ECサイトをブランディングし、「売り場」から「体験する場」に変えるために行うべきこと | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
  • google+
ノウハウ・ツール
2017/07/05

ECサイトをブランディングし、「売り場」から「体験する場」に変えるために行うべきこと

ECサイトをブランディングし、「売り場」から「体験する場」に変えるために行うべきこと

 

オンラインでモノを買うことができるようになって20年以上の月日が経つ。当初はECサイト自体も珍しく、数も多くなかったため店舗を開設しただけで多くの売上を作ることが出来たものだ。しかし、インターネットの爆発的普及などによりECサイトの数も飛躍的に増加し、今や190万店舗近くが国内に存在するといわれている。そのため、多くの特徴のないECサイトは競合店舗の中に埋没していき、売上を作ることに苦労し、売れても価格競争に疲弊してきている状況が目立ってきている。

そのような中でECサイトを単純なモノの売り場から、ブランドや商品の世界観を体験する場所にシフトしていくことで成功を収めている事例が増えてきている。今回は、このような“ECサイトのブランディング”について、その成果と方法論を見ていきたい。

 

※当記事はECサイトをブランディングするためのサービス「FRACTA NODE」を提供するフラクタ社から情報提供を受け、ECサイトでユーザー体験を向上させ、ブランディングするための方法論の一部を解説した記事である。
[document_download_in http://empowershop.co.jp/docs/FN_guidebook.pdf 39255 FRACTANODEサービス資料]

 

 

ECサイトにおける「体験」とは

 

ここ数年、消費に対する価値観が変化してきている。単純にブランドバッグを持っていることよりも、行列のできる有名なパンケーキ屋に並ぶことに価値を感じる人が多くなってきている。モノを持つことだけではなく、そのプロセスやその消費に纏わる体験やストーリーを重視するようになってきているのだ。この傾向はFacebookやInstagramのようなSNSの存在も後押している側面もある。このようなトレンドの中で、もはや珍しくなくなったオンラインでモノを買うという行為に体験やストーリーを求める消費者が増えてきている。

ECサイトの特徴は、「店舗に行かずにいつでもどこでも購入することができる」ことだ。これはメリットであると同時に、「店舗に行くことで得られる体験ができない」というデメリットも含んでいる。商品の開発ストーリーやコンセプト、そして商品を購入し生活の中で使用したときにどのような体験ができるかといった、店頭だと感じることが出来る商品に関わる「体験」。それをECサイトでも同等レベル以上に感じることがECサイトにおける「体験」といえよう。

では、その「体験」がどのように売上向上や、他店舗との差別化となるのか考えてみよう。まず、商品が特別な存在へと変化することが挙げられる。通常のECサイトはただ商品が並べられた状態である。しかし、ECサイトで「体験」を得ることで、商品は比較されるだけの物体から「機能性」と「感情」そして「ストーリー」が付与された特別な存在となり、他商品に比べてぐっと記憶に残りやすくなる。そうすることで商品が選ばれる可能性が高くなるのだ。また、決断の補強を得やすくなることが挙げられる。商品を購入する最終決断をする際に効いてくるのが、後押しである。通常のECサイトではレビューが後押しの大きな役割を担っているが、ECサイトで「体験」を得ることによって「この商品を買う自分は間違っていない」というレビュー以外の決断の補強が行われるため、より購入に踏み切りやすくなる。

このように、ECサイトにおける「体験」をすることによってより商品への情報が増え、商品購入へと繋がる可能性が高まる。また、他のECサイトとの差別化も図ることができ、今のトレンドに沿った形でお客様にサイトや商品を選んでもらうことに繋がるのだ。

 

 

ECサイトを「体験する場」に変える前に重要な「ブランディング」

 

ECサイトを「売り場」から「体験する場」へと変える前にしっかりと考えなければならないことは「ブランディング」だ。言葉自体はよく聞くものだが、実際にブランディング・ブランドとはどのようなものなのだろうか。フラクタ社の河野代表によると、

「ブランド」はユーザーの関心領域において圧倒的な価値的優位性があるもの。

とのことだ。そのためブランドは価格によってユーザーの心が左右されるものではなく、ブランドがファンを相手に適切な「コミュニケーション」を実行すれば、スペックや価格とは別の視点でブランドと関わりたいと思うのだ。

そしてそのような「ブランド」として認知を広げるためには、自分たちが何者であるかというところをしっかりと定義した上で、「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを定めることが重要だという。このECサイトが何を目的に誰のために存在するかという意義を定め、ターゲットを決め、立ち位置を定める。そしてユーザーにとっての役割を考え、丁寧に定義していく必要があるということだ。これが「ブランディング」ということになり、この部分はECサイトにおいて最も重要な部分といえよう。

 

 

ECサイトを「売り場」から「体験する場」に変えるポイント

 

そのような定義をしっかりと行った上で、実際にECサイトはどのように「売り場」から「体験する場」に変えていくことができるのだろうか。ここでは、3つの代表的な方法を紹介していく。

 

コンテンツ

コンテンツはECサイトを単なる「売り場」から「体験する場」に変える上で大切な要素だ。他とは違ったコンテンツがなければ他とは違う「体験」を得ることができない。コンテンツを充実させることで顧客が他のECサイトとは違った興味の持ち方をすることができるのだ。

