2019年の3月25日から4月1日にわたり実施されたE-Commerce Timesの調査によると、「検索結果表示の1ページ目に毎回自分達のニーズを満たす十分な情報が掲載されている」と回答したのは、調査対象者の4.32%に過ぎなかった。反対に、14.05%は「1ページ目に表示される検索結果は、アルゴリズムの影響によって不正に操作され、制限されていると感じる」と回答している。

 

検索エンジンの検索結果の2ページ目以降をどのくらいの頻度で確認しているか?

 

4分の1以上となる25.41%が、1ページ目で十分な情報を得たとしても、他に閲覧すべき検索結果があるか2ページ目以降を確認すると回答。通常は最初のページで十分だと思うが、20%が依然として、2ページ目以降の情報を確認する理由もあると考えている。回答者のうち合計36.22%が、1ページ目に有償で広告表示される検索結果が多すぎる場合、または求めている答えが見つからない場合に、2ページ目以降も閲覧すると回答した。

 

ECT News Networkの読者調査は科学的なものでないが、このSEOに関する調査結果は非常に興味深い。なぜなら、「最初の検索結果表示ページにランキングすることが必須である」とするサーチエンジン最適化(SEO)における一般論とは、全く反対の結果を示しているからである。

「SEO業界では『遺体を埋めたいのであれば、(見つからないので)2ページ目がよい』とさえ言われている」と、Local SEO GuideのCEOであるAndrew Shotland氏は述べた。

「Googleの検索結果表示の2ページ目以降にランキングしたとしても、ユーザーがクリックすることには間違いない。しかし、クリック率は非常に低くなる」と、同氏。「一般的には、3ページ目にランキングされている場合は別として、誰もが2ページ目を目標とはしない」。

 

2ページ目以降

少なくとも、記事が好意的、もしくは良いニュースの場合には、業界の巨人や有名人、政治家が新聞の表紙を飾ることを好む。同様に、企業も今日では誰もが切望する検索結果の1ページ目にランキングされたいと考えている。

すべてのSEOマーケティング担当者が検索結果1ページ目へのランキングを目指すことは当然である。しかし、最初のページに表示されない数十億の検索結果はどうなるのだろう?これらには全く価値がないのだろうか?

「そんなことはない。2ページ目以降に表示されることにも当然価値がある。ただ、1ページ目ほどの知覚価値がないというだけである」と、SEO会社Sterling Skyの創設者であるJoy Hawkinsは述べる。

「SEOは、1回の単発的な施策ではなく継続的な投資であるべきだと考える理由はここにある。最初のページにランキングされるだけでは、目標の半分しか成し遂げていない。1ページ目に表示され続けてはじめて、目標を達成したと言えるのだ」と同氏。

「コンテンツを更新し、より優れたものにしたり、自社サイトへのリンクを増やしたりして、常にサイトの価値を高めていなければ、トップを維持するのは困難である」と加えた。

 

トップ表示にとどまること

誰もが切望する1ページ目にランキングすることは不可能ではないが、そのためにやらなければならない作業があり、しかもそれは膨大だ。検索エンジンがどのように機能するかを理解することは不可欠である。それゆえに、非常に多数のSEO対策専門会社が存在しているのが現状だ。

ニューヨークのPR会社Ericho CommunicationsのCEOであるEric Yaverbaum氏は、「Googleのアルゴリズムの仕組みについて覚えておくべき重要なことは、自社サイトの最も上位にランキングされる検索結果が、1ページ目に表示されない場合、それは『失敗』ということである」と主張した。

Googleの検索結果順位決定のための最も重要な要因は、常に“関連性”である。それによって、ユーザーの明白な検索意図に最も適した、関連性の高いコンテンツを検索結果として表示しているとYaverbaum氏は指摘する。

「検索結果表示の2ページ目や3ページ目にランキングされることには意味がないと言うのは言い過ぎかもしれない。しかし、自分がどの程度の頻度で2ページ目以降をクリックするかを考えてみるべきだろう」。

「Googleは検索結果を配信するだけでなく、結果をクリックしなくても質問に対する回答を提供しているという点で、非常に優れている」とYaverbaum氏は付け加えた。「それは極めて重要なことだ。Googleはもはや検索エンジンではなく、ユーザーの質問に対する回答者である。それは、ユーザーの質問に回答するというシンプルな目的を達成できないサイトは、すぐに1ページ目から締め出されることを意味する。つまりユーザーは、さらに多くの検索結果を確認する必要がないということだ」。

