国内大手ECモールの市場動向データ分析ツール「Nint ECommerce」を提供する株式会社Nintは、2024年のバレンタイン市場に関する調査レポートを発表した。
調査結果
直近3年間の3大ECモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング)のチョコレート市場の推移を確認すると、需要期は1月~3月に集中しており、一見すると2024年も変化がないようにみえる。
上記のようにみると特に変わっている様子は見られないが、年間売上を100%とした場合の月別売上比率を確認すると、バレンタイン・ホワイトデー時期である1月~3月の売上構成比は年々減少しており、2024年には50%を下回っていた。このデータは、バレンタイン需要とその他の需要の比率が変化していることを示しており、EC市場におけるチョコレート市場が「バレンタイン需要に依存する形」から転換しつつある可能性が考えられる。
チョコレート市場をジャンル別推移を確認すると、2024年は「無垢チョコ(シンプルな板チョコ)」「その他(贈答用含む)」が前年割れしていたものの、「製菓用」は好調に推移していることがわかる。この結果から、2024年バレンタイン市場は、ギフト・自己消費関連の商品が苦戦する一方で、製菓用など「手作りチョコ」の需要は高まり、売上伸長が起きたと思われる。
市場全体におけるジャンル別売上構成比みていくと、バレンタイン市場を構成するジャンルの中で「チョコレート」が最も高い構成比を示し、市場全体の半分以上を占めていた。また、チョコレート以外で注目すべきは2023年から2024年にかけて構成比を2ポイント上昇させた「化粧品ジャンル」の動向となっている。
化粧品ジャンルが売上構成比を上昇させた背景として、「外出頻度」が影響していると推察され、2023年1月・2月と、2024年1月・2月を比較すると、2024年はオフライン市場の回復に伴い、百貨店を中心としたチョコレートイベント増加や、出社頻度の増加など外出機会が増えたことが挙げられる。さらに外出機会が増えることで、見た目に気を遣う機会も増加し、実際にプチギフトとして、コスメ系の需要も拡大している。さらに、バレンタイン限定の化粧品セットやコフレ商品がSNSで注目を集めたことも化粧品ジャンルの躍進に影響していると考えられる。
Nint ECommerceとは
「Nint ECommerce」は独自の推計技術により、日本の主要ECモールのジャンル、商品、ショップ別の市場規模やシェア、トレンドなどの動向を可視化する、革新的なEC事業者向けリサーチツール。どのモールで、どの商品が、いつ、いくらで、いくつ売れたのかといったことを直感的に把握できる高精度なNint推計データにより、商品の仕入・開発、多ジャンル・複数モールへの事業拡大などの、ECビジネスにおけるマーケティング上の重要な意思決定を支えている。