高価値な顧客に、アプリのダウンロード後もアプリ内のモバイルメッセージに興味を持ち続けてもらうには。
顧客はブランドが提供するオファーについて興味を持ち、アプリをダウンロードする。モバイルメッセージは、顧客との関係を維持し育てていくことができるが、それには適切なコミュニケーションを取ることが大切だ。
「アプリをダウンロードすることは、顧客がブランドへのロイヤリティを示してくれる大きなステップである」と、米国に本社を置くクロスチャネルマーケティングプラットフォームCordialのクライアントマーケティングマネージャーであるSydney Smith氏はThe MarTech Conferenceで語った。「そこで、ブランドとしてモバイルチャネルで適切なメッセージを送り、顧客のロイヤリティに敬意を払いたいのだ」。
モバイルアプリ内のメッセージには3つの主要なカテゴリーがあり、それぞれに独自の強みとベストプラクティスがある。
プッシュ通知
プッシュ通知は、モバイルアプリ内のメッセージで最も一般的な形式であり、アプリ利用者のスマートフォンのホーム画面やロック画面に表示される。
「自問するべき最初の質問は、『顧客はこの情報を今すぐ知る必要があるだろうか』である」とSmith氏は語った。「答えが『はい』なら、プッシュ通知でメッセージを送信するべきだ」。
こういったメッセージは通常、顧客の製品の好み、注文履歴、アプリ内での行動に基づいて、自動的に送信される。
「プッシュ通知の好例としては、注文の更新、カートに商品をいれたまま放棄している人への通知、ラストミニッツセール(期限直前に行われるセール)、売り切れ商品の再入荷や在庫が少ない商品の案内、サブスクリプションの通知などがある」とSmith氏。
顧客がアプリをダウンロードしたからといって、プッシュ通知を自動的に受け取るとは限らない。受信を設定してもらう必要がある。その機能を乱用して、プッシュ通知を出しすぎないようにしよう。
マーケターは自身の経験をもとに考えるべきだ。役に立つプッシュ通知とイライラさせるプッシュ通知があるのはなぜか。これらのインサイトを送信するメッセージに役立ててほしい。
アプリ内メッセージ
アプリ内メッセージは、顧客がアプリを利用中に受け取るメッセージである。
CordialのシニアテクニカルプロダクトマネージャーであるAndrew Shields氏は、「これらはユーザーが既にアプリを使っている時にポップアップで表示されるものであり、通常はイベント駆動型である」と語った。「ユーザーはアプリを利用中のため、リアルタイムでそのデータを取得することができる。また、ほとんどの場合、ディープリンク(クリックにより、アプリの特定の画面に移動するリンクのこと)が使われており、ユーザーがメッセージなどをクリックすると、アプリ内の特定の場所に移動して、何らかのアクションを完了できるようになっている」。
さらにShields氏は、「アプリ内メッセージには多くの優れた使用事例がある。例えば、新規ユーザーにアプリの一連の使い方を説明することができる。また、新製品について通知したり、これまでの行動に基づいてキャンペーン情報を知らせたりすることも可能だ」。
また、アプリ内メッセージを使ってロイヤリティステータスの更新を知らせることができる。顧客のロイヤルティプログラム内のランクが上がったときには、お祝いのメッセージを送ると良い。アプリの更新や新機能追加についてもメッセージを送信することで、アプリの利用を促すこともできる。
受信トレイへのメッセージ
受信トレイへのメッセージは、3つのカテゴリーの中で最も一般的ではない。長文になることが多く、顧客のアプリのアカウント内に長く放置されがちである。受信トレイへのメッセージは、プッシュ通知を無効にしている顧客へメッセージを伝えたい場合に使われることがある。
「(受信トレイへのメッセージは)有効期限が設定されていることがあり、最終的には消えてしまうが、一般的には、ユーザーが後日その情報を読めるように参照可能となっている」とShields氏は語った。
Smith氏は、「顧客は、あなたがメッセージを送ってもすぐに内容を確認しないが、この情報は、顧客が時間のある時に確認できる場所に保存されている」と述べた。
同氏はさらに、「プッシュ通知を無効にしている顧客に情報を送るために受信トレイへのメッセージを使うブランドもある。この方法では、(現在のプロモーション中に)プッシュ通知を有効にしていた人全員にリーチでき、プッシュ通知を無効にしていた人には、彼らがもう一度アプリをチェックするたびにリーチできるのだ」と付け加えた。
これらの3種類のモバイルアプリメッセージにおける堅実な戦略を取るマーケターは、顧客に情報を提供し、ブランドへの興味を持ち続けてもらうことができる。特定のプロモーションでは、これまでのモバイルキャンペーンに対する顧客の反応に合わせて、3つの方法を組み合わせて使うこともできる。