 

最適化について理解する

SEOのカギとなるのは、まさに“最適化”である。クライアントのウェブサイトをいかにユーザーに発見されやすくできるかを説明するeメールをランダムに送付する怪しげなオペレータは、奇跡を起こすことを約束する。しかしながら彼らがそのような方法を見出したことはない。実際のところ、彼らが売ろうとしているものほとんどは、シリコンスネークオイル(インチキ)である。

「コンテクスト検索時代のSEOは不可能に近いので、正直なところ、論じる価値はほとんどないと思う」と、Yaverbaum氏は認めている。

「検索結果の1ページ目に表示されたいと考えるならば、検索を行うユーザーのニーズに最も関連性の高い検索結果となることが最善の方法である」と同氏。

現在、Googleが検索結果に優先順位をつける方法に対して、もはや、ウェブサイト構築者が何らかの影響を及ぼすことはほとんどできない。Yaverbaum氏によると、検索結果のランキング決定には、ユーザーが最近使用した検索ワードから、検索ユーザー個人のロケーション、時刻といった全ての要素が加味されているからだ。

これらすべての要素が、Googleが提供する検索結果に影響を与えている。そして、検索結果は瞬時に生成されている。それらすべてをコントロールすることは不可能ではないにしても、困難である。

「ラインキングを上げる秘訣は、検索結果ではなく、検索に対する解決策となることに注力することである」とYaverbaum氏は強調。「実際にGoogleの検索結果を操作することは、すでに不可能となった。少なくとも、2015年からはできなくなっている。アルゴリズムを解読したかのように主張している人は、未だ2005年あたりを生きていると思っているのだ。検索キーワードを詰め込んだり、正しいH1タグ設定したりしても、Googleの注目を集めることはできない。もはや、そのようには機能していないのだ」。

 

異なる検索エンジン

適切なSEOキャンペーンによって、トップページへの表示の効果を上げることはもちろん可能である。一方、今日のSEOに関する議論のほとんどは、Googleを中心に展開されている。問題は、どうすれば他の検索エンジン、とりわけMicrosoftのBingで、Googleと同等以上のランキングを獲得できるかという点である。

他の検索エンジンのランキングには、Googleの影響は及ばない。従来は、1つの検索エンジンでトップランキングを目指すことが、他の検索エンジン結果にも良い影響を与えた。しかしそれは近年になって変化した。

「それぞれの検索エンジンには、独自のアルゴリズムがある。しかし、Google以外の他検索エンジンをターゲットとした場合、それらの検索エンジンに特化して実行するべきことはあまり多くないと言えるだろう」と語るのは、Local SEO GuideのShotland氏。

「Google以外のすべての検索エンジンは、次に挙げるハイレベルの原則に従ってランキングを決定している。他のサイトから自社ページへ貼られる関連性の高いリンクの獲得や、自社ページにおける検索者の質問やニーズに応えるコンテンツの提供、そして、自社コンテンツがマシンによってアクセス可能、かつ容易に理解されることである」。

「検索エンジン『DuckDuckGo』の場合、他サイトで参照されることがデータソースとして使用されるため、自社コンテンツが、インデックスに表示されランクキングが上がる可能性が高くなる」とShotland氏は指摘した。

「Bingに関しては、Bingに利用させたいコンテンツだけを容易に見つけられるようにし、SEO価値のないURLは無視されるように設定することで、うまく機能するだろう」と同氏。「検索エンジンは、優れたコンテンツを見つけるために何兆ものWebページを評価する必要がある。そのため、検索エンジンによって『必要だ』と認識しやすい自社コンテンツを提供することが重要である」と加えた。

 

検索におけるGoogleの独占的優位性

Googleによる検索市場の独占を考えれば、DuckDuckGoやBing、その他の検索エンジンやディレクトリの上位ランキングを獲得するために努力する必要があるかどうかは疑問である。

Sterling SkyのHawkins氏は、「BingとYahooに特化しての最適化はほとんど行っていない。なぜなら、それらの検索エンジンは我々のクライアントがウェブサイトから獲得するコンバージョンの約1%にしか関与していないからである」と語っている。

しかし、検索エンジンの巨人であるGoogleの代替案が無視されるべきではない理由が存在する。

「間違いなくDuckDuckGoには注目すべきである。最近、クライアントのサイト上ではDuckDuckGoからのコンバーションが増加している。DuckDuckGoのローカル検索結果は、Apple Mapsをソースとしている。そしてAppleは、ローカルビジネスレビューサイト「Yelp」のレビューを使用している。これが、中小企業がYelpでの評価に注意を払うべき理由である」とHawkins氏は付け加えた。

