スマートフォンは他のデバイスのシェアを奪いながら成長したが、今見られる成長は発展途上国のマーケット内のみ、とAdobe社。

スペインのバルセロナで行われた世界最大規模の携帯通信関連見本市「Mobile World Congress」にて米コンピューターソフトウェア会社Adobeが発表したインターネット使用量の新しい統計によると、横ばい成長のデスクトップPC市場と同様に、携帯アプリに関してもその勢いは減速している。この統計は多様なデータを集めた物で、「16,000のウェブサイトに訪れた1.7兆アクセスと、1,000のアプリからの1,300億を超えるアプリローンチの分析」に基づいており、Adobeはこの業界での「最も正確で広範囲な情報」だと言う。

 

同社によると、2016年の感謝際明けのブラックフライデーは、前年の2015年より更に商品の割引率が高かったとのこと。これにはタブレット端末を含む。しかし高割引率にも拘わらず、消費者はタブレットにはあまり興味を示さなかった。タブレットで使用されたトラフィック量(インターネット上のデータ量)も昨今下がり続けている。

Adobe社によると、消費者はAMP(GoogleとTwitterが共同開発するモバイル端末でウェブページを高速表示するためのプロジェクト。Accelerated Mobile Pages)の使用に移行していて、業界トップの電子出版社はAMPの端末間で7%のトラフィック増量が確認。さらにAMP使用量は2014年と比較すると400%以上も伸びている。

デスクトップの話に戻すとAdobe社は、PCのトラフィック量は過去三年間横ばいだったものの、ここ最近では減少傾向にあると言う。それが意味するのは、特定のウェブサイトや企業を除き、PCの成長は見込めないということだ。

この背景にはスマートフォンの成長がある。レポートでは、スマートフォンからのアクセスが上がった代わりに他の端末からのアクセスは下がったことを示している。

  • スマートフォンのアクセス数は2014年から69%上昇
  • デスクトップとタブレットのアクセス数は2014年からそれぞれ23%と19%下降

更にAdobe社は、「(アメリカでの)アプリブームは終わった」と宣言。2014年12月に比べてアプリのダウンロード数は40%近く下がったと言う。同社は小売業者に対するアドバイスとして、もはや当たり前のことだが、顧客獲得だけでなく顧客数維持にも力をいれるべきだと言う。

しかし発展途上国のマーケットに関して言えば、話は別。これらのマーケットではスマートフォンの普及が著しく、インド、中国、ブラジルだけで2014年から4億もの新規ユーザーが増えた。長期的に見ると、市場はアメリカを追う形で成長していくだろうと言う。

発展途上国がアメリカと違う点は、PCのインフラがなくモバイルデバイスからデジタルマーケットが発展し始めたということ。PCのインフラを有する国では、アメリカと同様デスクトップからのトラフィック量の横ばい、または下降が見られている。

 

※当記事は米国メディア「Mobile Marketing Watch」の2/28公開の記事を翻訳、補足したものです。