思い出のうつわとしての鞄を提供するECサイト、土屋鞄製作所事例を見ていこう。土屋鞄製作所では、LIBRARYというページで様々なコンテンツを提供している。

▲土屋鞄製作所のLIBRARYページのコンテンツ

例えば、鞄を持って旅行に行きたくなるような写真をたくさん載せた旅行紀のページや、革製品を守るためのメンテナンスのページといったように、様々なコンテンツを提供している。

 

また、暮らしにまつわる様々な道具を販売するECサイト、北欧、暮らしの道具店では、特集ページで様々なコンテンツを提供している。

▲北欧、暮らしの道具店の特集ページのコンテンツ

母の日が近づいてくると、母の日のプレゼントとして何をあげるべきかといった記事は実店舗や他のECサイトでも見かけることがあるだろう。しかし、この特集ページでは、そのような記事だけでなく、朝の過ごし方といったコラム的なものから、ヘアアレンジ講座、時短レシピといった記事まである。

 

さらに、自然により人間回帰することを指名といたキャンプ用品販売のECサイト、snow peakでは、商品をより魅力的に感じさせるキャッチコピーを利用している。

▲snow peakの特集コンテンツ

例えば、ホットサンドクッカーであるトラメジーノのキャッチコピーは、「トラメジーノでつくる熱々ホットサンド。今では、ぼくの得意料理です。」また、リビングシェルというドッキング可能なテントのキャッチコピーは、「昔は長屋でこんな風に暮らしていたのかな。」形を変えて利用できるコンテナのシェルコンテナのキャッチコピーは「キャンプ場で見て、一目惚れしてしまった。」だ。このように、他のECサイトとは違ったキャッチコピーにより、商品をより魅力的にみせるといったコンテンツの方法もある。

 

ショップスタッフによるブログ

ショップスタッフのブログは、顧客に対しショップスタッフがどのような思いを商品に抱いているのかや、商品の魅力というものを伝えるのに最適である。商品紹介文だけでは伝わらない、「機能性」や「感情」を商品に付与でき、まさに「体験」を生み出せるのだ。

ピアスをなくしてしまうという不安を解消するピアスキャッチを販売するECサイトCrysmela導入事例によると、Crysmelaはただのピアスキャッチを販売しているのではなく、ピアスを気兼ねなく楽しむための体験を販売しているのだという。

▲Crysmelaのブログを含むコンテンツ発信

それを顧客にわかってもらうため、ブログ機能をつけ情報を発信できるようにした。ブログにより情報を伝えることでより顧客にピアスキャッチの魅力を伝えることができる。

 

また、先ほど紹介した土屋鞄製作所では、土屋鞄の思いが伝わるようなブログを掲載している。

▲土屋鞄製作所のBLOGコンテンツ

たくさんの鮮やかな写真で彩られたページからは、土屋鞄製作所の、一つ一つの鞄を大切に作りたいという気持ちが伝わってくる。

 

動画

ECサイトは商品を手にとって見ることができないため、動画は、商品をより詳しく紹介できたり、手にとって見ることのできない不安を軽減することに繋がる。ECサイトの欠点を補うことで他のECサイトと差をつけることができるのだ。

料理家・平野レミのレシピやコラムが掲載されており、レシピ本やグッズが販売されているECサイト、remy

▲remyのレシピコンテンツ

その導入事例によると、他のレシピサイトと差別化を図り、わかりやすさを追求したため、ただでさえ簡単な平野レミの料理を短尺の動画で表現したり、調理する目元にカメラをつけて撮影した、目線動画などを掲載している。Facebookなどソーシャルメディアにも多くの動画がアップされている。

▲remyのFacebookページにアップされている動画

このように動画を利用することにより、より理解が深まり、身近に感じることができ、興味を持つことが増える。

 

また、先ほど紹介したCrysmelaでは、今までとは異なるピアスキャッチのため、ピアスキャッチの説明が言葉や画像だけでは伝わらない部分もあるため、動画コンテンツによる目で見てわかりやすい情報を提供している。そうすることで商品に対し、より理解が深まるのだ。

 

これらの手法以外にも、サンプルやカタログの配布、チャットによるカスタマーサポートといった方法も効果的である。今後は、VR(Virtual Reality=仮想現実)やMR(Mixed Reality=複合現実)といった「体験」の方法も増えてく可能性もあるだろう。

 

 

「売り場」を「体験する場」に変えることで

 

ECサイトを「売り場」から「体験する場」に変えるノウハウやポイントを見てきたが、ECサイトでお客様に「体験」を感じてもらうためには他では得られないようなコンテンツを提供することが大切ということがわかる。そのためには取り扱っている商品のことを誰よりも愛情を持って、誰よりも詳しく人に説明できることが重要だ。サイトのコンテンツの中からほとばしっている商品に対する情熱がお客様の印象に深く残り、商品購入に踏み切らせることになるのではないだろうか。今後技術の進展によりより複雑で多様な「体験」がECサイトでできるようになったとしても、そのサイトから感じる情熱を多くの消費者は感じ、選んでいくのではないだろうか。