消費者庁スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書を発表。スマートフォンにおいて一般消費者の誤認を招きやすい点を把握するため、普段からスマートフォンを利用する消費者を対象として、スマートフォンの表示に接する際の行動に関する調査を行った。

調査の結果、スマホでWebページを閲覧する際、目に留まった情報だけを拾い読みする消費者の傾向がみられたほか、利便性を根拠にスマホで商品購入する人が多く、約4割の人が注釈などの打消し表示の見落としによるトラブルを経験していると判明した。

 

スマホでのWebページ閲覧、目に留まった情報だけを拾い読みする人が66.5%

スマートフォンの画面上の表示に対する接し方に関して、ある程度興味がある商品・サービスのWebページを閲覧していることを前提に質問した結果、「目に留まった情報だけを拾い読みする」「どちらかというと目に留まった情報だけを拾い読みする」合わせて、66.5%であり、画面に表示された情報全てに目を通す人は1.0%とかなり少数であった。

グループインタビューからは、大きな文字や図表・画像に意識が向けられる傾向がみられ、画面をスクロールしながらみるため、途中で立ち止まり、小さな文字をズームすることはないといった意見が聞かれた。

また、38.2%の人が関心のある情報を見つけるとWebページ上の表示内容を確認することなく、すぐに画像や文字リンクをタップすると回答。情報をすべて読み終わるまでは画像や文字リンクをタップすることはないと答えたのは5.7%に留まった。

スマートフォンの広告の閲覧経験に関しては、広告をタップしたことがある人(60.8%)の中で「広告だとわかってタップ(クリック)したことがある」人の方が「広告とは意識せずに気になったフレーズや画像等をタップしたら後から広告であることに気づいたことがある」人よりも多かった。

また、広告をタップした経験がある人にどのような種類の広告をタップしたか質問したところ、「過去に自分が閲覧・検索した商品サービス等に関連のある広告」(44.4%)が最も多くの回答を得た。

 

過半数の人がスマホで商品購入経験あり、利便性が注目される

過去1年間におけるスマートフォンでの商品・サービス購入経験の有無に関して、55.1%の人が「ある」と回答。特に女性の30代と40代の割合が多く(65.2%~71.4%)、スマートフォンの表示にほぼ毎日、又は週に1日以上接する人や、1日にスマートフォンでWebサイト等を閲覧する時間が1時間以上である人の購入・申し込み割合(62.3%~71.4%)も高い結果となった。

また、スマートフォンでの購入・申し込みの理由として、「24時間いつでもどこでも購入・申し込みできる」(78.0%)が最も多くの回答を得ており、利便性や、お得さを重視した回答が続いている。

なお、購入・申し込みの経緯として、スマートフォン以外の媒体(PC、テレビ、雑誌等)をきっかけとした回答が最も多く(50.6%)、店頭で実物を見たうえでの購入(44.6%)や、スマートフォンでのキーワード検索中に偶然見つけて購入した(42.8%)という回答が続いた。

 

39.2%の人がスマホの打消し表示見落しによるトラブルを経験

スマートフォンの打消し表示を見落としたことにより商品・サービスの内容や取引条件を誤認して購入・申し込みすることで、購入条件が思っていたものとは違ったり、想定外の商品・サービス・数量の注文をしてしまったという回答が挙げられた。

スマートフォンにおいて打消し表示が見落とされやすくなる要因として、一般消費者は目に留まった情報だけを拾い読みする傾向がある事が挙げられ、限られた時間の中で急いで手続きを進めたり、他のことをしながら画面表示に接する際に、より見落としやすくなると考えられる。また、文字が小さいことによる見落としも指摘されている。

また、打消し表示の認識についていくつかの打消し表示の表示例を用いて調査。

この結果、全体を通して文字の表示場所や、色、が指摘されたが文字の小さいことが最も多くの人に指摘された。

 

今回の調査結果より、一般消費者は関心のある情報だけを拾い読みする傾向があり、下にスクロールしないと表示されない情報を見落としやすいことや、関心のある表示を見つけるとその部分だけ見てコンバージョンボタン等をタップすることがるという特徴がみられた。

このことから事業者には、商品・サービス内容や取引条件に付いて表示する際は、打消し表示がなくても強調表示だけで商品・サービスの内容や取引条件の実際を一般消費者が認識できるような内容とすること、協調表示と同じ文脈の中で打消し表示を表示すること、強調表示と打消し表示の文字の色や背景の色を統一することが求められる。