一方、ErichoのYaverbaum氏は、「2019年に、複数の検索エンジンについて論じただけでも、タイムスリップをしているかのように思える。Googleは圧倒的に検索市場を支配しており、DuckDuckGoに最適化することは時間と金の浪費である」と反論している。

さらにYaverbaum氏は、ブランドの真の力は検索ランキングではなく、ソーシャルで現れると指摘。

「友達からの『おすすめ』は、広告よりも重視されている。それだけでなく、ソーシャルの極めて高度なターゲティングによって、『おすすめ』がユーザー発信でなかったとしても、より適切な消費者層に対して表示することが可能である」と同氏。「ソーシャルメディアを“新しい検索エンジン”として考えてみるべきである。これは独自の最適化プロセスを備えた、ユーザーによる『おすすめ』エンジンとなり得るだろう。ソーシャルを活用することが、競合他社が多数存在する市場に参入するための最も効果的な方法なのだ」。

 

モバイル対応

市場において、ウェブサイトの閲覧方法が変化している。昨年ウェブ利用において、モバイルがデスクトップを上回った。デスクトップ端末とモバイル端末で、検索結果に違いが生じるべきではないが、実際はそうではない。モバイルとデスクトップ検索の結果は異なるのだ。

「モバイルで閲覧するものと、コンピュータで閲覧するものとの違いが拡大している」とHawkins氏。

一方で、「Googleはモバイル最適化を非常に重視しており、モバイルとコンピュータという2つの分野を別々に考えるのをやめることは非常に重要である」とYaverbaum氏は述べている。

モバイルもデスクトップも、最終的な目標は同様で、サイトへのトラフィックを増加させることにある。しかし、モバイルサイトとデスクトップサイトを別々のサイトと考えるべきではないが、それぞれのサイトで提供するエクスペリエンスにおいては区別すべき側面が多数ある。

「デスクトップとモバイルSEOにおける2つの大きな違いは、画面サイズ(明らかにモバイルは小さい)と、 サイトスピードが遅いことに対するユーザーとGoogleの許容範囲である」とShotland氏。

「モバイルSEOや一般的なモバイルウェブサイトを効果的に機能させたいのであれば、サイトパフォーマンスを最優先に考える必要がある」と、同氏は付け加えた。

ウェブサイトは、検索結果だけでなく、モバイルアプリケーション向けにも最適化する必要がある。

「すべてのインターネットトラフィックの半分は、モバイル端末から始まっている。モバイル最適化がなされていないウェブサイトは、モバイルユーザーに対しては検索結果として表示されないだろう」とYaverbaum氏は説明する。

「つまり、ウェブとモバイルの両方のエクスペリエンスを確実に完璧なものにする必要があるということである」と同氏。「Googleは、手を抜いたサイトをすぐに判別する。Googleは、最適なコンテンツの一種の自動キュレーターになっており、コンテンツを閲覧するために使用している端末が何であるかという点は、Googleのオペレーションに大きな影響を与えている」。

 

ローカルの重要性

SEOの重要性を理解するもう1つの側面は、ウェブサイトがどのオーディエンスにリーチしようとしているのかを知ることである。従来型の小規模な書籍小売業者が、Amazonの今の支配的な地位を奪うことは期待できない。検索結果ページの最初に表示されたとしても、通信販売事業をほとんど、またはまったく行なっていない店舗にとっては、実際にはメリットがない場合ある。

ここで、ローカルSEOの問題を理解する必要が生じてくる。

オンラインマーケティング会社GatherUpの共同創設者であり、ローカル検索マーケティング担当者のMike Blumenthal氏は次のように述べている。「ローカルディスカバリー検索の90〜95%を占めるGoogleのローカル検索は、ユーザーの所在地に重点が置かれているため、本質的には、すべてのGoogleのリスティング広告に表示されるチャンスがある。

「以前にも増して、Googleはあらゆる特定の事業者に関連する決定を下すために、ほとんどのユーザーが必要とする情報を、検索結果として適切に提供している」とBlumenthal氏。「ローカルビジネスを成功させるためには、価格や配達サービス以外の要素においても、カスタマー・エクスペリエンスを向上させる必要があるのだ」と同氏は語った。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の4/12公開の記事を翻訳・補足したものです。