報道によるとBBCITV(Independent Television、英国最大かつ最古の民間放送局)、Channel 4(英国の公共テレビ局)の3社は、NetflixAmazonと対抗する英国発のテレビストリーミングサービスについて、共同で検討を始めているという。

NBCユニバーサルも含まれているとみられるこの協議はまだ初期段階。現実的な方向性は今のところ明確になっていない、と報じたのは英国大手新聞Guardianだ。 BBCのオンデマンドサービスiPlayerでサービスを展開することについて、また、全く新しいビデオオンデマンドサービス立ち上げについて、BritBox(BBCとITVによって2016年末に米国で開始された広告表示なしのサブスクリプションビデオオンデマンドサービス)を拡大することの可能性など、いくつかの選択肢が議論されているという。

 

複数の放送局のグループが新しいサブスクリプションサービスに参加しないという選択をした場合、2007年に試みたKangarooというプロジェクトと同様の事態に陥ることになる。 Kangarooプロジェクトとは、BBC、ITV、Channel 4のビデオオンデマンドサービスであったが、発展途上のビデオオンデマンド市場に対する脅威が大きすぎるという理由から、英国競争委員会によって2009年に最終的に阻止されたものだ。

 

この10年を簡単に振り返ると、この決定は間違っていたようである。なぜなら、英国のビデオオンデマンド市場は、米国のNetflixとAmazon Prime Videoに独占されてしまったからだ。Netflixは820万世帯の加入、Amazonは430万世帯の加入を記録している。

 

NowTV、Amazon、Netflixのようなストリーミングサービスが加入者を増やす中、BBC、ITV、Channel 4、そしておそらくNBCUが協力し、新たなサービスを開始することを検討していることは驚くことではない」と、メディアエージェンシーである MediaComのマネージングパートナーPauline Robson氏は語った。「前例にないほど大規模な今回の共同事業計画は、大変興味深いことである。競合他社同士で手を組み優れた共同サービスを創り出すことは容易ではないが、もし実現したとしたら、メディア業界にとって、また視聴者にとって、非常にポジティブな動きだ」と同氏。

 

「今回の試みを、主要なストリーミングサービス業者が関心を持って見ていると確信している。このような新しいサービスの参入がストリーミングサービスの成長に終止符を打つはずがない。競争によって、革新と品質改善が進むからだ。SkyとNetflixのような競合他社は、お互いに異なる独自のサービスを展開している」。

 

「この新しいストリーミングパートナーシップが何らかの成功を収めるためには、アメリカのSFスリラーテレビドラマシリーズ「Westworld」やNetflixのオリジナルSFドラマ「Stranger Things」に匹敵する魅力的なコンテンツを制作する必要があるだろう。消費者はオンデマンドでの視聴が増えており、当メディアの調査によれば、若い世代ほどオンデマンドの動画をテレビの生放送よりも頻繁に視聴し、さらに視聴時間も長いことが分かっている。5Gの導入を控え、スマートTVによってストリーミングサービスへのアクセスが容易になると、TVシリーズがさらに爆発的な人気を博すだろう。ストリーミングサービス事業参入において、これ以上ない絶好のタイミングである。Netflixは独自のコンテンツに注力し、Amazonは翌日配達サービスをプライムビデオの提供に結び付けているが、英国の放送局はこれらの大物に対抗するために非常にユニークなサービスを提供しなければならない」と続けた。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の5/8公開の記事を翻訳・補足したものです。