に加えて、ライフスタイル向上を目指す新興地域の消費者は、より洗練された買い物客になりつつある。また、新興地域の商業施設は比較的少ないため、その地域の住人が求めるニーズに向き合い、大都市と同じように良質の製品を提供したい」と述べた。
この「618商戦」により出店企業は大幅な値引きを提供することで、より多くの新規顧客を取り込むことが出来るだろう。加えて、地方小規模都市や農村部の人口は、中国国内の総人口の約70%を占めており、極めて大きな市場である。新興地域へ参入し、このようなイベントでアピールすることは企業にとって大きなチャンスであるに違いない。