公益財団法人日本生産性本部は7月12日、「サービス品質の日米比較」を発表。日本人・米国人ともに、宅配便などのほとんどの分野において、日本のサービスは米国よりも質がよいと回答。一方で、サービスの価格は多くの分野で日本のほうが低いという認識があることがわかった。日本の宅配便などのサービスの価格が、その高い品質に見合っていないということだ。

この調査では、米国滞在経験のある日本人500人、日本滞在経験のある米国人500人に対し、対個人サービス29分野のサービス品質及び価格について、WEBアンケート調査を実施。実施期間は2017年2月28日〜4月11日。

 

日本のサービス品質は、宅配便や地下鉄、コンビニなど多くの分野で米国を上回る

日本生産性本部の調査によると、日本のサービス品質は、米国滞在経験のある日本人・日本滞在経験がある米国人とともに、今回対象とした29分野のほとんどで日本のサービス品質が米国を上回ると回答している。

特に、日本人を対象とした調査では、宅配便や地下鉄、コンビニエンスストアなどといったサービスを中心に日本のサービス品質が15%程度米国を上回っていると認識している。

 

 

日本のサービス価格が米国より低いと認識する分野が大幅に増加

一方、日本のサービス価格は、米国より低いと認識する分野が大幅に増加。日本人は大学教育・クリーニングなどの9分野、米国人もホテル・宅配便など15分野において、日本のサービス価格は米国よりも低いと認識している。

2009年に行われた前回調査では日本人・米国人ともに対象18分野中17分野で日本のサービス価格が米国を上回っていたが、今回の調査では、日本のサービス価格の方が低いと認識される分野が大幅に増えたことになる。

 

 

宅配便などで、高いサービス品質が十分に価格に反映できていない状況

この調査では、米国よりサービス品質が高くてもそれが価格に十分反映されていない状況が今回調査した28分野中25分野で見られた。特に宅配便や理容・美容などの分野でそうした傾向が顕著になっており、米国より高いサービス品質を保っているものの、それが十分に価格に反映できてない状況が明らかとなった。

宅配便に関しては、サービスの価格は日本の方が米国よりも0〜3%程度低いが、品質は日本の方が2割近く高いと認識されている。

 

 

今回の調査により、対個人サービスの多くの分野で、日本のサービスが米国より品質が高くても、その分ほど価格に十分反映されておらず、高い品質が価格に十分反映されていない状況にあることがわかった。

日本の大手配送会社ヤマト運輸は、ECの急拡大による荷物の増加、労働需給の逼迫によって、配送体制の構築が追いつかないとして、2017年度の最優先経営課題を社員の労働環境の整備に設定。27年ぶりとなる宅急便の基本運賃値上げと、大口クライアントなどが扱う荷物の取引量の抑制といった取り組みを推し進めており、品質と価格が見合ったサービスの仕組みを構築しようとしている。